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新しきを、生きる人

Always rising to a new challenge
多彩な業界で活躍する同女の卒業生インタビュー

未来に描くのは、
苦労を減らし、幸せを増やす。
子育てしやすい社会。

#01

株式会社iiba 代表取締役社長
逢澤 奈菜(あいざわ なな)

東京都
新たな子育てインフラを構築する社会起業家

株式会社iiba 代表取締役社長
逢澤 奈菜(あいざわ なな)

学芸学部 情報メディア学科(現・メディア創造学科)
2017年 卒業
Interview01

サービスが生まれたきっかけは、
子育て中に苦労した私自身の原体験。

全国のお子さん連れに優しい公園・飲食店・遊び場などの「いい場所」を、マップ上で検索・共有できる口コミ情報プラットフォームアプリ「iiba」。私が2022年に立ち上げたスタートアップ企業「株式会社iiba」が開発・運営するサービスです。その背景にあるのは、私が子育てを始めたばかりの頃に経験した、母としての苦労でした。お出かけ先で授乳室の場所が分からない。こどもと少し散歩したいだけなのに、安心して行ける場所が見つからない。関西から上京し、親や友人も近くにいない環境で、頼れる人は夫だけ。「今まで知っていた街が、子育てによって知らない街になる」。そんな孤独感に包まれていました。特にストレスだったのが、欲しい情報を得るまでにかかるリサーチ時間です。原因は、子育て情報がデジタル上で集約されていないこと。役立つ情報ほどママ友の井戸端会議に頼っていたり、自治体の情報もアナログとデジタルが混在して点在していたり。自分の親世代が感じていたであろう不便さが、娘世代になっても解消されていない。その現実に、強い課題意識を抱きました。

「じゃあ、情報を集約したプラットフォームを、私がつくろう」。そう思い立ったのが、二人目を出産し、半年ほど経った時期。アイデアを思いついてから100件以上のアンケートDMを子育て層の方に送り、自ら地域を歩いて「いい場所」を探す日々が始まりました。ユーザーへのヒアリング、アプリ構築、改善の繰り返し。学生時代に学んだwebデザインやプログラムコードの書き方、そして企画提案に取り組んだ経験が、開発の手助けになりました。

Interview02

ビジネスコンテストで得た高評価。
起業を決意し、個人から会社事業へ。

大学卒業後は、ブライダル業界に就職しました。人生の節目に寄り添い、目の前にいる人の特別な瞬間を支える仕事に惹かれたからです。いきいきと自分らしく働きたい。キャリアを積み重ねていきたい。そんな想いはありましたが、このときは「起業しよう」とは考えもしていませんでした。ただ、思い描いていた働き方とのギャップに直面し、約1年で退職。その後は結婚・出産を経て、子育てと向き合う時間を過ごしました。

育児のすきま時間に、同志社女子大学で学んだwebデザインを学びなおし、フリーランスとしてweb関連の仕事を受けるようになっていったこと。そんな経験から、働き方の選択肢が少しずつ広がっていったように思います。再就職した企業も、「起業家精神」を重んじる会社で、営業職として企業の課題に向き合い、仮説を立て、提案し、成果を出すというビジネスの基礎を徹底的に鍛えられました。

転機となったのは、東京都のビジネスコンテストへの出場。育児と並行して開発した子育て支援アプリのサービスが評価され、約1,000人の応募者の中からファイナリスト10人に選ばれたのです。会社登記を条件に100万円の支援を受けられると知り、思い切って起業を決断。当時勤めていた企業を辞めて「株式会社iiba」を設立し、個人の取り組みから会社としての事業へ、大きな一歩を踏み出しました。

Interview03

子育て領域は利益が出ない。
ビジネスの構造に、風穴をあける。

会社事業として再スタートした「iiba」。アプリの情報量と質を高め、事業を加速させようとした矢先に立ちはだかったのが、子育て領域特有の収益化の壁でした。市場が成熟していないこと、利益を生み出しにくい構造。一企業の努力だけではどうにもならない現実を突きつけられたのです。それでも、立ち止まるわけにはいきませんでした。この構造に風穴をあけなければ、根本的な課題は解決しない。そう考え、アプリの拡張や事業運営に必要な資金を確保するため、資金調達に踏み出しました。投資家にコンタクトを取り、事業の可能性を伝え、出資を募る。しかし結果は全滅。話すら聞いてもらえないこともあれば、考えを全否定されることもありました。何十人と断られ続けて、「自分たちは社会に必要とされていないんじゃないか」と、落ち込む日も少なくありませんでした。そんなときは、長風呂に浸かって気分をリフレッシュ。メンタルを保つことに、精一杯だった時期です。

