観光と自然災害・防災の関わりに関するフィールドワークを実施(北海道富良野地域におけるプロジェクト演習)

日程:2025年9月11日(木)
科目:プロジェクト演習Ⅰ
担当:天野 太郎 教授
社会システム学科では、2005年から21年間にわたって北海道・富良野地域において観光を軸とした先進的なまちづくりや、地域連携を通した社会のあり方を学ぶ授業を持続的に実施してきました。本年の「プロジェクト演習Ⅰ(富良野)」では、9月8日〜15日の7泊8日の日程で北海道富良野地域を訪問し、現地のさまざまな観光産業、自然環境、過疎や高齢化、中心市街地の衰退といった地域課題について現地学習を行いました。
このような富良野地域は、自然災害を考えていく上でも重要な地域です。大正15年(1926)の十勝岳噴火では、大規模な泥流が発生し、麓の上富良野町、美瑛町などに甚大な人的・物的被害をもたらしました。この状況は、のちに三浦綾子によって「泥流地帯」という小説にも描かれています。
そうした教訓から、この地域では防災への取り組みがさまざまな形で図られています。その対応状況とともに、観光資源化している防災施設のあり方について、フィールドワークを実施しました。上富良野町郷土館では、当時のフィルム資料や被災した実物にふれ、その概要を把握するとともに、陸上自衛隊上富良野駐屯地では全国各地の災害救助に携わった方々からのお話を伺うとともに、救助の実態についての映像資料を含めて、地域防災のこれからの形に関して考える機会を得ました。
また、自然災害は時に観光資源化する事例もみられます。美瑛町では、火山泥流を防ぐ目的で作られた堰堤に溜まった池が、「青い池」として世界中から観光客を集めている実態について学ぶとともに、万が一泥流が発生した際に迅速に避難するための避難シェルターを駆け上がる体験を行い、観光地における防災の重要性を再認識するとともに、私たちの生活する京都や奈良での対策の実態についても考える機会となりました。


