現代社会学部公開講座 第32期 〜京町家で学ぶ歴史と文化〜 第4回『祇園祭・鷹山の復興とお囃子について』

2021/09/30

9月に入り、京都府での新型コロナ感染者数はやや落ち着いてきた状況ではありましたが、未だ緊急事態宣言が発令されている中で、今回の町家講座も引き続きリモートによって開催され、今回は祇園祭・鷹山の復興について講演いただきました。

今年度の祇園祭は、コロナ禍にあって一部の神事を中心に挙行されるにとどまり、人々が大きな関心を寄せる山鉾巡行は2年にわたり中止されました。そのような状況にある中、200年近くの間休み山となっていた鷹山が、復興に向けて大きく前進していました。鷹山は応仁の乱以前から巡行に加わっていたとされる由緒ある山でしたが、江戸時代後期の災害による破損の影響を受け、巡行には加わることができませんでした。

しかし近年、復興への気運が高まり、平成26年に囃子方、28年には公益財団法人鷹山保存会が設立され、復原に向けての様々な検討が重ねられました。お囃子の譜面も失われていたため、室町時代から江戸時代前期の能楽や長唄などから派生したと思われるルーツに立ち返り、往時の鷹山らしさを彷彿とさせるものを新たに作り上げてきました。

山の躯体から懸装品の細部に至るまで、2022年の巡行が待ち望まれる段階まで辿りついた今、これら一連の取り組みは御神体のお導きの賜物であると感じられます。また長年の鷹山としての歴史の流れに加え、難を逃れた御神体をお飾りする居祭が町内で連綿と継続されてきたことや現存する他の山鉾の関係者との縦と横のつながりの尊さ、さらに平和と安寧への願いが、復興に向けて励む人々の心の支えとなってきたことが語られました。

鷹山保存会のホームページやブログも更新されていますので、ぜひご覧いただければ幸いです。

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