第14回卒後教育講演会を開催
2026年3月8日(日)、同志社女子大学京田辺キャンパス蒼苑館1階H101多目的臨床教育演習室において、「第14回卒後教育講演会」を開催しました。本講演会は、卒業生をはじめ薬剤師・医療関係者・薬学部学生を対象とした生涯教育の一環として開催しているもので、今回は「半世紀の知と実践を、次世代へ」をテーマに企画しました。
前半の講演では、本学薬学部医療薬学科 衛生化学研究室 特別任用教授 木津 良一先生 により、「衛生化学の教育・研究の50年を振り返って」と題した講演が行われました。講演では、これまでの衛生化学研究の歩みや社会における役割、教育の変遷について、長年の研究活動を踏まえて紹介されました。特に印象的であったのは、人の性別形成に関する遺伝子と環境の関係についての話題です。人の性別は単純に出生時に決まるものではなく、特定の遺伝子の欠損などにより、幼少期から思春期にかけて心身の性別が変化する事例が存在することが紹介されました。さらに、こうした現象には環境中のさまざまな要因が関与する可能性が示唆され、衛生化学が人の健康や発達に深く関わる学問であることが改めて示されました。
後半の講演では、本学薬学部医療薬学科 臨床薬剤学研究室 特別任用教授 森田 邦彦先生 により、「次なる四半世紀の薬物療法を見据えた薬剤師への期待―感染症治療を中心に―」と題した講演が行われました。講演では、感染症治療における抗菌薬の適正使用の重要性が強調されました。不適切な抗菌薬の使用は、治療効果を損なうだけでなく、耐性菌の増加を招く大きな要因となります。日本は医療先進国である一方、薬剤耐性菌の発生率が世界的に見ても高い水準にあり、世界で2番目とされる状況にあることが紹介されました。こうした状況を改善するためには、医療現場における抗菌薬使用の適正化が不可欠であり、その中心的役割を担うのは薬剤師であることが強調されました。特に、地域医療の最前線に立つ保険薬局薬剤師が、患者の薬物療法を継続的に支える立場として、抗菌薬適正使用の推進に重要な役割を果たすことが示されました。
当日は、薬学部の卒業生、在学生、教員のほか、医療機関の関係者など44名が参加しました。講演終了後には活発な質疑応答が行われ、薬剤師の社会的役割や薬学研究の意義について理解を深める有意義な機会となりました。