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The Roots 志の章 美しき伝統の余韻 Vol.6

新島夫妻を夫婦の鑑として(横井)海老名みや(よこい)えみなみや 1862年~1952年

男女や夫婦の
理想を追求した
「世の改良者」

横井みやは、1862年(文久2年)11月6日、熊本近郊の沼山津に横井小楠とせつ子の長女として誕生した。父の横井小楠(1809年~1869年/文化6年~明治2年)は、開明的な実学思想の持ち主で、公議政体論を主張し明治政府形成の推進力の一端を担った人物である。幕臣の勝海舟は、『氷川清話』で「おれは、今までに天下で恐ろしいものを二人見た。それは横井小楠と西郷南洲とだ。横井は、西洋の事も沢山は知らず、おれが教へてやつたくらゐだが、その思想の高調子な事は、おれなどは、とても梯子を掛けても、及ばぬと思つた事がしばしばあつたヨ」と述壊している。

 

その小楠が御所への参内した帰りの路上(中京区寺町丸太町下ル下御霊町)で大和国十津川の郷士によって暗殺されたのは、1869年(明治2年)の1月2日、みやが6歳のときであった。十津川の郷士による「斬奸状」は、小楠が日本を邪教である天主教(キリスト教)の支配下に置こうとしていたと非難している。 母のつせ子は、みやに小楠が亡くなった当座から「お父様の志をつがねばなりませぬ」と繰り返し教えた。みやは、自分の精神をこの「権威ある教訓」が支配していると語っいる。

二人が同志社女学校へ入学した頃 (1878年~1879年)
左から山本みね、横井みや、新島八重★

1877年(明治10年)、みやは兄の横井時雄(1857年~1927年/安政4年~昭和2年)とともに同志社にやってきた。同年の11月には新島襄から受洗している。従姉の徳富初と同様、創設期の同志社英学校と同志社女学校に学んだ。みやの場合は、初とは対照的に、本人の書き残したものによって、その生い立ちや思想をしることができる。夫・海老名弾正が主幹のキリスト教主義の進歩的婦人雑誌『新女界』にほぼ毎号、筆をふるっていたからである。その内容は、夫・弾正と営む家庭生活、信仰生活における実体験にもとづく結婚論や社会批評、海外出張旅行記、思い出などである。たとえば、「夫婦の相互教育といへば、これは怪しからん言葉である。年齢からいつても、学問からいつても勝つて居る所の夫が、目下の妻から何で教育を受けることがあらうとかう仰つしやる方々もあおりになりませうが、そこが夫婦の情愛の感化とでも申しませうか、おもひにまさる力があるものであります」(『新女界』第6巻第2号、1914年)と夫婦のありかたについて平明にして達意の文章を公にしている。みやは、師の新島襄を「二年間程先生の御宅で、御厄介になりましたが、先生は御家庭の人として、実に立派な旦那様でありました」と高く評価している。夫の弾正が、新島にならって妻に対して「おみやさん」とさん付けでよびかけ、「あなた」という尊称をも使用していたという証言がある。海老名夫妻も新島夫妻を夫婦の鑑としていたのである。

みやは、『同志社創立60周年記念誌』に寄稿した文章において、かつて熊本洋学校(教室の外)で従姉の初と二人で学んでいた時、海老名が生徒を代表してジェーンズ校長に女子とともに授業を受けることはできないと訴えたところ、ジェーンズ校長に「君のお母さんは男か女か」と問われ、「貫い母たるべき女を尊敬し教育することがどうして悪いか」と説教されたというエピソードにふれ、海老名が総長の時代に同志社大学に女子学生を受け入れたことの意義を次のように語っている。

『新女界』第1巻第2号(1909年)
本郷教会内新人社発行

永い間胸に抱いていた女子教育の理想を同志社において本当の男女共学の名の下に実現しましたことは主人の本望であります。しかもこの理想は新島先生を始め同志社創業の方々の斉しく抱いて居られた希望でありました。

みやは、夫の弾正とともに真正のスイートホームを築き、雑誌への寄稿、日英両言語による演説により自らの考えを表明し、牧師の妻、総長の妻として、さらには日本キリスト教婦人矯風会をはじめ、キリスト教女子青年会、同志社同窓会(第17代会長)等でも重職を担い、「世の改良者」となった。それは、父・横井小楠の志を継いだことでもあるといえよう。

(大島 中正)

写真提供
同志社女子大学史料室
同志社大学 同志社社史資料センター(★印)

2015年11月6日更新

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