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The Roots 志の章 美しき伝統の余韻 Vol.5

一夫一婦運動に挺身した女性 湯浅(ゆあさ) 初(はつ) 1860年~1935年

徳富蘇峰・盧花の姉、
一夫一婦運動に
挺身した女性

徳富初は、1860年(安政7年)1月23日、熊本の水俣に徳富一敬と久子の四女として誕生した。徳富蘇峰、徳富盧花兄弟の姉であり、新島襄の盟友である湯浅治郎の妻であり、同志社総長(第10代・第12代)となった湯浅八郎の母である。同志社女学校には1877年(明治10年)から1879年(明治12年)ごろに在籍していた。1895年(明治28年)から1898年(明治31年)にかけては同志社同窓会第2代会長を務め、1903年(明治36年)には日本キリスト教婦人矯風会京都支部の第2代会長に就任している。ちなみに同志社同窓会の第3代会長は新島八重である。姉妹の海老名みやとは対照的に彼女自身の筆によって彼女の事跡をたどることはほとんどできないが、姪の久布白落実(1882年~1972年/明治15年~昭和47年)の著書『湯浅初子』(東京市民教会出版部1937年)によってその生涯をたどることができる。

左から伊勢(横井)みや、徳富初、山本みね(同志社同窓会提供)
 

初は、二人の弟や従妹のみやとともに同志社英学校でも学びその名は成績簿にも記されている。『創設期の同志社』『創設期の同志社―卒業生たちの回想録』(1986年)を繙(ひもと)くと、当時の同志社の様子が手にとるように分かる。初の証言からも校舎の様子や、新島夫妻のことを垣間見ることができる。女学校の最初の学び舎であったデイヴィス邸(旧・柳原前光邸)は、荒れ果てた板敷ばかりの家であり、生徒は5,6人で、授業というほどではない稽古であったこと、1878年(明治11年)の9月に新築の校舎ができたときには生徒数が20人くらいになっていたことなどが語られている。新築の校舎は野原の中に建てられた唯一の建物で、狐や狸の姿が度々見えたので子供には怖かったとも述壊している。新島先生は男子部に兄弟がいる者には、土曜日や日曜日に兄弟をよび馳走をして一緒に遊ばせていたとう証言もしている。また、綿入れを持たなかった二人の弟にネルのシャツやズボンを着させてもらったことや、八重夫人の考案で、男子部の生徒が遊びに使用する鞠を女学部の生徒が作ったことなども語っている。新島夫妻を「懐かしみのある父母」のように思ったというのである。

1885年(明治18年)11月、初は湯浅治郎の妻となった。仲人は海老名弾正・みや夫妻であった。日本キリスト教婦人矯風会の創始者の一人でもあった初は、湯浅家の主婦であり、前妻の子どもたちを持つ身でありながら、東京・群馬にかけて公私ともに多忙をきわめる夫を支えつつ、一夫一婦運動のために挺身していた。署名を集めたり、演説をしたり、『女学雑誌』に寄稿をしたりと、実にエネルギッシュな活動であった。『女学雑誌』第168号(1889年)には、「一夫一婦制の刑法及民法に対する建白書は、去る27日湯浅はつ子等の手により元老院に呈出されたり、之に署名連印したるもの凡そ800余名、著名の士女頗る多し」と記されている。

湯浅治郎(1850年~1932年)
上州安中の有田屋(醤油醸造)店主。県会議員、日本鉄道会社理事、衆議院議員、同志社社員を歴任★

夫の治郎は、1890年(明治23年)から1910年(明治43年)にかけての20年間、無報酬で新島亡きあとの同志社の経営に全力をそそいだ。この間も、初は、夫には対等の立場で協力し、子供たちをを厳しく育てつつ、同志社同窓会の会長などの職務をこなしていた。治郎は1894年(明治27年)には政界を引退することになるのだが、その前年、治郎の働きにより群馬県は全国初の廃娼県となっている。真正のフェミニストであった襄の志を夫婦そろって継いでいたのである。

久布白落実著『湯浅初子』によると、絶筆には「人間は何を措いても神の国に働く事丈は忘れざる様相務め度候。老の身の仕事も無く候へ共、子供達の為、孫達の為、目に触れ耳にふれたる人々の為に熱心に祈る事は忘れぬ様、只管相務度候」と記されているということである。

(大島 中正)

写真提供
同志社女子大学史料室
同志社大学 同志社社史資料センター(★印)

2015年9月4日更新

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