京都の和菓子屋で起業家体験!!
こんにちは!社会システム学科3年次生のみゆです。
私は『インターンシップⅡ』という授業についてご紹介いたします!
現在、この授業を担当されている大倉 真人先生の『インターンシップⅡ』は、
「和菓子店での起業体験」をテーマとしており、
京都府城陽市の和菓子屋 “御菓子司 松屋”さんにて、8月23~31日に実習などが行われました。
御菓子司 松屋は、奈良から五里(※)、京都から五里の城陽で、旅籠屋として創設しましたが、
JRの開通により、和菓子司として生業を変え、今の松屋となりました。
(※「里」=尺貫法における長さの単位。五里は約20km。)
城陽市の本店と、新ブランド「旅籠屋 利兵衛」を寺田本店と錦市場にオープンし、
和×洋の唯一無二の和菓子で人々に喜びを提供し続けています。
2023年には、菓ノ路という、菓子屋の独立をサポートするプロジェクトを立ち上げていらっしゃるのですが、
今回私はその研修センターにて8日間の実習を行いました。
和菓子の作り方や、財務会計の知識、ブランディングのノウハウなど様々なことを、7日間の研修で学びました。
そして最終日となる8日目には、オリジナルの和菓子を制作し、菓ノ路研修センターにて販売を行いました!
Day1
事前学習として、「和菓子」「松屋」「起業」をテーマにプレゼンテーションを行っていた私たちは、
初めて松屋を訪れ、社長の中川さんから改めて松屋の歴史とこのインターンシップの目的についてお聞きしました。
実習を行うための選考を突破した私たちも、自分自身の志望理由についてはっきりと声に出すことで、
意欲・目的の再確認となり、8日間の目標を明確に持つことができました!
また他の6人のメンバーの想いを知ることができ、メンバーに対する理解も深まったように感じます。
午後には実際に和菓子の製造研修を行いました。
初めて和菓子作りにチャレンジしましたが、想像以上に難しかったです。
特に私は体温が高いため、あんが溶けて手にくっつき、思うように形にできませんでした。
大切なのはスピード感。
ちまちまと行わず、大胆に作業したときに成功しました!
言葉で教わるよりも、実際に作ってみて成功した時の感覚を何度も経験し、
身につけることが必要だと感じました。
日々の努力が必要不可欠であることを学びました。
Day2
この日はどら焼き作りを教わりました。
機械で生地を焼き、あんこ・抹茶餡を乗せ、袋詰し、最後にシーリング(商品の密封)を行いました。
次々と出来上がるどら焼きがとっても可愛かったです!
あんこの量の調節がとても難しかったのですが、作業をするうちにだんだんとコツを掴み、
ちょうど良いあんこの量がわかるようになってきて嬉しかったです。
あんこも、どら焼き用やまんじゅう用など、それぞれに特徴があるあんこを作っていらっしゃることを学びました。
どら焼き用のあんこは少しゆるめに作られており、生地に乗せやすいように工夫されているそうです!
