2024年12月 今月のことば
最近、外国人観光客を見ない日がないほど、世界各国からたくさんの観光客が日本に訪れています。インバウンド効果のお陰で、コロナ禍で大きなダメージを受けた観光地がやっとコロナ前の活気を取り戻しています。
しかし、観光客が多すぎて地元民の生活が影響されたり、外国人観光客のマナーや英語対応に関するトラブルなど、いわゆるオーバーツーリズムも悩ましい問題となっています。SNSでも外国人観光客への否定的な投稿が散見します。
このような状況を見て、日本在住の外国人として、わたしはいつも複雑な気持ちになります。日本に暮らしている上で、オーバーツーリズムがもたらす影響を肌で実感しています。道も交通機関も混んでいたり、ホテル代が高騰したりして、少し窮屈に感じることを否めない反面、自分自身も外国人なので、SNSの外国人への否定的なコメントを見ると、自分のことを指していないとわかっていても、どうしても自分と重なってしまいます。
日本に外国人がたくさんいることは、やはり受け入れ難いことなのでしょうか。グローバリゼーションが凄まじい勢いで進んでおり、多様性と向き合うことが問われる現代社会だからこそ、多国籍の人々が居心地良く共存できる方法を模索しなければならないと改めて考えされられる日々です。もちろん、観光客と地元民が過ごせる環境を作るための政策などの取り組みは不可欠です。
人間同士として向き合うために必要なものは何か。エフェソの信徒への手紙 4章32節「互いに親切にし、憐れみの心で接し、神がキリストによってあなたがたを赦してくださったように、赦し合いなさい」。日本聖書協会『聖書 新共同訳』より。この聖書の一節を思い出しながら、文化や言語の違う旅人の包摂に向けて、一人ひとりの寛容な心が育つことを祈ってやみません。
(C・W)