【学生インタビュー】学生のアイデアが商品に!イオンコラボ弁当に込めた想いとは―生活科学部食物栄養科学科 管理栄養士専攻の3名にお聞きしました
本学生活科学部食物栄養科学科の学生が、京都市およびイオンリテール株式会社とのコラボレーションにより、「そうだ、野菜とろう!弁当」を考案しました。
本取り組みは、京都市が推進する「健康長寿のまち・京都」の実現に向けた健康づくりの一環として実施されたもので、本学と京都市との連携協定に基づいて行われています。同志社女子大学のほか、京都市内の管理栄養士養成校2大学とイオンリテール株式会社が協力し、計3種類のお弁当が商品化されました。
今回は、お弁当の企画から販売まで携わった生活科学部食物栄養科学科3年次生の(写真左から)三木哉恵可さん・松川千鶴さん・河野真奈さんに、取り組みの背景や工夫、学んだことについてお話をお聞きしました。
一折に込めた工夫と想い~試行錯誤の中で磨かれたお弁当づくり~
Q.「そうだ、野菜とろう!弁当」販売までの経緯について教えてください。

5月13日に行われた試食会の様子
松川さん:2年次生の授業の中で先生から企画についてのお話があり、キャッチフレーズや商品名、既定の栄養価を満たしているかどうか、完成イメージの写真などを条件に、まずは学内で書類選考が行われました。その後、選ばれたチームがイオンリテール株式会社を含めた最終選考に進むという流れでした。企画の説明を受けてから応募までの準備期間はわずか2週間しかなく、その日の夕方からすぐに打ち合わせを始めました。私たちは「普通のお弁当」ではなく、いかに印象に残る商品にできるかを意識し、アイデアを出していきました。
河野さん:応募したのは全部で24チームあり、その中から学内選考で5チームに絞られました。他のチームの完成度も高く、正直、自分たちが選ばれると思っていなかったため、結果を聞いたときは3人で涙を流して喜びをかみしめました。商品化が決定してからは、試作や試食会を2回行い、味や見た目を確認しながら内容をブラッシュアップしていきました。そうした工程を経て、実際に店頭で販売されるお弁当として形にしていきました。
Q.メニュー開発で意識した点や、こだわったポイントを教えてください。

三木さん:和食や洋食が中心となるお弁当売り場の中で、あまり見かけない韓国料理をテーマにしたことが大きなこだわりです。主食のチュモッパ風ごはんには韓国らしさを取り入れながら、日本人にも親しみやすい味になるよう工夫しました。たくあんで食感のアクセントを加えつつ、鰹節のうまみを活かすことで、塩分を抑えながらも満足感のある味わいになるよう工夫しています。また、野菜をたっぷり使用し、彩りの良さにもこだわりました。梅雨の時期でも、お弁当を開けたときに明るい気持ちになり、元気を届けられるような商品を目指して開発しました。
Q.開発を進める中で苦労した点や、やりがいを感じた瞬間を教えてください。

河野さん:メニュー開発では、食塩相当量やエネルギー量、野菜の使用量、脂質などの基準を満たしながら、おいしさと両立させることに苦労しました。特に食塩相当量が高くなりやすく、うまみや酢、香辛料を活用しながら減塩に努めましたが、塩分を抑えると味の満足度が下がってしまうこともあり、そのバランスを取ることに難しさを感じました。そのため、納得のいく味に仕上げるまで試作と改良を重ね、少しずつ調整を重ねていきました。
三木さん:家庭での調理とは異なり、大量調理を前提として、作業効率や提供のしやすさまで考慮する必要があった点に難しさを感じました。具体的には、運搬や時間の経過を踏まえた食材選びが求められ、水分対策としてソースは絡めず上からかける工夫をしたり、退色を防ぐために小松菜を野沢菜に変更したりしました。また、コストや調理条件の制約から、韓国らしさを意識していた鶏もも肉を豚ヒレカツに変更するなど、使いたい食材をそのまま使えない場面もあり、難しさと悔しさを感じました。こうした試行錯誤を重ねたことで、納得のいくお弁当が完成したときには大きな達成感を得ることができました。
Q.楽しかったことや印象に残っているエピソードを教えてください。

