現代社会学部公開講座 第33期 町家講座~京町家で学ぶ歴史と文化~  第1回『1200年の時を越えて今』

2022/05/18

第33期町家講座も引き続き、オンライン会議ツールZoomを使用しつつ、一部対面聴講を取り入れ、ハイブリッド型で実施する運びとなりました。

初回は京都市中京区に現存する平安京最古の史蹟、神泉苑のご住職に「1200年の時を越えて今」と題して講演いただきました。神泉苑は平安京造営の際に造られた禁苑であり、中国の周の文王の霊囿(れいゆう)になぞらえ自然を利用して造られました。太古から存在した大池とその周囲の森林を整備して殿閣が建てられ、節句行事や漢詩の宴など天皇や貴族の宴遊の場となりました。次第に霊場的な要素が加わり、修法の場として祈雨や御霊会などが盛んに行われるようになりました。弘法大師空海が天長元年(824)の大旱魃(かんばつ)に際し、善女龍王を神泉苑の池に勧請して修された請雨法は、西寺の守敏との法力争いをしたことでも有名で、その様子が「神泉苑絵巻」に記されています。清和天皇の貞観5年(863)5月20日、神泉苑で国家的な初めての御霊会が催されました。その後、日本各地で災害が頻発したため、貞観11年(869)に国の数の66本の鉾を建立して神泉苑にて厄払いの祈願が行われ、この御霊会がのちの祇園祭の鉾の巡行の起源となりました。現在、祇園祭還幸祭の7月24日に中御座神輿が神泉苑に渡御され、拝礼が行われます。その他、神泉苑祭など年間を通して様々な行事が催され、歴史に思いを馳せながら苑池を巡って四季折々の自然を満喫することができます。

1200年続く神泉苑の京都との深いつながりを知ることができた有意義な機会となりました。