表象文化学部

英語英文学科

木島 菜菜子 (英語英文学科准教授)

書名/編著名 寝ながら学べる構造主義 / 内田樹 著
出版社、出版年 文芸春秋(文春新書) , 2002.6 書誌ID BB00548238
おすすめのポイント 自分のものの見方が、実は知らず知らずのうちに、フーコーやソシュールなど、名前は聞いたことがあるけれど自分とは関係ないと思っていた哲学者たち・思想家たちの影響を大きく受けていることに気づかされて、目から鱗が落ちる本。そんな一見難しそうな内容が、語り口調で、非常に短くわかりやすく書かれているので、哲学とか現代思想とか苦手、という人にもとても読みやすく楽しく読めるところが、唯一無二だと思います。
書名/編著名 世界でいちばん面白い英米文学講義―巨匠たちの知られざる人生 / エリオット・エンゲル 著
出版社、出版年 草思社 , 2006.9 書誌ID BB10218142
おすすめのポイント 教養のために色々読んでみたい、でも古い文学作品を読むのは難しい、と感じる方は、少しでもその作家のことを知ってから作品を読むと、一気に読みやすくなると思います。名前を知っている作家のところだけ読むのでもいいと思います。有名作家も、「人間なんだな」と思えます。
書名/編著名 砂糖の世界史 / 川北稔 著
出版社、出版年 岩波書店(岩波ジュニア新書) , 1996.7 書誌ID BB10212508
おすすめのポイント とにかく有名なので、知っている人も多いと思われますが、大人になった今、改めて読んでみてください。ジュニア新書は中学生・高校生が読むものでしょとあなどるなかれ。砂糖という誰もが知る素材を切り口に、今の世界を成り立たせている歴史的な背景が、わかりやすくあっという間に学べる(学び直せる)名著。学部学科関係なく、どのような専門を学ぶ人にも、一度は読んでほしいです。

風間 末起子 (英語英文学科特任教授)

書名/編著名 伊集院静の「贈る言葉」 / 伊集院静 著
出版社、出版年 集英社 , 2012.10     書誌ID BB12631389
おすすめのポイント この作家はカッコいい男の生き方を書く人、酒とバラの日々のようなエッセイスト、という印象があります。でも実は彼のエッセイにはすべての人を、特に若い人を励ます珠玉のメッセージであふれています。堂々としているのに臆病で、荒っぽいのかと思うとモノの哀れも知っているようで、とにかく唸らせるエッセイを書く作家です。【Vine 80号より】

鈴木 健司 (英語英文学科教授)

書名/編著名 異文化理解の落とし穴 : 中国・日本・アメリカ / 張競 著
出版社、出版年 岩波書店 , 2011.11 書誌ID BB12293013
おすすめのポイント 著者は比較文化の研究者。「異文化理解」とは、異文化そのものの真実を本質的に理解するというよりも、自己認識のためのものである、という姿勢で、自身の体験の紹介から「異文化を知る」ことに徹している。中国と日本の文化は欧米ではまだまだ混同されていることも多く、本書の内容は英語圏でのコミュニケーションにも役立つのではないだろうか。短いエピソードが集められていて、どこからでも読める。
書名/編著名 外国語を身につけるための日本語レッスン / 三森ゆりか 著
出版社、出版年 白水社 , 2003.10 書誌ID BB12215769
おすすめのポイント 単語や文法が正しくても、日本語的発想で組み立てられた外国語は通じないことも多い。本書は、外国語を習得するためには欧米の言語教育で一般に教えられているような「言語技術」を学ぶことが必要、という考えのもとに、外国語の発想でも通じる日本語—翻訳できる日本語—の習得をめざして訓練してくれる。日本語によるコミュニケーションでも、このような「言語技術」が求められる場面は増えているように思う。

日本語日本文学科

丸山 敬介 (日本語日本文学科特任教授)

書名/編著名 外国人労働者受け入れと日本語教育 / 田尻英三 編
出版社、出版年 ひつじ書房 , 2017.8 書誌ID BB13064566
おすすめのポイント 少子高齢化の中労働人口の減少によって外国人労働者の受け入れが現実味を増しているが、その中にあって、これから日本はどうすべきか・日本語教育はどうそれに貢献できるのかを具体的に述べている。
書名/編著名 市民性形成とことばの教育:母語・第二言語・外国語を超えて / 細川英雄 編
出版社、出版年 くろしお出版 , 2016.8 書誌ID BB12985871
おすすめのポイント 日本ではかつてない外国人の定住化を迎えているが、彼らを我々の社会に受け入れていくか、一過性の「お客様」ではない隣人としての彼らをどう位置付け受け入れ側の日本人に何がどう求められているかを「市民性」をキーワードに問いかけている。
書名/編著名 日本語で社会とつながろう! 社会参加をめざす日本語教育の活動集 / 西俣(深井)美由紀 著
出版社、出版年 ココ出版 , 2016.6 書誌ID BB12985371
おすすめのポイント 「学んでいる日本語を用いて積極的に社会、自分の所属している/所属したいコミュニティと関わり、その過程に起こるさまざまな問題を解決しながら、自己実現をはかっていく」(「はじめに」)ことを目指した活動集。活動の流れや注意点が具体的に述べられている。
書名/編著名 公共日本語教育学:社会をつくる日本語教育 / 川上郁雄 編
出版社、出版年 くろしお出版 , 2017.6 書誌ID BB13061590
おすすめのポイント 日本語教育によっていかなる社会貢献が実現できるのかまたその方法とはどのようなものかの、理論と実践を収録した論集。社会のあり方・その社会に生きる人のあり方、そして社会とことば・人とことばのかかわり方を論じていて、日本語教育の過去・現在・未来に示唆を与える。

