2025年5月 今月のことば

2025/04/30

2025年、早くも4ヶ月が経ち、新年度最初の一番バタバタする時期も少し落ち着いたところでしょう。世界も2025年から色々と変化しています。アメリカ大統領・トランプ氏の再選によって、何年も続いているロシアのウクライナ侵攻や、イスラエルとパレスチナの紛争は少しこれまでと違う展開をしそうですが、収束まではまだまだ時間がかかるでしょう。加えて、3月末にミャンマーで起きた大地震も、軍事政権の制限によって被害の情報入手も救助の提供も難航しているそうです。毎日このような暗いニュースばかりを見ていると、非常に心苦しく感じます。

聖書の中に、こんな言葉があります。

「できれば、せめてあなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。」
《ローマの信徒への手紙 12章18節》
日本聖書協会『聖書 新共同訳』より

この言葉は、今世界で起こっている紛争や災害に対して、私たちがどのように関わるべきかを示唆しています。もちろん、争いが一日も早く収束し、必要な人々に救助が素早く届く、といったことはみんな共通の願いでしょう。しかし、祈るだけでなく、直接被災地に住んでいない私たちにもできることが多くあると思います。例えば、募金やボランティア活動への参加は一番簡単でやりやすいことでしょう。それより大切だと思うのは、紛争の背景や被災の原因などを自ら調べ、どのような問題が絡んでいるのかを理解することではないでしょうか。そうすることによって、安易な偏見や誤解を防ぐことができるだけでなく、他者の痛みや立場を知ろうとする姿勢を身につけることは、自分の周りに類似した困難が起きる時にも非常に重要だと思います。

また、グローバリゼーションが急速かつ幅広く進んでいるこの時代だからこそ、世界の動向の理解が大切だと思います。これらの世界情勢がどのように日本に影響するのか、逆に日本がどのような対応をすれば、世界情勢に影響力を与えそうなのか。自然災害に備えるための知識や技術の共有はどのように役立つのか。このように、視野を世界へ向け、日本と世界を相対化する姿勢は、将来の日本を背負う大学生の皆さんにとって、さらに求められるでしょう。

したがって、遠く離れた場所にいる私たちが戦争や災害に苦しむ人々へ思いを寄せ、その苦しみを深く理解することが、癒しと和解の道への大事な第一歩ではないでしょうか。今こそ、癒しと和解のために行動するときである。私たち一人ひとりの小さな行いが、やがて世界の平和へとつながっていくことを信じて、歩んでいきたい。

(C・W)