町家で学ぶ京都の歴史と文化(2012年度)

2013/12/24
第15期

現代社会学部公開講座 現代社会学部公開講座 第15期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第4回「60・70年代における京都若者音楽文化の彷徨(さまよ)い」~

開催日:2013年1月19日(土)
講演者:諸井 克英[本学生活科学部教授]

60~70年代、音楽文化にとって関西、とりわけ大学の数の多い京都は全国的に発信する担い手としての位置づけがありました。本来、保守的であるはずの伝統的な京都の地に、既存の社会に対する若者の自由な発想が拒否されることなく、両者が融合しあい、自由闊達な風潮のなかに独特の若者音楽文化が創造されてきました。しかし高度成長期を過ぎ、若者の意識や媒体が多様化した今、音楽文化にとって京都という場の独自性や必然性は失せてしまいました。若者による音楽文化の軌跡は京都文化の一側面を如実に表しているようです。映し出される映像や歌声に懐かしいと感じ、口ずさむ中年以上の受講生。歌詞は理解しにくいけれどメロディーは共感できるという若者。世代を越えて音楽を感じ合う時を共有しました。

現代社会学部公開講座 第15期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第3回「雅(みやび)をのむ」~

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開催日:2012年12月15日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:金澤 宗維[裏千家業躰]

講座開始の数時間前から金澤先生とお弟子さん3人により手際よく準備が進められ、道具の取り合わせ、掛け軸、床に茶花が生けられると町家会場は俄かにお茶席となりました。軸に書かれた「和敬清寂」はお茶の精神が込められた四規。また茶道には「茶は服のよきように(心を込めて)点て、炭は湯の沸くように置き、冬は暖かく夏は涼しく、花は野にあるように入れ、刻限は早めに、降らずとも雨具の用意、相客に心せよ」という千利休が説いた七則があります。御点前を拝見し、薄茶と季節のお菓子をいただき、質疑応答では「裏と表の違い」等、わかりやすい解説がありました。四規七則を味わい、お茶の心に触れることができた楽しいひとときでした。


現代社会学部公開講座 第15期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第2回「大原の里と「志ば漬」」

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開催日:2012年11月10日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:土井健資[土井志ば漬本舗 代表取締役社長]

清らかな空気と水に恵まれた大原の地で育てられた、ちりめん赤紫蘇を茄子・胡瓜・茗荷と共に樽に漬けこみ、乳酸発酵により自然に熟成されて「志ば漬」ができあがります。土井志ば漬本舗ではものづくり・人づくり・組織づくりをモットーに、ちりめん赤紫蘇は種まきから収穫にいたるまで社員が総動員して自家栽培されています。伝統の技を受け継ぎながら、消費者の新たなニーズに応える商品開発に意欲的な土井健資社長の目には過去に学び、将来を見据えた一途さが垣間見れました。


現代社会学部公開講座 第15期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第1回「京洛(みやこ)で落〈洛〉語、よろしおすなぁー」~

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開催日:2012年10月13日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:講演者:桂九雀[落語家]

最初の演目は骨董屋を舞台に、融通のきかない丁稚が主人に教えられた通りに悉くとんちんかんな接客をしてしまうという古典落語「金明竹」。二席目は、宿代のかわりに衝立に絵師が描いていった雀が飛び出し、評判になったという「抜け雀」。雀の噺に盛りあがったところで九雀さんに因んで用意された「ふくら雀」の型が押されたオリジナルの練り切りの和菓子が運ばれると会場からは拍手が起こりました。最後は質屋の三番蔵に夜な夜な幽霊が出るという「質屋蔵」で締めくくり。聞きごたえのある落語三席の世界に引き込まれ、今年一年分の笑いだめができたようでした。

 

第14期

現代社会学部公開講座 現代社会学部公開講座 第14期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第4回「相国寺境内の発掘調査」~

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開催日:2012年7月28日(土)
場所:今出川キャンパス ジェームズ館J201
講演者:鋤柄俊夫[同志社大学教授]

同志社大学キャンパス拡充のため、今出川キャンパス北の旧相国寺境内地で新校舎の建設に伴う発掘調査が行われました。幕末から室町時代の遺構が発見されましたが、なかでも現在は通り名としてのみ残る「今出川」の存在と数ヵ所にわたる濠跡から応仁の乱後の改造の様子をうかがい知ることができます。京都は応仁の乱によって市中が焼野原になってしまったというのが通説となっていますが、上京に関しては乱後、濠を埋めるという大土木工事、ひいては拡張・整備による都市改造が行われたのではないかと推測されます。同志社大学今出川キャンパスの地下には京都がいかにして復興を遂げてきたかを知る鍵が眠っているのです。焼けつくような猛暑日に20名余りの参加があり、盛況のうちに14期の最終日を終えました。


現代社会学部公開講座 第14期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第3回「きものの春夏秋冬」~

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開催日:2012年6月2日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:毛利ゆき子[西陣和装学院学長]

季節の移ろいの表現は日本文化の美意識の根底にあります。きものは模様や彩りによって季節感を表現することができ、まさに日本人の心を映したものといえるでしょう。きものと帯の調和は色柄や地風とともに格を合わせることが大切です。あまり堅苦しく考えすぎずにきものを楽しんでいただきたいものです。講演当日の直前には同志社女子大学学生7名が指導を受けながら着装し、そのまま受講しました。第14期第3回の講座には定員をはるかに超える多数の参加があり華やかに、また盛況のうちに終わりました。


現代社会学部公開講座 第14期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第2回「日本酒造りに魅せられて」~

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開催日:2012年5月19日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:築谷みどり[北川本家醸造元]

「心の豊かな人は晩年になって幸せになる」という意味を込めた酒銘「富翁」で知られる、京都は伏見の北川本家。カリウム・カルシウムなどを含んだ中硬水を仕込水とし、やわらかで口あたりのよいお酒は、造り手の勘とたゆまぬ努力によって醸し出されます。発酵に興味を持ち、本学生活科学部を卒業後、北川本家醸造部に入社した築谷みどり氏は日本酒醸造の技術係として、子供を育てるような気持ちで日々、酵母に接しているそうです。個性を異にした3種類の清酒を試飲した聴講者たちは、いちように「人の和のなかでの酒造り。人の和を作ってこそ良い酒造りができる」という造り手の精神をくみとることができたようです。


現代社会学部公開講座 第14期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第1回「平清盛と『平家物語』」~

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開催日:2012年4月21日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:朧谷寿[同志社女子大学名誉教授]

本学社会システム学科生によるヴァイオリン演奏に、心を落ち着かせて始まりました。『平家物語』によると、平清盛の父は白河上皇で母は祇園女御。ゆえにあのような異常な出世をしたのだと・・・。史実は清盛の母は祇園女御ではなく、3歳の時に死別した、白河上皇の近辺にいた女性、という。落胤説は残りますが、父は忠盛とも考えられます。白河上皇の寵愛を一身に受けた祇園女御の父母もわかっていません。朧谷先生の語り口は、清盛時代の人たちがあたかも現代に生きているかのように感じてしまうから不思議です。今年のNHK大河ドラマのテーマだけに興味が尽きないでしょう。
気持ちの良い春の晴天の一日、第14期第1回の講座には定員をはるかに超える多数の参加があり盛況のうちに終わりました。