2023年7月 今月のことば

2023/07/03

命の泉はあなたにあり あなたの光に、わたしたちは光を見る。

あなたを知る人の上に 慈しみが常にありますように。
心のまっすぐな人の上に 恵みの御業が常にありますように。

(詩編 36編10~11節)

日本聖書協会『聖書 新共同訳』より

 


 

先日、薬学部では動物慰霊祭が執り行われました。この慰霊祭は、薬学部の研究や教育の過程で関わった動物たちの、喪失を共有し、心の平穏と癒しを求め、彼らへの敬意を捧げるために行われています。動物を用いた実験・研究は、学問・医療分野での成長と発展に欠かせない要素です。

そもそも私たちは他の生き物の命の犠牲無しには、存在できません。食物連鎖の中で、他の生き物の命をいただくことで我々は栄養を得ることができ、生命を維持することができます。

個人的な話になりますが、今から8年前、父を亡くしました。高齢で天寿を全うした親父でしたが、火葬場に上がる煙を見て、父の身体を構成していた元素や分子(炭素や水素や窒素、その他の成分)は、どこに向かうのだろう、もしもその分子を全て標識できたなら、その後を追っていけるだろうな、と想像したりしました。おそらくは父を構成していた分子は、世界中に拡散し、雨水・海や土に溶け込み、植物の栄養源となり、それがまた動物に取り込まれ、また新たな生命を育んでいることでしょう。

人や動物は、死後生まれ変わるのか、どうかわかりません。けれども、少なくとも分子的には再生され、いろいろな有機体に再結集され、新たな生命の誕生に繋がるのだと思います。ひょっとすると目の前の生き物にも親しい人の分子が取り込まれているかもしれない、そう思います。

私たちはありとあらゆる生き物の犠牲に対して感謝と敬意を持ちたいと思います。彼らは我々の学問の進歩や医療の発展のみならず、日々私たちの命を支えてくれています。その犠牲を忘れることなく、彼らの命に感謝し、彼らの存在を忘れず、1日1日を大事に暮らしていきたいものです。

(KY)