Shakespeare Production
シェイクスピア・プロダクション - 70年の歴史を刻む原語上演 -
「Shakespeare Production」(以下SP)は、本学科の3、4年次生を対象に設けられた、シェイクスピア劇を原語で上演するプロジェクト科目。1951年の第1回上演より70年以上続く歴史があります。原語での上演を通して英語力を向上させ、文学を深く理解するとともに、演劇という集団での創作行為が学生の人格形成にも大きく役立つプログラムです。3年次は作家の生涯、当時の社会、文化、宗教的背景から400年の批評史などを講義形式で学び、上演する劇作品を研究。4年次はディレクターである担当教員の指導のもと、実際に舞台を上演。この取り組みを通して培われた積極的や協調性は学生たちの大きな自信となります。
公演までの道のり
3年次の取り組み
3年次のSPI・IIでは、シェイクスピア理解のための背景的知識(劇作家の生涯、当時の社会的、文化的、宗教的背景、400年間の批評史、上演史など)を講義形式で学び、続いて、上演する劇作品の研究に入ります。辞書や文法書だけでなく、ビデオ、DVD等の視聴覚教材を活用しながらシェイクスピアの原文を精読するとともに、4年次での舞台上演を念頭においた多元的な作品理解をめざします。担当教員による講義だけでなく、学生同士でのディスカッションも重視し、作品解釈や演出法について活発な意見交換を行います。さらに春休みには、上演用台本(日本人学生が2時間以内で演じられるよう、原作を半分程度に短縮する)を、作成します。
4年次の取り組み
4年次のSPIII(通年科目)では、ディレクターである担当教員のサポートのもと、実際の舞台上演に取り組みます。4月にオーディションを行い、希望者の中からキャストを選びます。続いてスタッフ(助監督、広報・渉外・会計、照明、音響、日本語字幕制作、大道具、小道具、衣裳、メイク)を決定し、それぞれのパートごとに練習や準備作業を行っていきます。春学期は全体でのミーティングとパートごとの個別活動の2つを同時進行で行い、夏休みの合宿で、各パートの途中経過を発表します。秋学期からは学内外での広報活動を始めるとともにキャストとスタッフが共同で本格的な舞台稽古に入っていきます。学内リハーサルを行い、手直しを重ねた後、11月の一般公開の上演となります。上演修了後はパートごとに来年度の4年次生のための参考資料を作成し、さらに学生各自が舞台経験から学んだことをレポートにまとめ提出します。
この取り組みを通して培われた積極性や協調性が、学生たちの大きな自信となって就職や教職活動の場でも高い評価を受けるとともに、SPを取るために本学を選んだという受験生の数も年ごとに増加しています。 本学におけるシェイクスピア劇の原語上演は70年を超え、わが国の大学のカリキュラムにおける英語劇への取り組みとしては最も古い歴史を持っています。
参加者の声
S.Sさん 第74回(2024年度)
舞台に立って演技をしてみたいという好奇心から、Shakespeare Productionへの参加を決意しました。マクベスという大役をいただき、感情をこめて演技する難しさや、主役を演じるプレッシャー・不安を常に感じていました。そのような中でも、仲間と笑い合い、互いを励まし合えたことで、安心して本番に臨むことができました。SP74期は、そのようなメンバー同士の強い「団結力」があったからこそ、少人数という環境でありながらも成功を収めることができたと感じています。
Shakespeare Productionを通して、大切な仲間と出会い、自分の可能性に挑戦する大きな一歩を踏み出すことができました。
R.Hさん 第74回(2024年度)
元々舞台を観ることも表現することも好きで入ったSP。SPでの活動を通して演劇の奥深さを知り、かけがえのない仲間に出会うことが出来ました。先生方の熱心なご指導や、プロの音響・照明スタッフの方々との舞台創りを通して、ひとつの作品をもっと良くしたいという想いが高まり、仲間との絆も深まりました。何度も重ねた練習、沢山笑った息抜き、舞台から見た景色、振り返って出てくる経験全てが、私のこれからの糧になっています。
“Macbeth”に関わってくださった全ての方に、心から感謝と敬意を伝えたいです。
H.Kさん 第74回(2024年度)
SPに参加して一番良かったことは、これからもずっと仲良くしていきたいと強く思える仲間に出会えたことです。大学生になってから、チームでひとつのことに挑戦するという経験を得ることが難しいと思っていましたが、SPのおかげでメンバーと一緒に同じ課題に向かって走り続けることができました。3年生の春から4年生の秋までの約2年間を共に過ごした仲間の存在が、社会人になった今でも心の支えとなっています。
R.Zさん 第74回(2024年度)
2024年度は参加者が比較的少なく、全員がキャストとスタッフを兼任しました。毎日、メンバー同士で声を掛け合いながら練習に励んだことは、大学生活の中でも一番の思い出となりました。また、私はコスチュームや小道具の製作にも携わることができました。限られた予算や技術のなかで、みんなでより良い物を作り出せた時の達成感は、卒業した今でも大きな自信となっています。SPを通して、挑戦することや協力することの大切さを身をもって実感することができました。