現代社会学部公開講座 第36期 町家講座~京町家で学ぶ歴史と文化~ 第5回『京都で続いていく、ということ~八ッ橋の歩みとこれから~』を開催
日時:2025年11月8日(土)
聖護院八ッ橋総本店 代表取締役社長を務める鈴鹿可奈子氏に「京都で続いていく、ということ~八ッ橋の歩みとこれから~」と題してお話いただきました。
八ッ橋は江戸時代、八橋検校に因んで筝の形を模してつくられており、京都では馴染みが深く、八橋検校へ敬意を払うためにお菓子としての呼称には八橋の間に「ッ」が入っています。この八ッ橋を離乳食としても親しんでいたのが、老舗聖護院八ッ橋総本店の長女として生まれ、現在は後継者として同取締役社長を務める鈴鹿可奈子先生。
八ッ橋と聞けば生八ッ橋をイメージする人が多くなってきましたが、元々は米粉・砂糖・ニッキで固く焼いたものが主流でした。「味は伝統」を企業理念として伝統の味を守り続けながらも時代の趣向に合わせて、成分表示には表されない程の、おいしさを感じられるような微調整がなされてきました。1960年に生八ッ橋が考案されて以来、餡入り生八ッ橋が人気を博すようになってきました。
経営理念として「人を大切に、地元を大切に」と掲げているものの、八ッ橋が観光客のお土産用としてイメージが強く、京都の人があまり口にしないということを踏まえて、2011年に地元の若い人にも好まれるような新ブランドnikinikiの商品開発が始まりました。消費者の声に素早く反応すると共に本業からブレないコアとなる信念を念頭に置きつつ、八ッ橋を継続していくためには、進取の傾向を読みとる柔軟性が求められます。ひとりでも多くの方に食べてもらうために本質を守り続ける鈴鹿社長の挑戦が続きます。
