11月11日は何の日?

2019/11/05

吉海 直人(日本語日本文学科 特任教授)

 

一般社団法人日本記念日協会の発表によると、1年で一番記念日の多い日は10月10日で、その次は11月11日だそうです。では11月11日には「ポッキー&プリッツの日」以外にどんな記念日があるのでしょうか。面白そうなのでちょっと調べてみました。


まずその日にちなむ歴史的なできごとはというと、真っ先にあげられるのが1918年11月11日に第一次世界大戦の停戦協定が調印されたことから、「第一次世界大戦停戦記念日」になっていることです。その日はヨーロッパ全体で共有されているだけでなく、ポーランドでは「独立記念日」となっています。


日本では応仁の乱が収まった文明9年(1477年)11月11日(旧暦)を記念して、新暦でもこの日を「西陣の日」としています。またややマイナーですが、宝石のカラットが日本に導入されたのが1909年11月11日ということで、その日は「ジュエリー・デー(宝石の日)」でもありました。


もう一つ、完全に日付が合致しているわけではありませんが、チーズに類する酥(そ)が文武天皇4年(700年)10月(新暦では11月)に製造されたことに因み、この日は「チーズの日」ともされています。また国会議事堂が昭和11年11月に建設されたことから、「公共建築の日」にもなっていますが、あまり知られていないようです。


数字の11ということでは、サッカーが11人対11人で試合するところから、当然のように「サッカーの日」にも撰ばれています。それだけではなく、11月11日は数字がタテに四本も並んでいるので、そこから「きのこの日」「チンアナゴの日」「もやしの日」「きりたんぽの日」「美しいまつげの日」「立ち飲みの日」「コピーライターの日」「ネイルの日」「えんとつの日」「箸の日」「串カツの日」などたくさん考案されています。こういった数字の並びが、記念日が多くなった理由のようです。


もちろん言語遊戯も有効で、「1」を「い」と読むと「11日」で「いい日」になるので、「いい出会いの日」にもなっているし、「いい日いい日」で「介護の日」にも制定されています。また英語で1をワンと読んで、ワンがたくさんあるから、あるいは大根が並べて干してある状態と似ていることから「たくあ(わ)んの日」ともなっています。これはやや苦しいですね。


さらに漢字の11をくっつけると「士」(土)になることから、「サムライの日」にも制定されています。同様に鮭の右の作りが「圭」であることから、「鮭の日」にも使われています。また「十一」が磁石のプラスとマイナスに見えることから、「磁気の日(磁石の日)」や「電池の日」にも定められています。


それと類似した発想ですが、コンセントの差込口が「11 11」に見えることから、「配線器具の日」にもなっています。同様の見立てで、弦四本の「ベースの日」でもあります。「二の字」の発想から「下駄の日」ともされています。その他、細長い麺にも見えるので「麺の日」でもあります。面白いのは(11)が豚の鼻に見えることから、「豚まんの日」にもなっていることです。


なお月と日が両方ともペア(同じ数字)になっているのは暦で唯一この日だけなので、「恋人たちの日」「おそろいの日」「くつしたの日」にも活用されています。こじ付けに近いのは、「一」を四つ組み合わせると正方形になることから「おりがみの日」になっていることでしょうか。似ていて違うのは、11と11が左右対称であることに目をつけて、「鏡の日」というのもありです。タテ棒とは別に、ピーナッツが双子であることから、「ピーナッツの日」にもなっています。


いかがでしょうか、11月11日に記念日が多い理由、納得できましたか。

 

※所属・役職は掲載時のものです。