現代社会学部公開講座 第35期町家講座~京町家で学ぶ歴史と文化~ 第1回『京菓子のしおり』を開催

日時:2024年6月8日(土)
京都西陣の一角に店を構える、明治15年(1882)創業の京菓子司塩芳軒五代目当主である髙家啓太先生に「京菓子のしおり」と題して、守りたい京菓子のいまと今後につなげたい思いを語っていただきました。
菓子は歴史的には唐菓子から始まり、禅宗と点心に茶が加わりさらに南蛮菓子が伝えられ、鎖国の時代を経たのちに独自の発展を遂げてきました。和菓子は五感(銘・形・味・香・触感)の芸術として大成され、そこには古典文学・歴史・風土・季節の要素が取り込まれています。とりわけ聴覚に通じる菓銘は抽象的であるゆえに引き算で成立する表現方法を持ち、その余白が奥ゆきと想像力を与えます。五節供や水無月・月見団子等に代表される暦などの「節」は古くから大切にされてきました。
新たな試みとして国内外のコラボ企画に挑戦したり、節供や紋日に和菓子の文化と町家の魅力を発信できれば、との思いから店舗を改装して喫茶(月1回程度)を始められています。近年、餡に入れる砂糖の量を減らす傾向にありますし、干菓子を作るための木製の菓子型は職人が減っています。変えるつもりはないけれど、時代の流れに柔軟に変化をしてきたことと今後も変えてはならないことを守りながら、京菓子のこれからへとつなげたいと語られました。