一通りの仕事を行い、作業全体を把握することで、ひとつひとつの作業の重要性を痛感しました。
例えば、梱包の大変さを知ったからこそ、生地にあんこを乗せるときに、
あんこがはみ出さないように気を付けるなど、
次の作業がしやすいよう工夫することができるようになったと感じます。
自分以外の作業者のことを想像し、苦労を理解することで優しさや円滑な作業に繋がることを学びました。
午後からは財務会計研修を行いました。
ストックフロー図(※)の見方や考え方について教わりました。
また、実際に最終日の出店時の財務会計を考えました。
(※「ストックフロー図」=システムやプロセスの動きを視覚的に表現するためのツール。
会計学において、財務状況を可視化するために使われる。企業の家計簿のようなもの。
ストックとは、ある時点での資産や負債の残高。フローとは、一定期間内の収益や費用の変動。)
自分たちで1から和菓子を作り、販売するためには、どんな費用がいくらかかるのかを考える良い機会になり、
今まで気にしたことのなかったところにまで目を向ける必要があることを学びました。
Day3
午前中はどら焼きの製造を行いました。
一連の流れを覚えた上で行ったため、前日よりもスムーズに進めることができました。
午後からは、インスタグラムを活用したプロモーションの方法について教わりました。
普段、何気なく使っているインスタグラム。
マーケティングという視点から見たとき、プロフィールやストーリーズがとても重要であったり、
フィード投稿とリール投稿は違う目的を持っていたり、
暇つぶしやコミュニケーションツールとして使うときとは違った面が見えてきました。
インスタグラムは多くの機能を持っています。
それぞれの特徴を見極め、効率的にプロモーションを行う。
マーケティングに限った話ではありません。
例えば、どんな企業に自分の特徴をアピールするべきなのか、など。
アルバイトの面接や就活などでも活かせる力ですよね。
『行動』そのものも大切ですが、『魅せ方』次第で伝わり方も変わることを学びました。
また、この日は、どんな商品にするのか、メンバー同士でディスカッションを行いました。
各々アイディアを出し合い、オリジナリティ溢れる商品を考えました。
具体的なアイディアについては、まだ確定していませんでしたが、
最終的には、団子をアレンジした商品を作りたいと意見がまとまりました。
Day4
この日の製造研修では、大福の作り方を教わりました!
イチゴやブドウが入ったあんこを、あつあつの求肥で包みます。
手に求肥がくっつくのはもちろん、求肥が一定に広がらなかったり、
包んだはずのイチゴが飛び出してきたりと、思うように形にできませんでした。
城陽の特産品であるイチジクは、イチゴやブドウよりも大きく、形がいびつで、さらに難易度が高かったです。
求肥の柔らかさとあんこの甘さ、フルーツの程よい酸味が相性抜群でした!
午後は、ブランディングの講義を受けました。
自己分析の重要性や競合他社と比較したときの独自性、商品の強み、ニーズの探し方などなど、
たくさんのことを学びました。
私たちは前日(Day3)のディスカッションで、最終日に団子をアレンジした商品を売ることを決定したため、
具体的に、団子という商品はどの位置に属しているのか、
私たちが売り込むべきポイントはどこにあるのか、あらゆる観点から見て、具体的に考えました。
「女子大生が起業体験で新しい和菓子を作っている」ということこそが、
私たちが売り込むポイントとなり得ます。
美味しさや斬新さだけではなく、「女子大生ならではの視点」を大切に、アイディアを固めていきました。
Day5
前日に決めたアイディアを実際に形にしていきます。
この日は朝から試作品を作っては、これでもない、あれでもない、と話し合いを重ねました。
“想像していた通りに、あっさりと作れるだろう”、という考えが甘かったことを痛感しました。
いざ作ってみると、想像と違う味だったり、
A案もB案も、考えたアイディアが全部うまくいかなかったり、どうすべきか行き詰まってしまいました。
味は美味しいけれど、どこかパンチが足りなかったり、詰め込みすぎると甘ったるく感じたり、
また、見た目が美しいだけではなく、食べやすさや美味しさを考慮した量の調整など、
商品開発の難しさを身にしみて感じました。
試行錯誤を繰り返し、やっと完成した商品は、最後にご紹介いたします!!
Day6
出来上がった商品の価格設定や、ネーミングについて、話し合いを行いました。
価格設定は、原価を計算して、商品ひとつあたりの原価を割り出し、そこから利益をプラスします。
利益が出なければ困りますが、私たちが買っても良いと思える値段に決めるのが難しかったです。
レジがしやすい、細かいおつりが出ないようにするという視点も大切です。
また、ネーミングも重要で、世の中にあるものは、キャッチーでありつつも商品の詳細がわかりやすく、
“買いたい!”と思わせる工夫がされていることを実感しました。
Day7
いよいよ準備も最終段階です!
ポスターやメニューなどを分担して作成しました。
これまでの話し合いを通して、全員が共通したイメージを持てており、
制作物に統一感があったことに驚きました。
ブランディングの研修で教わったように、カラー・トーンのイメージが統一されていたことで、
一気にまとまりを感じられました。
午後は商品製造です!
