現代社会学部公開講座 第27期 町家で学ぶ京都の歴史と文化 ~第1回『平安京の貴族のすまい・庶民のすまい』~

2018/11/15

講師:五島 邦治[京都造形芸術大学 教授]

貴族の住まい、庶民の住まい
平安時代の貴族の邸宅寝殿造は、間仕切りのない板の間に丸い柱が立っており、必要に応じて屏風や几帳で仕切って使われた。こうした貴族の邸宅は周囲を築地塀に囲まれていた。庶民の住宅も敷地の周りを塀が囲んでいて、現在の京町屋のように道路に面して直接戸口があることはない。ところが商業の発達は築地塀を壊し、その場所に店棚を開いて直接道路に面して建物を作ることになった。これが京町屋である。室町時代には、一町四方の区画の真ん中に公家の住宅が残り、その周囲の築地塀の部分が町屋にとって替わる。こうして公家の屋敷と庶民の町屋は互いに干渉することなく、共存してきたのである。京都の学校と町屋の在り方は、この公家邸と町屋の関係の痕跡を残している。

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