照沼太佳子氏講演会『文字を見る、文字で伝える ーデザインの国際賞「東京TDC」とタイポグラフィ』
【2018年度 メディア創造学科講演会】
日時:2018年7月12日(木) 16:30〜17:30
講師プロフィール 照沼太佳子氏
1987年より東京TDC(Tokyo Type Directors Club)の活動に参加、現在事務局長。同団体が毎年主催しているグラフィックデザインの国際賞「TDC賞」を推進している。またフリーランスのキュレイターとしてグラフィックデザインの多数の展覧会を国内外で開催、ほかに長野オリンピック開閉会式パンフレットなど様々なデザインプロジェクトをまとめる。編集&クリエイティブディレクターとしてのデザインワーク多数。日本デザインコンサルタント協会会員。東京工芸大学芸術学部デザイン学科教授。
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グラフィックデザイナー、タイポグラファーの間では、国際デザイン賞「東京TDC」はよく知られています。受賞作品が紹介されるカタログは高質なデザインの参考資料としてみられ、そしてまた年刊自体のデザインも見どころとなっています。今回の講師である照沼太佳子氏は、1987年に「東京TDC」が設立した当初からのコアメンバーの一人です。
照沼太佳子氏の講演は宝箱のようでした。次から次へと話が展開し、おしゃべり感覚で聞けた話には奥の深いメッセージがぎっしり詰まっていました。
まず「東京TDC」についてお話しいただきました。
勉強会として始まった「東京TDC」は、1990年から国際コンペティション「東京TDC賞・The Tokyo TDC Annual Awards」を年に一度行ってきました。このコンペティションには様々なこだわりがあり、その一つが「作品は実物を提出して貰い、それを評価し、そして展示会で見てもらう」という規定です。デジタル時代に生きる我々は、作品のイメージを見ることが簡単な反面、オリジナル実物に触れる機会は少ないといえます。東京TDC展では本・カタログなどの実物に触れる事が可能です。
次にご自身の仕事についてお話しいただきました。
デザインとは一般的に作品作り、制作系の仕事に限定されると思われがちです。しかし照沼さんはカンファレンスのデザイン、キューレーションやデザインプロデュースなど、幅広くデザイン関連のキャリアを紹介してくれました。「デザインの制限は頭の制限」と言い、仕事の内容自体がデザインの対象である事を感じさせられました。
「仕事は楽しくていい」、「自分にしかできない仕事がある」と力強い励ましのメッセージを残し、楽しく弾むテンポで語られた1時間はあっという間に過ぎました。
(メディア創造学科 髙木毬子)