2019年度英語英文学科春学期講演会

2019/06/19

6月18日(火)に、今出川キャンパス楽真館R401にて、英語英文学科講演会を開催しました。講師に、第120回芥川賞受賞者であり、小説『マチネの終わりに』(渡辺淳一文学賞受賞)や『ある男』(読売文学賞受賞)などの作家として知られる平野啓一郎氏(小説家)をお招きし、「複数の自分を生きる」というテーマでご講演いただきました。

14歳で三島由紀夫の『金閣寺』に衝撃を受け、文学に目覚めたという平野氏が、その後人間の基本単位を考え直し、「分人主義」という独自の思想を展開するに至るまでの経緯をはじめ、その「分人」という概念を通じて何が変わるか、どのように自己肯定感を高めることに繋がるかなどわかりやすく語っていただきました。この概念との出合いが、アイデンティティについて思い悩む私たちの人生の一助になったのではないでしょうか。

会場には本学学生や卒業生、一般の方を含め約70名の来場がありました。貴重で示唆に富んだご講演で、参加した在学生からは、次のような感想が寄せられました。

・みんな人それぞれ無意識のうちに分人を使い分けていてもそのすべてがその人なんだという言葉に勇気をもらい、私もこのままでいいんだという気持ちになりました。

・もう少し早い段階でこの「分人」という考え方に出あいたかったと思うと同時に、今、この考え方と出あえたことで、今後はもっと自分を好きになり、認めながら生きていけるのではないかと思いました。

・平野さんのおかげで自分の全てを否定するのはやめて、「誰といる時の自分が好きか」を考え、自分を好きになっていけたらいいと思いました。

・好きな人が好きだけじゃなくて、好きな人といる時の自分が好きだという考えは本当に素敵だなと思いました。

・自己肯定感を高めるためにも、分人ごとの自分の好きな部分、嫌いな部分に分けて考えることを実践していきたいと思います。特に、「分人」という概念で自分を考えたことがなく、就職活動で自分とはどんな人間か分析する時に、すべての自分を1つのまとまりにして考えてしまっていたのでもやもやしたものがあったので、これから「自分とは何か」という問いを考えるのに役に立つと思いました。

 

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