保育の場での管理栄養士として活躍中の卒業生、甲斐友香梨氏による特別講義を実施

2025年6月25日、食物栄養科学科管理栄養士専攻の特別講義を開催し、管理栄養士専攻の2年次・3年次生を中心に、約160名の学生および教職員が参加しました。
今回は、兵庫県神戸市にある認定こども園で管理栄養士としてお勤めの、本学卒業生の甲斐友香梨先生をお招きして、「生きる力を育む。~こども園の管理栄養士とは~」と題して講義を行っていただきました。
講演の中では、栄養管理の方法、アレルギー対応、食材への配慮、健康への配慮など、大人とは違った、成長真っただ中の子どもたちだからこそ配慮すべき保育施設ならではの内容がたくさんあり、日々の座学だけでは気づきにくい大切なポイントをとても丁寧にお話いただきました。その一つひとつへの取り組み方や気遣いからも、甲斐先生が視野を広く、本当に子どもたちのことを大切に思いながらお仕事をされている様子が感じられました。
また、子どもたちが生涯にわたって健康でいきいきとした生活を送る基礎となる「食を営む力」を身につけるという食育の目標に向かって、施設長の責任の元、保育士、調理員、看護師等の職員の方々と協力し、色々な工夫をしながら、本当にきめ細やかに子どもたちの成長を見守っている様子が伺えました。ミニトマトを育てたり、その育てたトマトでピザクッキングに挑戦したりするなどの特別な経験や、たくさんの工夫がなされた行事食だけではなく、食事のあいさつ、食器や食具の持ち方、たくさん遊んでお腹をすかせる、そんな日々の食事に関わるささやかなことも、すべてが子どもたちにとって学びであるのだということを、学生たちも、自分たちの子どものころを思い出しつつ、感じ取った様子でした。
実は、好き嫌いが多く、野菜が苦手、給食の時間に少し苦痛を感じていたという子ども時代の甲斐先生。そんな自分のような子どもたちに寄り添える栄養士になりたいという思いが管理栄養士を目指したきっかけだったとお話されていました。学生にとっては、夢を叶えた存在として憧れを感じる一方で、学生生活を振り返ってのレポートや課題に大変苦労された体験談などを先生が語って下さったことから、決して遠い存在ではないことを感じとった様子でした。また、成功体験だけではなく、上手くできなかった経験ですら、振り返ってポジティブに捉えてお話されている甲斐先生の様子や、一見食育とは無関係のように思える水産担当という前職の経験を、さんまの解体ショーという形にして、命をいただくという大切な子どもたちの学びに結びつけてしまうという発想力などから、学生たちは、今、経験している全てが未来に繋がっていくのだと、目の前の課題などに対して挑戦してみよう、努力してみよう、そういった勇気をもらった様子でした。
そんな甲斐先生だからこそ、今皆が学んでいる知識が生涯を通じて使えるものであるという学生へのメッセージは、学生の心に深く残っていることと思います。管理栄養士を目指す中で、日々、悩みや迷いを感じている学生にとっても、前を向いて歩みを進めてゆく大きなきっかけになってくれたことでしょう。この講義を通して感じたこと、学んだことを、学生たちそれぞれの今後に生かしてくれることを期待しています。