2021年12月 今月のことば

2021/12/01

あなたがたもこのように働いて弱い者を助けるように、また、主イエス御自身が『受けるよりは与える方が幸いである』と言われた言葉を思い出すようにと、わたしはいつも身をもって示してきました。」

(使徒言行録 20章35節)
日本聖書協会『聖書 新共同訳』より


人はどんな時に幸福を感じるのでしょうか。多くの場合、何か望んでいたものを得た時、与えられた時かもしれません。私たち人は、もらうことが好きです。自分が何かを犠牲にして人に与えることよりも、誰かから何かを受け取ることを好みます。確かに、何かを受け取ること、してもらうこと、与えられることは嬉しいですが、自分が受け取るだけで、他者に一切何も与えないことが幸せかというと、決してそうではないように思います。

新型コロナウイルス感染症の流行により、ステイホームを余儀なくされ、自宅周りで過ごす時間が増えました。ある時、カラタチの葉にアゲハ蝶の卵と幼虫をみつけ、室内で育てることにしました。幼虫は葉をもりもりと食べて日に日に大きくなります。数日毎に新しい葉を摘み、飼育容器も掃除してきれいに保ちました。蝶は幼虫からは考えられないほど美しい成虫となります。変態を繰り返して蛹になって2週間―蝶が殻を破って出て来て羽を伸ばす姿は言葉で言い表せないほど神秘的です。

このように、毎日続けてお世話した生き物が育ったり、草花が花や実を結ぶと嬉しくなった経験はありませんか。あるいは、人に何かをしてあげるととても喜ばれて自分も嬉しくなったり満ち足りた気持ちになった経験はありませんか。人は互いに与え合うことによって幸福な気持ちになれるのです。

自分には与えるものなど何もないと思う方もいるかもしれません。何もなければあなたの愛と親切を与える、例えば忙しいと感じている時でも自分の時間を少しだけ家族や友人のために使ってみたり、自分の話ばかりせずに話を聞いて欲しがっている人の声に耳を傾けるのはどうでしょうか。このように、私たちが自分自身を与えることによって、私たちの周りに幸福が生まれるのです。

「受けるよりは与える方が幸い」という言葉が真実であることを知るのは、実際に与える生き方をした人だけです。日々、忙しくしていると見過ごしがちな身近にある幸せの種に気づき、育てていける人になりたいものです。

(Z)