フィールドワーク 2022年度

テーマに即して現場を訪れ、社会の実情を体験して学ぶ。
多様に変化する社会構造を知り、その中にある課題の解決に向けての提言をめざすため、本学科では、さまざまな仕事や経済活動などの現場に赴き、体験から学ぶフィールドワークを重視し積極的に実施しています。現場では仕事の過程を見学するほか、そこで活躍する人々との交流や調査・研究を通して、机上では得ることのできない成果を得ています。

フィールドワークの主な実績

2022年度

「宇治川周辺地域の観光・活性化に関するフィールドワーク」

日時:2023年2月9日(水)
授業:応用演習Ⅱ
担当:天野太郎 教授

今回は、継続して調査している宇治市の中心部・宇治川右岸地域の観光活性化の調査の一環として、現地の住民の方々がまちづくりや観光に関してどのような意見をお持ちであるのかをお伺いすることを目的として、地元町内会長様にお越しいただき話し合いを実施しました。

観光「公害」とも言える状況が京都市内では再び見られるようになってきていますが、閑静な住宅街でもある宇治のまちとの調和や観光客に対する案内板の設置、観光客の導線に関する課題など、多岐にわたる問題点や住民の方々の自主的な取り組みについて、貴重なご意見をいただきました。

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「鳴門公園フィールドワーク~かけがえのない世界・私たち~」

日時:2023年1月31日(火)~2月1日(水)
授業:卒業研究Ⅱ
担当:山下智子 教授

「卒業研究Ⅱ」の学びの一環として、山下ゼミの学生5名が瀬戸内国立公園の一部である鳴門公園でフィールドワークを行いました。現代社会学部社会システム学科ライフデザインコースに属する本ゼミは「宗教的観点から考える現代社会・ライフデザイン」をテーマにしています。今回は聖書に示される神の創造物としての世界観・人間観への理解を深めることを目指しました。

一日目は大塚国際美術館を訪れ、システィーナ礼拝堂をはじめとする古代遺跡や教会などの壁画を環境空間ごとそのまま再現した立体展示やなどをじっくり体験・鑑賞しました。

二日目は世界三大渦潮である「鳴門の渦潮」を船にのりごく間近から、また大鳴門橋遊歩道を歩き45メートルの高さから観測するなどしました。

今回のフィールドワークは、新島襄がより広い世界を意識することになった1862年の「快風丸」での航海やその時の出来事を踏まえたものでもあります。新島のこの経験はやがて1864年、函館からの脱国へとつながります。

ミケランジェロの天井画「天地創造」や迫力ある渦潮から受けた感動や、ゼミの仲間との楽しく活発な意見交換などから、神がこの世界やわたしたちをかけがえのないものとしてお創りになられたことへの理解を深め、新たな世界への旅立ちにむけ大きな励ましを見出すことができました。

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「石垣・八重山で考える自然環境から伝統文化までの景観保全に関するフィールドワーク」

日時:2023年1月20日(金)~23日(月)
授業:卒業研究Ⅱ
担当:大西秀之 教授
参加学生:11名

2023年1月20~23日に石垣・八重山に4年次生ゼミのフィールドワークを行いました。今回の目的は、自然環境や伝統景観などの保護保全を地域コミュニティが主体となって推進しているあり方を現地で見分し、学ぶことにあります。

まず竹富島を訪問し、サンゴ礁保全や伝統的集落景観保護を実体験し、当該地域の環境や文化が観光資源になるとともに、それを持続的に活用するためにも、それらの保全・保護が不可欠であること確認しました。次に地域が主体となってサンゴ礁保全を行っている白保浜を訪問し、現地で保全に取り組まれているNPO法人夏花でレクチャーをしていただきました。

また夏花の理事や憲章推進委員を務められている市議会議員の宮良操氏から、地域が主体となってサンゴ礁保全を行ってこられた経緯や想いをお聞きました。

健全な地域の暮らしが維持されなければ環境保全が実現しないことをはじめ、オーバーツーリズムの問題や地産地消の推進など、石垣・白保に留まらない社会課題を再考する機会になりました。参加ゼミ生も真剣に聴講し、自らの感想や見解などを積極的に発言し、活発な意見交換が行われ、実りのあるフィールドワークとなりました。

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「嵯峨野・嵐山地域の景観に関するフィールドワーク」

日時:2023年1月18日(水)
授業:京都・大阪・奈良フィールドワーク
担当:天野太郎 教授
参加学生:15名

今回は、京都の観光地を代表する地域である嵯峨野・嵐山地域がどのように形成され、観光地として知られるようになったのかについて、さらには京都を代表する伝統的景観保全について実地学習を行ないました。