1日でコツを掴み、スピーディーに進めることができました。
作り置きは味が落ちてしまいます。
しかしスピーディーな提供が求められているため、どの工程まで今日のうちに終わらせるべきかを考えることで、
効率的に作りながらも、一番美味しいものの提供へと繋がったと考えます。
いよいよ本番を翌日に迎えました!
ゆっくり休んで明日に備えます。
Day8
最終日は朝早くから店舗の掃除やレイアウト決め、全体の流れの確認など作業がたくさんありました!
10:00と朝早くからの出店にも関わらず多くのお客様が足を運んでくださり、いきなり用意した商品が足りなくなるほどでした。
社長の中川さんが事前に呼びかけてくださっていて、その集客力の素晴らしさに圧倒されました。
同時に、来てくださったお客様に、真っ先にお声がけしたり、
お礼のメールを送っていらっしゃったり、中川さんの行動にハッとしました。
中川さんの細やかな気遣いによって、お客様は中川さんを応援したいと感じ、
中川さんに会いにここまで来てくださっていることに気が付いたからです。
単に、頑張っているから応援してください!と訴えているだけでは、
応援したいと思ってくれませんし、ましてやわざわざ集まってもくれません。
応援したいと思われる人になることが、とても重要であることを学びました。
市議会議員の方が来てくださったり、FM宇治の方が取材に訪れてくださったりと、
たくさんの方と交流することができました。
がんばってね、応援してるよ、美味しかった、とたくさんの暖かい言葉をいただき、感動しました。
ここまで頑張ってきてよかった、参加してよかった、と心から思いました。
さらに、美味しかったからまた買いに来ました、というお客様もいてくださり、とても嬉しかったです。
最後に、私たちが考えたオリジナル商品がこちらです!
「もちもち苺ショコラ」は、白玉と、カットしたイチゴ、チョコ餡と生クリームを乗せて、上からココアパウダーをかけた、
見た目から可愛い和菓子です。
程よい甘さがコーヒーとの相性抜群!!
「おさつ団子~パリパリ芋チップス~」は、お団子にさつまいもペーストを絞り、
砕いた芋チップスと黒胡麻を乗せた、パリパリとした食感を楽しめる和菓子です。
「おさつブリュレ団子」は、お団子に絞ったさつまいもペーストをバーナーで炙り、ブリュレにしました。
カリッとした食感と豊かな香りを楽しめる和菓子です。
ペロリと食べちゃうサイズで食感の違いをお楽しみいただけます。
ほろ苦い煎茶との相性が最高です!
おわりに
8日間の研修を通して、出店に向けたプロモーションやブランディング、財務会計を行ったことで、
お菓子を作る以外の作業も多くあること、
そして、その作業も単なる雑務ではなく、ひとつひとつがお客様を想った大切な工程であり、
細やかな部分にまで気を遣う必要があるという当たり前で大切なことを学びました。
さらに、今回は私たちに全面の信頼を置いてくださり、とても自由にさせていただきました。
その分、決定事項がたくさんあり、メンバー同士での細やかな話し合いが重要で、
意見の衝突が生じやすくなることを痛感しました。
しかし、意見をぶつけ合うことで、互いにインスピレーションを受け合い、
より良いアイディアの創出にも繋がります。
衝突を恐れず意見を出すことの重要性と、スムーズな話し合いのために、
相手へのリスペクトも欠かしてはならないことを学びました。
今回の『インターンシップⅡ』を通して、起業だけではなく、多くのことを学びました。
研修内容の通り、財務会計の知識やプロモーション・ブランディングのノウハウだけではなく、
成功のために、応援される人になることや、その努力、
より良いものを作るため、意見をぶつけ合うことの大切さ、完成までの目に見えない努力の数々、
実際に体験したことで得た学びも多くあります。
8日間を終えて、参加した意義を改めて実感しました。
今回は、「インターンシップⅡ」という授業についてご紹介いたしました!
同志社女子大学には他にもたくさんの面白い授業があります。
みなさんもぜひ、同志社女子大学の興味深い授業を履修してみてください!