現代社会学部公開講座 第31期 町家で学ぶ京都の歴史と文化 ~第1回『ほんのうちわの話』~

2020/11/19

2020年10月3日(土)14:00〜16:00

 

「町家で学ぶ京都の歴史と文化」
第31期 第1回「ほんのうちわの話」レポート

 

16年間にわたって京都の文化・芸術・歴史について京町家を舞台として展開してきた町家講座。新型コロナウイルスの影響の中、その展開の手法を検討する中で今回からは京都市内の町家でZoom配信を通しての講座開講となった。Web配信になったことで、北海道や関東地方等の遠方からも参加いただくことができ、さらには自宅から参加できることで幅広い年齢層が対象となった。

今回は株式会社 小丸屋住井の代表取締役 住井啓子様に、伝統あるうちわ作り工程や小丸屋住井の歴史や運営についてもご講演いただいた。小丸屋住井は1624年に創業し、うちわの柄の部分に二つの焼き印があるのが特徴で、古くから、うちわだけでなく扇子や舞踊小道具も取りそろえており、日本文化を支え続けている。

うちわは単に扇ぐ道具というだけではなく、うちわに描かれている絵図や風景画から子孫に歴史を伝える道具にもなり得る。住井様は幼い頃からうちわ製作に触れ、現在も職人と共に伝統を引き継いでいる。デザインの担当もされており、現代に伝統の素晴らしさを伝えている。このような素晴らしい伝統と職人を守るには、時代と共に伝統文化を展開させていくことが重要である。

今回の講演では、私たちの生活の中にある伝統文化を再度見つめ直すきっかけとなる内容となった。またビデオ鑑賞や数種類のうちわを使い絵柄等を見てもらう場面では、Webカメラによって参加者全員にアップで映すことが可能となり、通常の講演では見られない微細な伝統工芸の一端を感じることができた。このように、講演をWeb配信で行うことの可能性を大いに感じることができる講演であった。(参加者 47名)

201116_machiya_1.jpg