嵯峨野の中心である清凉寺にまず訪問し、源融ゆかりの歴史や、三国伝来の釈迦如来像の由来について触れるとともに、写経体験を行いました。さらに歩みを進めて奥嵯峨野の化野念仏寺へ。京都市内に4箇所しかない重要伝統的建造物群保存地区の一つである嵯峨鳥居本は、景観保全と住民の利便性のバランスについて考察しました。また渡月橋の橋詰にある法輪寺からは、嵯峨野・嵐山が一望できる場所で、コロナ禍における京都の観光の課題についても学ぶ機会となりました。

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「宇治の歴史地理学的形成過程に関するフィールドワーク」

日時:2023年1月17日(火)
授業:地理歴史教科教育法B、中学校社会科教科教育法
担当:天野太郎 教授

京都府南部の宇治市を中心とする地域は、奈良街道を中心とする陸上交通と、淀川水系を中心とした水上交通の結節点として古代から発展してきました。また古代より皇族の葬送地として、さらに平安時代には浄土信仰の地としても認識されてきました。社会科教育、とりわけ日本史教育の実地学習として、宇治市中心部のフィールドワークを行い、多層的な地域学習の意義について学びを深めました。

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「地理教育・防災教育に関するフィールドワーク」

日時:2023年1月15日(日)
授業:教職実践演習
担当:天野太郎 教授
参加学生:9名

2022年度から中学校・高等学校の社会科において地理教育が必修科目となり、その中でも自然災害、防災の重要性について注目が集まっています。今回は神戸市において、阪神淡路大震災の震災遺構の訪問と、その震災を中心とした自然災害に対する防災のあり方について、人と防災未来センターにおいて学習を行いました。

阪神淡路大震災が発生した1月17日まであと2日というタイミングであることから、幼い子供から家族連れを中心に、震災遺構やセンターには多くの方々が学習のため訪れていました。学生たちはかつて発生した災害の大きさ、地域社会に対する甚大なダメージについて再確認するとともに、そうした自然災害からどのように自分達や、身の周りの大切な人々の命を守る方法について学ぶ機会となりました。

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「大阪の中心部・大阪城の観光資源化と中之島エリアの再開発についてのフイールドワーク」

日時:2022年12月21日
授業:京都・大阪・奈良フィールド・ワーク
担当:天野太郎 教授
参加学生:14名

大阪市の中心部は、古代難波宮造営以前から難波津をはじめとして港湾が置かれ、奈良や京都の外港として機能してきました。また中世には、それまで難波と呼ばれていた場所に本願寺が置かれ、「大阪」という地名も成立し、天下の台所と称される商業都市として発展してきました。そうした大阪都市圏の中心業務地区としての役割と歴史を概観するとともに、インナーシティの再開発事業の一端を考えるフィールドワークを行いました。大阪城エリアの旧陸軍第四師団本部や、近代建築としての大阪城天守閣の観光資源化について実地に学ぶとともに、中之島エリアの再開発が、芸術や文化の発信と関わりながら進められている事態について学ぶことができました。

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「鴨東地域 古代〜近代の交通の要衝を歩くフィールドワーク」

日時:2022年11月30日(水)
授業:京都・大阪・奈良フィールドワーク
担当:天野太郎 教授

東山山麓を含む鴨東地域は、東海道と琵琶湖水運の琵琶湖疏水開削といった陸路と水路の古代〜近代にわたる交通の要衝である同時に、その立地の特徴を重視されて展開してきました。そうした古代からの地域開発に伴って発達した立地特性と、その後の平安奠都1100年紀念式典・第4回内国勧業博覧会開催地としての開発、そして観光のまなざしと共に発展した寺社や、疏水の水利用の一環である近代庭園を見学しながら、近代新たに造られた「京都らしさ」の本質的なあり方について学習を行いました。

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「西陣の歴史的・地理的成立過程と繊維産業の観光資源化に関するフィールドワーク」

日時:2022年11月2日(水)
授業:京都・大阪・奈良フィールドワーク
担当:天野太郎 教授

京都市の中心部・平安時代の大内裏に相当する地域は、平安期以降も信長・秀吉による二条城や聚楽第城下町の中枢として機能してきました。また同時に、今日では西陣地区の歴史的な街並が残る地域でもあります。

こうした京都市中心部分の史跡を巡りながら、室町幕府所在地であった同志社大学今出川キャンパス周辺から、歴史的中心地の連続性・非連続性を実感するとともに、相国寺の果たした歴史的・地理的な意義について古地図を通して学びました。さらに、応仁の乱時の山名宗全側の陣地を中心に展開した繊維産業と京都とのつながりを考察し、西陣織体験を通して現在の京都における繊維産業について学ぶことができました。

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「京都東山地域・院政の拠点の成立と展開に関するフィールドワーク」

