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学校組織の力を高めるための対話とチームづくり

2025/04/07

いま学校が大きな課題に直面していること。小学校で学級担任が不在になるなど人手不足が深刻なだけでなく、これまで以上に質的に高度な学力の形成が求められ、探究的な授業への転換が進められています。個々の教職員が個別に頑張ったり、能力を高めたりすることだけではこうした課題を解決することはできません。学校が組織としての力を高めることが不可欠です。

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連合教職大学院での実践的な教員支援

「連合教職大学院」というものをご存知でしょうか?私が本学から派遣されているのは、京都教育大学大学院連合教職実践研究科と言い、京都教育大学のほかに京都市内の9つの私立大学によって構成されています。私にとっては、主に現職教員院生の指導を行う職場であるわけですが、同時に研究と実践のフィールドでもあります。
現職教員院生はさまざまな課題や悩みを抱えて入学してきます。中には、教職を続けるかどうかぎりぎりのところで入学してくる院生もいます。そのため、教職大学院での授業は院生の課題や悩みに向き合い、それを再定義し、解決の方途を探る実践になります。そのプロセスは、院生相互および院生と大学院教員のあいだの対話づくり、チームづくりそのものです。その中で院生が自らの認識や感情を転換したり、対話づくり、チームづくりを体験したりすることになります。

学校と教職員を支援するネットワークづくりへ

こうした関係は毎月行っている研究会などを通じて修了後も続きます。例えばある修了生は、「私たち(教職員)は、何のためにここ(学校)にいるのだろうか?」というテーマで校内研修を行ったことを報告してくれました。立ち止まって根本から考えてみる機会として、好評だったそうです。 連合教職大学院では、2024年度から3年計画で教員が直面する困難について調査し、その解決をサポートするネットワークを開発する共同研究に取り組んでいます。教職大学院を起点に、学校と教職員を支援するシステムづくりができればいいと思っています。

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看護学校のリーダー養成と教育の組織マネジメント

20年近く取り組んできたこととして、看護学校のリーダー養成があります。看護学校の教務主任養成はおよそ半年間のプログラムで行われています。最近では教務主任手前の中堅教員の研修も整備されてきています。そうしたプログラムの中で学校の組織とマネジメントについて理解し、対話づくり、チームづくりの理論と手法を身につけてもらうようにしています。こうした研修づくりの相談を受けたり、校内研修や先生たちのグループの研修にかかわったりしてきました。小、中、高等学校のリーダー養成に比べると、看護学校のリーダー養成はシステム化が進んでいます。そこにかかわってきたことが、教職大学院での指導にも活かされていると感じています。

学校組織を支える対話とチームづくりの重要性

組織は人から成り立っているように思われがちですが、社会システムとして見ると組織はコミュニケーションから成り立っています。だから学校の組織力を高めるためには、教職員間のコミュニケーションの質を高めるための対話づくりが重要になります。なぜ今それが困難なのかを検討しつつ、対話づくり、チームづくりの理論と手法を研究開発することが私の研究と実践の課題です。

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