三木さん:お弁当の企画に取り組み始めた昨年の秋学期は、実験や実習、課題に追われる忙しい時期で、3人で時間を合わせて何度も話し合いを重ねました。当初はアイデアとして現在の韓国風のお弁当とタコライスの2案があり、どちらで応募するか、メニューはどうするかについて、何度も意見を交わしました。私たちは、気になる点や改善点について遠慮せず意見を出し合うことを大切にしており、誰か一人でも引っかかっている点があれば立ち止まり、全員が納得するまで妥協せずに話し合いました。そうした議論を重ねることができたのは、このメンバーだったからこそだと思います。冬の実験終わりに校門前で凍えながら遅くまで話し合ったことも心に残っています。3人で協力しながら一つの商品を作り上げた経験は、私にとって大きな財産になりました。
松川さん:企業で働く社会人の方と一緒に取り組めたことは、アルバイトとはまた違った貴重な経験でした。「男性が食べるなら揚げ物が好まれる」「お昼休みに食べることを想定すると、ガーリック入りは向かない」など、自分たちにはなかった視点を学ぶことができました。意見を求められたり、アドバイスを受けながらその場で自分の考えを伝えたりと、素早い判断や対応が求められる場面も多く、緊張感がありましたが、その分、商品が完成するまでには本当に多くの人が関わっていることを実感しました。
いよいよ店頭へ~発売日当日に感じた手応えと喜び~
Q.発売日当日のプレス発表はいかがでしたか。

6月3日に行われたプレス発表の様子
松川さん:発売日当日のプレス発表は、普段の学生生活ではなかなか経験できない、とても貴重な機会でした。テレビや新聞の記者の方々も来られており、慣れない場でとても緊張しました。取材では、お弁当のおすすめポイントについて質問を受けましたが、「チュモッパ」という言葉自体に馴染みのない年代の方も多く、どのように伝えるかを考えながら説明する難しさも感じました。
河野さん:店頭で実際にお弁当を手に取ってくださるお客さんの姿を見ることができ、とても嬉しかったです。また、お客さんとお話しする機会もあり、自分が開発に関わったと伝えると驚かれる場面もありました。友人も購入してくれて、「おいしかった」と言ってもらえたことが嬉しかったです。身近な人からの反応も含めて、商品が実際に多くの人の手に渡っていることを実感できた瞬間でした。
「食」を学ぶ、その原点~食物栄養科学科で広がる学びと可能性~
Q.食物栄養科学科で学ぼうと思ったきっかけを教えてください。
河野さん:祖父が糖尿病を患っており、幼い頃から食事制限に苦労する様子を間近で見てきたことが大きなきっかけです。食事が人の健康や心に大きく関わっていることを実感し、自然と栄養について興味を持つようになりました。また、家族の入院時に目にした病院食がとても印象的で、栄養バランスだけでなく、食べる人の気持ちにも配慮されていることに感動しました。その経験から、食を通して人を支える管理栄養士という職業に魅力を感じ、この学科で専門的に学びたいと考えました。

松川さん:小さい頃から「食」に興味があり、将来は食に関わる仕事に就きたいと考えていました。特に、小中学校の給食が自校調理でとても温かくおいしかったことや、みんなで食べて楽しかったことが印象に残っており、給食に関わる仕事にも関心を持つようになりました。同志社女子大学は大量調理の設備が充実している点に魅力を感じて受験を決意しました。また、入学前から今回のお弁当企画を知っており、大学生活の中でこのような実践的な経験をしてみたいと思ったことも理由の一つです。
三木さん:幼い頃から食べることが好きで、「食」に関することを学びたいという思いを持っていました。高校生のときに同志社女子大学のオープンキャンパスに参加し、整備されたきれいなキャンパスや、先輩方が丁寧に対応してくださった様子がとても印象に残っています。また、管理栄養士養成課程であることに加え、学びたい内容が自分の興味と一致していたことから、この学科へ入学したいと思いました。
Q.好きな授業と、その魅力について聞かせてください。

河野さん:私が好きな授業は「給食経営管理論」です。2年次生の春から履修しており、当初は座学が中心でしたが、3年次生になると、実際に100人分の給食を調理する「100食調理」に取り組みます。これまで学んできた知識を、実践の中で活かせるようになったことにやりがいを感じています。「100食調理」では、献立の作成や衛生管理、シフト作成、調理までをすべて学生主体で行います。栄養価や原価の計算に加え、作業動線や調理機器の使用時間なども考慮した「作業指示書」を作成する必要があり、難しさを感じる場面も多くあります。
私のチームでは中華料理の調理に取り組み、私はデザートを担当しました。ゴマ団子と杏仁豆腐の2種類を調理しましたが、硬さや具材の量、水分量まで細かく計算しながら試行錯誤を重ねました。本番前には円陣を組み、仲間と声をかけ合いながら調理に臨みました。完成させたときには大きな達成感があり、チームワークの大切さを改めて実感した貴重な経験でした。
未来へつながる一歩~これからの目標と後輩へのメッセージ~
Q.今回の経験を通して学んだこと、成長したと思うことを教えてください。
松川さん:今回の取り組みを通して、商品開発には斬新なアイデアだけでなく、実際に販売するための多角的な視点が必要であることを学びました。授業では栄養学や大量調理、原価管理などについて学び、それらを踏まえたメニューの提案を行ってきましたが、商品化の過程では、売上への影響や彩り、陳列時の見え方、さらには常温販売における品質管理など、より幅広い視点が求められることを知りました。企業の方との試作や改善を重ねる中で、自分たちなりに考えていた提案であっても、実際の現場ではさらに多くの条件を考慮する必要があることを実感しました。今回の経験を通して、これまで学んできた知識を実践につなげることの難しさと面白さの両方を学ぶことができ、大きな成長につながったと感じています。
Q.今後の目標や挑戦したいことを教えてください。