日時:2022年10月19日(水)
授業:京都・大阪・奈良フィールドワーク 
担当:天野太郎 教授

京都・東山七条周辺地区は、平安時代末期に後白河法皇によって造営された法住寺殿をはじめとした院政の舞台としてだけではなく、その後の豊臣時代の方広寺造営に見られるように、鴨川東部における重要な歴史の舞台となってきました。こうした地域において、現地調査・見学を通して理解するとともに、中心寺院である方広寺・蓮華王院・新熊野神社を拝観することを通して、京都の古代・中世においてこの地域の果たしてきた役割と意義にについて理解を深めました。さらに、京都の重要な産業の一つである京菓子体験をおこなうことで、現在における体験型の観光産業のあり方についても触れることができました。

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「京都・伏見地域の成立と展開に関するフィールドワーク」

日時:2022年10月12日(水)
授業:京都・大阪・奈良フィールドワーク
担当:天野太郎 教授

京都南部の伏見地域は、伏見街道・竹田街道・鳥羽街道などの街道と、淀川水運とを結ぶ古代から京を支えてきた交通の要衝にあたります。こうした地域の特性を活かして伏見城やそれに伴う港湾、さらには酒造業が発展してきました。そうした水運と結びついて発達してきた伏見について、酒造業の成り立ちと今日の成り立ちを考えるために月桂冠大倉記念館を訪問しました。

酒造の仕組みから樽の構造まで解説を伺いながら、なぜ伏見が全国有数の日本酒生産地になりえたのかを学習しました。また、その背景となる伏流水について、御香宮神社に足を運び、立地についても学ぶことができました。

さらにそうした製造品を大坂や江戸に運搬するために重要であった港についても理解を深めるために、船宿の寺田屋に見られる港湾史跡の見学や、十石船の乗船を通して港湾の歴史を学ぶ機会となりました。

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「助けてといえるあたたかな居場所づくり~コミュニティカフェの取り組みに学ぶ~」

日時:2022年7月16日(土)
授業:応用演習Ⅰ 
担当:山下智子 教授

現代社会学部社会システム学科ライフデザインコース「応用演習Ⅰ」の学びの一環として、3回生ゼミ生16名で京都市内の2か所のコミュニティカフェを巡るフィールドワークを行いました。いずれのカフェも、本学同様、キリスト教の精神が活動の背景にあります。

最初に、日本キリスト教団京都教区とバザールカフェプロジェクトの協働で営業されている「バザールカフェ」を訪れました。バザールカフェは新制同志社女子大学初代学長であったヒバード先生や同僚のクラップ先生がお暮しになった宣教師館(クラッパードイン)で活動しており、その点でも本学とかかわりが深いです。

バザールカフェではセクシュアリティ、年齢、国籍などの異なる多様な人々が、互いを理解し合う場、働く場、ネットワークづくりの場などとして、多面的の働きがなされています。店長さんや大学3回生の時からかかわっている運営委員の方など、それぞれの立場からのお話を伺い、意見交換をしました。

次に公益財団法人である「京都YWCA」を訪れました。京都YWCAの敷地内にはふれあいの居場所食堂「うららかふぇ」のほか、サービス付き高齢者向け住宅「サラーム」、自立援助ホーム「カルーナ」、女子留学生寮「あじさい寮」、京都市認可「あじさい保育園」があり、女性が中心となって「多世代・多文化ふれあいコミュニティづくり」に取り組まれています。今年4月からは「うららかふぇ」にて若い女性のための居場所づくり事業「Yここキッチン」の取り組みもスタートしました。主事さんより館内を丁寧にご案内いただいたのちお話を伺い、理解を深めました。

それぞれに異なる特色をもった2つのコミュニティカフェですが、「居場所づくり」「助けてといえる場所」「支援する側/される側の区別がない」など共通して大切にされている点があります。現代社会において出会う一人ひとりを大切に歩むそれぞれのカフェの取り組みは、参加した学生たちにとっても大変心に響くものであったようです。

なお「バザールカフェ」「うららかふぇ」ともにヴォーリズ建築の古い洋館をカフェとして活用していますので、そうした意味でもキリスト教の価値観や文化の豊かさに触れ有意義な学びの時間となりました。

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撮影時のみマスクを外しています

「基礎演習 嵐山フィールドワーク」

日時:2022年5月7日(土)
授業:基礎演習
担当:大西秀之 教授

初年次の基礎科目である「基礎演習」で嵐山を訪問しました。
この企画は、単に見学や懇親が目的ではなく、事前に授業で計画した社会調査を行ない、レポートを作成するためのものです。
過去2年間はコロナ禍で開催できませんでしたが、感染症対策には最大限配慮しつつ、3年ぶりに実施できました。
オンライン授業の可能性は大いに感じていますが、対面でしかできない授業のあり方を再確認することができました。

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フィールドワーク