現代社会におけるストレスについて

2016/10/03

木村 洋子(看護学部 准教授)

内閣府(2008)の国民生活白書によれば、「あなたは日頃ストレスを感じますか」という質問について、「ストレスを感じる」(「強く感じる」、「やや感じる」の合計)と回答した人の割合が57.5%と過半数を占め、多くの人がストレスにさらされながら生活していると報告している。なかでも、社会的にも、家庭においても多くの責任を担う40歳代が69.1%と最も高く、20歳代から50歳代では日頃ストレスを感じている人の割合が6割を超え、たとえ、10歳代でも52.0%であったと報告しています。

さらに、どのようなことを日頃ストレスと感じているかという質問には、「収入や家計に関すること」や「仕事や勉強」、「職場や学校における人間関係」など個々人によって様々な要因が影響していると報告しています。

現代社会は雇用形態を含めた社会構造の複雑化や価値観の多様化により、知らず知らずのうちに。身体的にも、精神的にも、社会的にも「無理」な状態を強いられることが多いと考えられます。「無理」な状態が常態化すると、「生活習慣に歪み」に生じます。例えば、「忙しすぎて帰宅は毎日真夜中になる」や「少しでも眠りたいから、朝食は食べない」、「食事はほとんど外食」など、このような経験をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか?

「生活習慣の歪み」は「様々な疾患の引き金」となり、「疾患への罹患」につながります。例えば、「疾患」に罹患した場合、そこで一度立ち止まり、「無理」な状態を見直し、「生活習慣の歪み」を改善する必要があります。しかし、現代社会は立ち止まったり、振り返ったりする猶予を与えてはくれません。時には、自分自身の若さや健康を過信し、たとえ「疾患」に罹患してもなお、「無理」をし続け、「生活習慣の歪み」はますます拡大するという悪循環に陥ることもあります。

日常生活のなかで、同じストレス事象(例えば、職場内移動)を経験しても、それを「ストレス」と感じる人と「ストレス」と感じない人がいます。もともと、その職場を離れたいと思っていた人は別ですが、ストレス事象が全く同じにもかかわらず、「ストレス」と感じる人と、「ストレス」と感じない人との間にはどのような違いがあるのでしょうか?

「ストレス」と感じない人の特徴として、「身体的に健康であること」「自己効力感が高いこと」「問題解決スキルが高いこと」「社会的スキルが高いこと」「ソーシャルサポートが高いこと」が挙げられています。

 「言うは易し行うは難し」と言いますが、日常生活のなかで一旦立ち止まり、「無理」をしている自分を客観視することから始めてみてはいかがでしょうか?

 

※所属・役職は掲載時のものです。