新年度を迎えた学生の皆さんへ

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新年度を迎えた学生の皆さんへ
〜コロナ禍と戦禍にあって希望を紡ぐ〜

 

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そして、在学生の皆さん、新年度の歩みの上に祝福をお祈りします。4月2日の入学式に続くオリエンテーション、そして、11日より春学期の講義が始まりました。例年より早い桜の開花に夏日の到来も重なり、体調を崩しやすい状況かとも拝察します。

この2年以上にわたる感染症拡大の猛威の中、様々な不安や苦悩を強いられてきた私たちでありますが、未だ厳しい現実に対峙せざるを得ない状況となっています。また、世界では目を覆いたくなる戦禍の現実が私たちの心に突き刺さってきます。いかなる時も最も弱くされている者への応答可能性(responsibility)へと拓かれ、小さくとも確実な歩みを築き続けたいものです。

創立者新島襄は同志社を退学させられた数名の学生たちに想いを寄せて、「人一人ハ大切ナリ、一人ハ大切ナリ」(『新島襄全集』1、107頁)との言葉を残しました。聖書と出会った新島は、数の小ささへの関心に留まらず、同志社内の価値基準により排除された存在へと繋がることの喜びを示唆しました。同志社の外側へと排除された「異質な他者」との出会いは、自分自身の絶対的な判断基準からの解放をもたらし、真実なる変容に基づく新しい自分自身を作り始めます。この解放を新島は「自由」と語ったのでしょう。厳しい現実の只中にあっても、この自由を仰ぎ、希望を紡ぐ者でありたいと思います。

同志社女子大学という「学修するコミュニティの一員」としての誇りを胸に刻み、自分だけの頑なな心を明け渡し、互いの違いを積極的に受け止めていきましょう。相手や自分の変化を恐れない叡智を忍耐強く育みましょう。そこに、希望に溢れた新しい景色が立ち現れてきます。本学に学ぶ、一人ひとりの掛け替えのない歩みの上に平安と祝福をお祈り致します。

月末からゴールデンウィークが始まります。「休息」との出会いも大切にしてください。いつもと異なる出会いが与えられることを願っています。喧騒から離れ、書籍や音楽や風景に身を委ねてみることも一興かもしれません。心の余白に吹き込む風を楽しんでください。

2022年4月25日       

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2022年4月25日     

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学長メッセージ