北海道富良野地域にてプロジェクト演習を実施 〜観光と地域活性化、自然災害・防災の関わりに関するフィールドワーク〜
日程:2026年9月4日(金)〜11日(金)
科目:プロジェクト演習Ⅰ(B)・Ⅱ
担当:天野 太郎 教授
社会システム学科では、2005年から22年間にわたって北海道中心である富良野・美瑛地域において、観光や地域活性化を軸とした先進的なまちづくりや、地域連携を通した社会のあり方を学ぶ授業を持続的に実施してきました。
本年のプロジェクト演習Ⅰ(B)・Ⅱ(富良野)では、9月4日〜11日の7泊8日の日程で北海道富良野地域を訪問し、現地のさまざまな観光産業、自然環境、過疎や高齢化、中心市街地の衰退といった地域課題について現地フィールドワークを行いました。
一週間にわたる非常に幅広い学習内容の中で、ここでは2つのプログラムに着目して報告をしたいと思います。
まず第一に、地域住民との交流を通した地域理解に関するプログラムです。この授業では、富良野市で活動する地域活性化に向けた一般社団法人「暮しステーション」において、「みらい・まちづくりラボ」を中心とした方々にご参集いただき、これまでもさまざまな取り組みを行なってきました。今年度は、地域の方々、参加学生が撮影した「橋」の写真をベースにして、各地の「橋」を通した地域の課題、過去の市街地のあり方、人々のつながりなどについて語り合いました。観光で注目される富良野ですが、市街地の空洞化や高齢化に伴う諸課題、また行政の方針やこれからのまちづくりの方向性についても、学生と地域住民との「橋渡し」としての写真を通して、多岐にわたる観点から活発な議論を行うことができました。11月には現地富良野での写真展、さらには1月には京都での写真展展示を予定しています。
次に、観光と災害の関わりについてのプログラムです。この富良野地域は、自然災害を考えていく上でも重要な地域です。大正15年(1926)の十勝岳噴火では、大規模な泥流が発生し、麓の上富良野町、美瑛町などに甚大な人的・物的被害をもたらしました。この状況は、のちに三浦綾子によって「泥流地帯」という小説にも描かれています。
こうした自然災害は時に観光資源化する事例もみられます。美瑛町では、「丘」の景観そのものも火山の影響による地形景観ですが、火山泥流を防ぐ目的で作られた堰堤に溜まった池が、「青い池」として世界中から観光客を集めている実態について調査を行いました。この資源は、オーバーツーリズムの課題も抱えていて、その観点からも行政担当者からの講話を踏まえ、検討しました。
さらに、防災への取り組みがさまざまな形で図られています。その対応状況とともに、観光資源化している防災施設のあり方について、フィールドワークを実施しました。上富良野町郷土館では、当時のフィルム資料や被災した実物にふれ、その概要を把握するとともに、陸上自衛隊上富良野駐屯地では全国各地の災害救助に携わった方々からのお話を伺うとともに、救助の実態についての映像資料を含めて、地域防災のこれからの形に関して考える機会を得ました。
この十勝岳においては、授業実施後に山体付近を震源とする振幅の大きな火山性地震が増加・危険レベルが上昇し、火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が発出されました。さまざまな自然災害と向き合う私たちの暮らしの安全について、さらに災害への理解や防災の重要性について改めて肌で感じ、学ぶ機会を得るとともに、観光と災害の関係性について多角的に学ぶ貴重な機会となりました。




