薬学共用試験

薬学共用試験(CBT・OSCE)について

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わが国の薬学教育は、医薬品の研究開発にかかわる人材と医療現場で働く薬剤師の両方の育成を行ってきましたが、旧来のカリキュラムは前者に偏っていました。薬剤師養成教育の先進国である欧米諸国では、医療現場で、薬剤師の指導・監督下に参加型実習実務を実施しています。わが国でも、医学・歯学教育に おいては、学生が卒業前の「臨床実習」として、指導医の監督下に基本的な医療行為を十分修得するための「診療参加型臨床実習」を1年間実施するようになっていました。このような観点から、薬剤師教育を6年制に延長するとともに、実務実習の充実と改善が求められてきました。

薬剤師になるためには、学生は卒業前の実務実習において、薬剤師の指導・監督の下に、薬剤師としての実践能力を十分に修得しておくことが求められます。しかし薬剤師法第19条は、「薬剤師でない者は、販売または授与の目的で調剤してはならない」と規定しており、薬剤師資格を有さない薬学生が調剤行為をすることは法律に違反します。このような状況の下、薬学教育年限を6年に延長する国会決議の付帯事項により、中央教育審議会大学分科会から薬学共用試験の必要性が提言されました(2004年9月)。共用試験は、大学間の格差なく、参加型実習を行う薬学生に必要な知識、技能および態度を確認する試験で全国薬科大学長・薬学部長会議のもとに設置された薬学共用試験センターが実施します。その方法は主として知識を評価するCBT(Computer-based Testing)と、主として技能と態度を評価するOSCE(Objective Structured Clinical Examination)に分けられます。

全薬学生は実務実習に参加する前に、客観試験と客観的臨床能力試験を受験し、設定された一定の基準を上回ることを実習参加の必要要件としています。各大学は、共用試験合格をもって学生の基礎的知識や技能・態度が基準に到達していることを保証するものとします。共用試験で実施される客観試験の出題の範囲、レベル、方式は、本試験の目的を鑑みて、現行および改定が予定される薬剤師国家試験とは異なるものとし、以下の点を考慮します。

(1)共用試験と国家試験で、分野に関する住み分けはしない。
(2)難易度は差別化し、共用試験では一ヶ月以上の特別な準備学習をしなくても正答率70~80%となるような問題を出題する。

医療薬学科