宮本 明子 (日本語日本文学科准教授)

書名/編著名 おそめ:伝説の銀座マダム / 石井妙子 著
出版社、出版年 新潮社 (新潮文庫) , 2009.4 書誌ID BB10304333
おすすめのポイント 夜の世界や華やかな生き方が気になるときに。ここに登場するのは、祇園で活躍したのち、京都と東京を行き来し「空飛ぶマダム」として知られた「おそめ」こと上羽秀です。川端康成や里見弴、小津安二郎など文壇や映画界の重鎮と交流し、小説のモデルにもなりました。丹念な調査に基づき、彼女の波乱万丈の生涯が冷静かつ鮮やかに描かれていて見事です。
書名/編著名 映画にまつわるXについて / 西川美和 著
出版社、出版年 実業之日本社 (実業之日本社文庫) , 2015.8(V.1)
                    2020.8(V.2)
書誌ID BB13163887(V.1)
BB13163479(V.2)
おすすめのポイント 映画監督であり作家としても活躍する、西川美和のエッセイ集です。力を入れていない文章も鋭く、読んだらだれかと話したくなるテーマが並んでいます。私は「バリアフリー」のエッセイに、大学生の頃、映画の音声字幕を入れるアルバイトをしたのを思い出しました。字幕にどんな情報を入れるのかがとても難しいのです。映画に出演した香川照之や松たか子の役者魂、著者の学生時代、撮影現場のしんどさも垣間みえて貴重な一冊です。
書名/編著名 高校生と考える21世紀の論点 / 羽生善治、伊藤亜紗、植本一子、貴戸理恵、島内裕子、島田雅彦、多和田葉子、土井善晴、富永京子、野崎歓、長谷川逸子、早野龍五、穂村弘、仲野徹、古川日出男、前田司郎、三輪眞弘、山本貴光、若松英輔 ほか
出版社、出版年 左右社 , 2019.4 書誌ID BB13163124
おすすめのポイント 各界で活躍する大人が、高校生を対象に行った講義の記録です。贅沢ですね。「決断力を磨く」(羽生善治)「働くってどういうことだろう」(竹信三恵子)「視覚無しで世界を見てみよう」(伊藤亜紗)など、身近な話題、今すぐ知りたい話題が並んでいます。輝いてみえる大人たちが、失敗談も含め、自分の経験をもとに話しているのがみどころです。みなさんなら高校生にどんなことを伝えたいか、楽しみながら考えてほしい一冊です。

大津 直子 (日本語日本文学科准教授)

書名/編著名 証言治安維持法:「検挙者10万人の記録」が明かす真実 / 荻野 富士夫、 NHK「ETV特集」取材班 著
出版社、出版年 NHK出版 (NHK出版新書) , 2019.11 書誌ID BB13153171
おすすめのポイント 戦前、治安維持という目的のもと、国民の言動が国家の強い規制を受けました。日常を共にする隣人がある日理由もわからず突然検挙され、警察に連れて行かれてしまう。恐れた国民は恐怖から互いを監視し合うようになります。
本書は、当事者たちの証言と研究者らのデータ分析からその実態に迫ったNHKのドキュメンタリーを文庫化したものです。コロナ禍の社会を生きる私たちに大きな示唆を与えてくれる一冊です。
書名/編著名 猫と庄造と二人のをんな / 谷崎潤一郎 著
出版社、出版年 中央公論新社 (中公文庫) , 2013.7 書誌ID BB13153423
おすすめのポイント 谷崎は猫好きで知られている作家です。彼の遺した書簡にはしばしば愛猫の名前が出てきますし、愛猫が亡くなるとはく製にして手許に置いたほど(ちょっと怖いですよね)。
三番目の奥さんになる女性に出会い、二度目の結婚がうまくゆかなくなってしまった体験が影響しているとされる本作は、猫の魅力を余すところなく描いた傑作でもあります。猫好きさんは「わかるわかる!」となり、犬好きさんは猫好きさんの気持ちがわかる一冊です。

高橋 幸平 (日本語日本文学科准教授)

