現代社会学部公開講座 第35期町家講座~京町家で学ぶ歴史と文化~ 第2回『煎茶のコミュニケーション力』を開催

2024/08/02

日時:2024年7月20日(土)


今回の講座は小川流煎茶七世御家元をお迎えしました。江戸時代後期に御典医をつとめていた小川流の開祖は、それまでの文人墨客の好んだ煎茶に、医者としての合理性や衛生面に配慮をした独自の煎茶法をあみだしました。「茶は渇を止むるに非ず 飲むに非ず 喫するなり」とし、「滴々のお茶」には茶葉の真味を引き出す手法がとられています。

講座では御家元のご配慮により、参加者全員に小川流の冷洩手前がふるまわれました。一煎目から二煎目へ。数滴の中に凝縮された香りと奥深い味を楽しみ、続いて季節感あふれる特製生菓子、最後に少し量が多めの三煎目をいただきました。おいしい茶味が生じるのは火・水・風、すなわち自然の力を用いて自然の恵みである茶を生かすとされています。

大分県日田市には煎茶趣味が広く好まれた、江戸初期より現存する豪商草野家本家があり、国の重要文化財の指定を受けています。様々な土地で、また歴史の舞台裏で煎茶のもてなしによる非言語コミュニケーションが行われてきました。自己と向き合い、相手に美味なお茶をさしあげようという真心によって一滴のエッセンスに込められた趣向には、高度なコミュニケーション力が秘められています。

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