2020年度 食物科学専攻特別セミナー 『食品企業における研究開発の最前線と商品開発を学ぶ』第4回

2021/01/08

2020年12月23日楽真館S013教室で食物科学専攻特別セミナー第4回が開催され、36名の学生と6名の教職員が参加しました。また、コロナ感染対策として、講演のライブ動画を Zoom で配信し、冬休みに入った高校生の方など学外の方 4名を含む 21名が視聴しました。

今回のセミナーでは、味の素株式会社食品研究所商品評価グループ上席研究員の川﨑寛也氏に「おいしさのサイエンスとデザイン」という題でご講演頂きました。

高祖父から祖父までを料理人に持つ川﨑氏は、若い頃から「料理の本質」に思いを馳せてこられました。現在は味の素に所属し、「料理には科学とデザインが必要」という観点から多方面で「食の仕掛け」を展開されています。講演では様々な具体例を通して、彼の考え方が説明されました。例えば、「甘味や香ばしさなど個々の感覚(質)強度が、食べる時間経過の中でどう変化するかを測定し、その結果を新しいチョコレート開発に活用する」という斬新な商品開発手法が紹介されました。これまでのセミナーとやや趣が異なり、「ヒトの感覚を出発点として食品の成分や構造を決定し、調理する」という基本哲学に基づいて料理や商品開発を捉える。そのような「おいしさのデザイン」のパイオニア自身による刺激的な講演だったと思います。

講演直後の参加者の感想文には「料理を科学的に考え、おいしさをデザインするのは興味深い」「フランス料理を例にした『分解』と『再構築』の話はわかりやすかった。調理科学実習での考察に役立つ」「味と香りの認識方法の違いなど、大学で勉強していることの重要性を確認できた」「味覚や嗅覚には『時間(タイミング)』がとても大切で、調理に生かさねばならないと感じた」「焼かれている肉の映像で、授業で習ったメイラード反応を目で見ることができた」「自分も日常の食に疑問を持ち、柔軟な発想で料理を考え、研究者を目指したい」「『今、食の分野で頑張ればどのフィールドでも活躍できる』という先生の言葉に勇気づけられた」といった記述が見られました。今回の講演には抽象的な部分もありましたが、その分、学生は頭を使い、川﨑先生のメッセージを深く受け止めたようです。

2020年度食物科学専攻特別セミナーは今回をもって終了です。振り返ると、4回の講演内容にはそれぞれ特徴があり、多様な角度から(タイトル通り)「食品企業における研究開発の最前線と商品開発を学ぶ」ことができたのではないでしょうか。貴重な機会を与えて下さった4人の講師の方々とすべての参加者、そして本セミナーの準備に尽力されたすべての方々に感謝申し上げます。

最後に。食物栄養科学科食物科学専攻では、次年度から課題解決型学習科目「食品開発プロジェクトⅠ、Ⅱ」(食物科学専攻3年次)が始まります。それを機に、学生の商品開発志向に応え、学びの満足度を向上させることを目的として、本セミナーは企画されました。参加した学生はこのセミナーで得た「何か」を大学での学習や就職など今後の諸活動に生かして欲しいと思います。

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