現代社会学部公開講座 第33期 町家講座~京町家で学ぶ歴史と文化~ 第3回『新しい時代の飲食について』を開催しました

2022/07/19

今回の講座は2021年3月まで30年以上にわたり大阪青山大学・短期大学で調理師・管理栄養士の指導に携わり、現在はYamada‘sDeli&Market KYOTOのオーナーシェフとして店舗経営を行っておられる山田裕司先生に「新しい時代の飲食について」と題したお話をうかがいました。コロナ禍で、家庭の食事事情はどう変化したか、飲食業が受けるコロナ禍の後遺症と新たな展開についての思いを語っていただきました。

人は食べたもので生きるための体をつくることと同時にQOL(Quality Of Life)を保ちながら活きるための食について考える必要があります。器や食の空間を感じることなどを含めた「食べる・いただく」という行為は人間のみが可能です。一生の中で食べることに多くの時間を費やしています。1日3食に定着したのは元禄年間(1688~1704)以降であると言われていますが、それにはいくつかの要因があったと考えられます。大火からの復興のために働いていると2回の食事では足りなくなり、3食になったことや灯用の菜種油の普及に伴い、夜遅くまで活動できるようになったことが要因として挙げられます。また食文化は災害・戦争などの社会情勢によっても大きく変化を遂げることがあります。現在もなお世界中を巻き込んでいるコロナ禍は食文化に大きな影響を与えました。食事に関するさまざまな制限が加えられるようになり、外食よりも家庭で食事をするという傾向が増え、出前業界・惣菜製造業界には追い風となりました。外食産業にとってはコロナの状況への対応に人員確保がすぐに対応できないなどの後遺症はあるものの、ユーザーには「イエナカ外食」という新たな概念が加わりました。食事シーンの選択肢が増えたということは楽しい変化と言えるでしょう。「食」は人を良くすると書き、心の栄養にもなります。デリカの業界に関わりつつ、家庭の味を大切にし、楽しい食事の機会を共有できる思い出を数多く作っていただきたいと願っています、と締めくくられました。アフターコロナの外食産業の未来について知る機会となりました。

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