書名/編著名 『女生徒』/太宰治 著
出版社、出版年 角川文庫 , 2009.5 書誌ID BB10312816
おすすめのポイント 太宰治というと『人間失格』や『走れメロス』がよく知られていますが、むしろ女性が一人称で語る小説にこそ彼の真骨頂が発揮されています。この作品には、若い女性ならではの自意識や感情の起伏が、みずみずしい言葉で綴られています。例えば「私は悲しい癖で、顔を両手でぴったり覆っていなければ、眠れない」という何でもないような一文。しかしなぜ彼女はこの癖を「悲しい」と言わなければならないのか。「きっと誰かが間違っている。わるいのは、あなただ—。」読者の胸を衝く言葉が詰まった傑作です。【Vine77号より】
書名/編著名 湖畔 ; ハムレット : 久生十蘭作品集 / 久生十蘭 著
出版社、出版年 講談社(講談社文芸文庫), 2005.8 書誌ID BB10132404
おすすめのポイント 久生十蘭の初期の短編。子に宛てた手記形式の小説で、「この夏、拠所ない事情があって、箱根蘆ノ湖畔三ツ石の別荘で貴様の母を手にかけ、即日、東京検事局に自訴して出た」と始まる。私にとってはあまり人に知られたくないほど特別な小説だが、ほかにもこの小説が胸に響く人がいると信じてここに挙げる。
書名/編著名 読んでいない本について堂々と語る方法 / ピエール・バイヤール 著  大浦康介 訳
出版社、出版年 筑摩書房 , 2008.11 書誌ID BB13166332
おすすめのポイント

私たちは知らず知らずのうちに読書についての思い込みにしばられている。本をたくさん読む人はえらい。本は頭から最後まで全部読まないと読んだとは言えない。ある本について語るにはその本を読んでいなければならない。でもそれって本当?本の細部に振り回されず、それをいかに大きな地図に位置づけるか。読書の本質を問い直す名著。読んでいないけど。
この本が気に入ったら:M.J.アドラー/C.V.ドーレン『本を読む本

書名/編著名 磁力と重力の発見 / 山本義隆 訳
出版社、出版年 みすず書房 , 2003.5 書誌ID

BB00572761 (V.1)
BB00572279 (V.2)​​​​
BB00572764 (V.3)

おすすめのポイント

押し引きすれば物が動くのはわかる。でも磁石にクリップが引き寄せられるのはちょっと不思議だ。磁力や重力、つまり離れたものに力が作用する不思議な遠隔力の説明は、機械論的自然観からの直接的な発展というよりは、むしろ「魔術」として理解されることを経由して、最終的に数学的に合理化される。山本の科学史は権威的な学者の理論よりも職人や商人の実践を重視する傾向にあり、読んでいて痛快。中世の各国語の文献を自身で読み解く語学力もすごい。科学史をワクワクする物語として読みたい人に。
この本が気に入ったら:サイモン・シン『暗号解読

書名/編著名 ファスト&スロー(上・下) / ダニエル・カーネマン 著 村井章子 訳
出版社、出版年 早川書房 , 2012.11 書誌ID BB12564969
BB13166327
おすすめのポイント

「70%offだったから買っちゃった」「死亡率5%はこわいけど、生存率95%なら安心」。ノーベル経済学賞受賞者である著者による、言わずと知れた行動経済学の名著。私たちは、どんな時でもいちいち時間をかけて論理的に考えるわけではない。ほとんどの場合、直感に頼ってさっさとものごとを判断してしまう。しかし、この判断は脳に負荷をかけないかわりに、さまざまなバイアスによって誤った結論を導いてしまうことがある。私たちは自分たちが考えているよりもずっと不合理な存在なのだ。
この本が気に入ったら:ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』『予想どおりに不合理(ハヤカワ文庫)

書名/編著名 ストーリーの起源 / ブライアン・ボイド 著 小沢茂 訳
出版社、出版年 国文社 , 2018.9 書誌ID BB13166322
おすすめのポイント

人間は、なぜ芸術作品を生み出したりそれを楽しんだりするのか?そんな問いに対して、進化論的なアプローチをとる研究が近年盛んだ。人間には進化のプロセスで獲得したさまざまな能力が備わっているが、それらの適応的な能力と芸術創作や鑑賞という行為とが密接に関わっているというのだ。本書はとくに、フィクションの創作・鑑賞を進化論的なアプローチから説明する。さまざまな研究分野が交錯するフィクション論の一側面。
この本が気に入ったら:ダニエル・C・デネット『解明される宗教

書名/編著名 批評について / ノエル・キャロル 著 森功次 訳
出版社、出版年 勁草書房 , 2017.11 書誌ID BB13162224
おすすめのポイント

よくわからない映画を観たあとネットで解説を調べてみる。なかには「なるほど」と思える解釈もあるけど、一方で「さすがに監督はそこまで考えてないよね、きっとこれは深読み」と言いたくなるものもある。いったいそれらはどう違うのだろうか。そもそも主観的な解釈に優劣などあるのか。文学・映画・漫画を解釈したい人、解釈とは何をどうすることなのかをごまかさずに理解したい人におすすめの一冊。
この本が気に入ったら:ロバート・ステッカー『分析美学入門

 

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