2023年9月・10月 今月のことば

2023/09/20

イエスは言われた。「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい』」

(マタイによる福音書 22章37~39節)
日本聖書協会『聖書 新共同訳』より


 

私は毎年8月になると、祖母が入所していた介護施設での夏祭りを思い出します。

私は以前、阪神淡路大震災で家を失くした祖母と一緒に暮らしていました。祖母は戦争を生き抜き70歳まで仕事をこなし女性の鏡のような人でしたが、80歳を越え何度も骨折を繰り返し、数年前までの10年間は病院と施設を転々としていました。その間、認知症も進み、最後には孫の私も正しく認識できず、5分ごとに「あなたはどなたですか」「ここはどこですか」とまるで他人に話すかのようになっていました。

私は、看護師でありながら、すっかり痩せ細り老いた祖母を見るのがつらく、ついつい祖母の施設へ足が遠のくこともありました。もう最期だと聞いても、介護施設への往復で疲れた母を思うと、そうか、最期か、いよいよ最期かと少し冷静に考える私がいました。

2023年8月。祖母が亡くなり、もう3年が経ちます。しかし、介護施設での夏祭りの動画に映る祖母は笑顔で、娘や孫、ひ孫と盆踊りを踊っています。私は動画を観ては、なぜあのときもっと祖母の病気を理解できなかったのか、なぜもう一日、もう一瞬でも、祖母に会いに行かなかったのか、いつも私の生き方を応援してくれた祖母になぜもっと感謝を伝えられなかったのかと後悔しています。

「自分を愛すように、隣人を愛すこと。」

言葉では簡単ですが、実は家族に対してすら実践することは難しいと思います。私は、祖母に対する反省から、これから後悔を二度としないよう、夫や母、自身の子供との関わりのみならず、大学での人々との出逢いを大切にし、いつも誠実に向き合うことを心がけています。まだ自分を愛すように隣人を愛すことは十分にできていませんが、人に関心を向け、人と本音で向き合うことで、少しでも「愛す」に近づくことができればよいと思います。

さて、皆さんは、今、自分を愛すように隣人を愛せていますか。 

(S.K)