現代社会学部公開講座 第32期 〜京町家で学ぶ歴史と文化〜 第8回『台湾人からみた「世界の京都」​​​​​​​』

2022/01/19

今回の町家講座は、本学現代社会学部社会システム学科助教、張瑋容先生を講師に『台湾人からみた「世界の京都」』について、講演いただきました。また、リモート開催と対面聴講を取り入れたハイブリッド型にて開催いたしました。

台湾人の日本への眼差しは世代によって違っており、重層的であるといえます。植民地支配への恨みと文化的近似性を合わせ持つ植民時期の世代、反日教育を受けながらも日本製品に好感を持つ中年世代、そして日本のポップカルチャーに魅了される若者世代。歴史的背景への感情と共にアジアの先進国日本への憧れが共存しています。93年に日本のテレビドラマが解禁され、実際に日本で感じることができるような日本への愛着、日本と関わる物事を手に入れるための方法論を共有する人々、つまり「哈日族」が台頭しました。コロナ禍以前の台湾人の日本観光事情は安定的な増加傾向にあり、とりわけ若年層のリピーターが目立ちます。買い物・グルメなどの他に、リピーターはアニメの聖地めぐり・イベントの参加など非日常性と日常性の融合を楽しみます。特に京都には現代社会に生きる伝統と歴史があり、アメリカの近代性をアジア化した日本文化の近似性を感じる憧れのモダニティが息づくのです。外部からだけではなく、内部からの視点や多様な価値観を織り交ぜながら、京都へのまなざしが生まれています。今後は、諸外国からの観光客のまなざしが交錯する日が早く戻ることを祈念しながら、そうしたまなざしに評価される京都を共につくっていく必要があります。

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