河野さん:食物栄養科学科は授業や課題、実験・実習などで忙しく、新しいことに挑戦するのをためらってしまうこともありました。しかし、残りの大学生活では「まずはやってみる」という姿勢を大切にし、何事も中途半端にせず、さまざまなことに挑戦していきたいと考えています。今回のお弁当制作や日々の実験・実習を通して、仲間と協力しながら一つのものをつくり上げる楽しさや達成感を学びました。改めてチームで取り組むことの面白さを実感するとともに、食について考える中で、より一層その魅力を感じ、もっと深く学びたいという気持ちも強くなりました。今後もその経験を活かし、人との関わりの中で自分自身を成長させていきたいです。また、サークルやアルバイトとも両立しながら多くの経験を積み、充実した大学生活を送りたいと考えています。
松川さん:今回の商品開発を通して、食事は栄養を摂るためだけのものではなく、食べる楽しさや幸せにつながるものであると改めて感じました。また、食事は人と時間を共有し、コミュニケーションを生み出すきっかけにもなると考えています。学びの中では栄養価の計算にとらわれがちですが、実際に取り組む中で、「美味しい」と感じてもらえることの大切さを実感しました。将来は管理栄養士として健康を支えるだけでなく、食べる楽しさや食を通じた人とのつながりの大切さも伝えられる存在になりたいです。家庭では好き嫌いがあっても給食では食べられるように、日常の中で行き届きにくい部分を食の面から支えられるような関わり方ができればと考えています。
三木さん:今回のお弁当プロジェクトでは、企画から販売までの過程に携わることができ、とても貴重な経験となりました。「どうすれば多くの人に喜んでもらえるお弁当をつくれるか」を考えながら取り組む中で、食は単に「食べる」だけでなく、「楽しむ」側面を持つものであることを実感しました。今後は、管理栄養士として必要な専門知識の習得に努めるとともに、さまざまな経験を通して視野や価値観を広げていきたいです。また、患者さんや利用者の方、顧客の声を直接聞きながら関われる仕事に就きたいと考えています。栄養面だけでなく、おいしさや食べる楽しさにも寄り添いながら、人々の健康を支えられる管理栄養士を目指していきたいと考えています。
Q.同女で学ぶ後輩や受験生にメッセージをお願いします。

河野さん:大学生活は、勉強だけでなく、サークルやアルバイト、人との出会いなど、さまざまな経験ができる貴重な時間だと思います。私自身、授業や課題に真剣に取り組む中で多くのことを学びましたが、それ以外の活動から得た経験も大きな成長につながり、かけがえのない思い出になっています。新しいことに挑戦するのは不安もあると思いますが、まずは一歩踏み出してみることで、自分でも気づかなかった興味や可能性に出会えることがあります。ぜひさまざまなことに挑戦し、自分の好きなことや夢中になれることを見つけて、充実した大学生活を送ってください。

松川さん:大学生活は、社会人になる前にさまざまなことに挑戦できる貴重な時間だと思います。私自身、これまで積極的に挑戦するタイプではありませんでしたが、今回の商品開発に携わったことで、授業で学んだ知識を実際の形にでき、「頑張った」と胸を張って言える経験になりました。新しいことに挑戦するには勇気が必要ですが、一歩踏み出すことで思いがけない経験や気づきに出会えることも多いと感じています。大学にはそのような機会がたくさんありますので、ぜひ積極的にチャレンジし、自分自身の可能性を広げてほしいと思います。

三木さん:大学では、高校生の頃に比べて行動の幅が広がり、さまざまなことに挑戦できる機会が増えます。経験したことのないことに挑戦するのは勇気がいりますが、その一歩が新たな価値観や学びとの出会いにつながり、自分自身の成長につながると感じています。興味を持ったことや挑戦してみたいことがあれば、ぜひ一歩踏み出してみてください。私自身、やらなかったらきっと後悔していたと思います。多くの経験を重ねながら、自分らしい充実した時間を過ごしてほしいと思います。
プロフィール
生活科学部 食物栄養科学科3年次生
三木 哉恵可
松川 千鶴
河野 真奈