それでも事業を次のステップへと進めていくために、心がけていたことがあります。とにかく「iiba」の価値を言葉にして伝え続けること。投資家だけでなく、自治体、小規模事業者、大企業など、私たちの事業に関係するステークホルダーの方々へ話をしました。そうして対話を重ねるなかで、私たち自身が事業の本当の価値を一歩深く掘り下げ、本質を発信できるようになっていったのです。それが「新しい子育てインフラを構築する」というビジョン。子育てにまつわる情報の流れ、経済の流れをつくる。数十年先を見据えた社会の仕組みづくりそのものです。この考えを自分の言葉で語れるようになったとき、投資家の反応が変わりました。エンジェル投資家、さらにベンチャーキャピタルからの出資が実現し、現在は約2.5億円の資金調達に至っています。

Interview04

社会でいきいきと輝く女性を、
もっと増やしたい。

2025年現在、「iiba」のユーザー数は数十万人。掲載スポットは10万件を超え、多くの人に親しまれるサービスへと成長してきました。自治体との連携も広がり、たとえば京都府では、それまで紙媒体のみだった子育てマップを「iiba」を活用してデジタル化。街歩きイベントを企画開催するなど、地域とともに情報を育てる取り組みも展開しています。一方で、全国的にみると、子育て領域のデジタル化はまだ十分とは言えません。情報インフラの“詰まり”を解消できれば、それまでの苦労や負担から解放されるパパやママはきっと多いはず。かつて私が抱えていた悩みが次の世代では当たり前に解消されて、いつでも、誰でも、どこにいても子育てしやすい社会へ。よりパーソナルなサービスの実現を通して、親もこどもも、「楽しみ、笑い、幸せ」を感じられる時間を増やすお手伝いをしていきたいと考えています。

もうひとつ思い描いているのが、社会で活躍する女性、特に経営層の女性が増えたらいいなということ。経営者が集まる場に行くと、女性の数はまだまだ少ないんです。私の姿をみて、「一歩踏み出してみよう」「自分もやればできるかも」と思う人がいてくれたら嬉しいですね。それこそ、同志社女子大学が掲げている「リベラル・アーツ」の精神。固定概念にとらわれることなく、自分なりの視点をもって物事の本質を見つめる姿勢には、今なお強く影響を受けています。「女性だから」という無意識の偏見を取り払って、自分らしくいきいきと社会で輝く。その体現者のひとりとして、これからも「iiba」が掲げる「Makeワオ!」を合言葉に、期待を超える感動や喜びを世の中に届けていきたいです。

Turning Point

ターニングポイント

大病を患い、人生観が大きく変わった。

大学在学中に、大きな病気を経験しました。生死をさまようほど病状が悪化し、これまで当たり前だった日常が一変しました。休学を余儀なくされ、将来について立ち止まって考える時間が生まれたことも、今振り返ると大きな意味を持っていたと思います。そのとき強く感じたのが、「人生は一度きり」だということ。迷っているうちに人生は終わってしまう。ならばすぐに始めよう。今ある命を、誰かの幸せのために使おう。その気持ちが、卒業後の生き方や、起業という決断にもつながっています。

My Rule

仕事のマイルール
私の座右の銘は、「義を見てせざるは、勇なきなり」という孔子の言葉。正しいと分かっていながら行動しないのは、真の勇気がないからだという意味です。正しいことを地道に泥臭く積み重ねた先に、イノベーションはひらく。壁にぶつかるたびにこの言葉の重みを実感し、自身を奮い立たせてきました。
くらしのマイルール
平日は仕事に集中する分、週末は100%こどもとの時間。山や緑のある場所へ出かけることも多く、こどもと過ごす時間が自分自身をリセットしてくれます。そして経営者でありながらも、子育ての当事者であり続けること。くらしと仕事を切り離すのではなく、地続きで考える。その感覚は、「iiba」の事業をより良くするために欠かせないものだと考えています。

わたしにとって、挑戦とは?

Define of challenge
幸せなこと