DOSHISHA WOMEN’S COLLEGE LABORATORY MAGAZINE
Lab mag. ゼミの学びを知るWeb Magazine

音楽療法の学びから得るものは、
人と、自分と向き合う力。

北脇 歩 ゼミ
学芸学部音楽学科 音楽文化専攻

Lab mag. Doshisha Woman’s College of Liberal Arts | Seminar Introduction

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Laboratory Profile -ゼミについて

音楽学科 音楽文化専攻 北脇 歩 ゼミ Faculty of Liberal Arts | Department of Music

音楽の働きを「何のために」
「どのように」使うのかを考える。

音楽には、リズムに合わせて体が動いたり、リラックスしたり、懐かしい記憶を呼び起こしたりと、脳や体に働きかける力、そして人と人との社会的なつながりや、感情・思考・精神に働きかける力もあります。北脇ゼミでは、そういった音楽の持つ機能を生かして人に寄り添う「音楽療法」を体系的に学習。理論と技術力、コミュニケーションの技術を学び、音楽体験を通した人の支援方法の在り方を学生主体で考えます。

Teacher Profile

北脇 歩 准教授 Associate Professor Kitawaki Ayumu

大学を卒業後、アメリカの大学院で音楽療法について学び、現地医療機関の臨床音楽療法士として10年以上経験を積む。音楽療法科目群の教鞭を執る現在も、終末医療の現場での活動を継続し、「家族を加えての音楽療法」をテーマに、患者さんとその家族、双方の生活の質が向上するような音楽療法臨床について追究している。

北脇准教授が語る
同志社女子大学の学びについて dwcla TALK

What’s Lab Can Do? どんなことをするの?

  • Lab CAN 11〜3年次までの学びを生かし、
    自身に問い続ける。

    音楽療法に関する授業は1年次の概論からスタート。学生たちはこの授業で「音楽療法とは何か?」という大枠をつかみ、次年度の授業へと進みます。2年次は座学メインで音楽療法の基礎を学び、3年次には即興演奏の授業や、高齢者施設や病院などで行われる実習に参加。段階を追って音楽療法への理解を深めます北脇ゼミは1〜3年次の学びを踏まえ、音楽療法をテーマに卒業研究に取り組みます※。学生たちは引き続き実技や実習に取り組みながら、研究種となるテーマを模索。「日本で音楽療法が一般的に正しく広まっていない理由」や「音楽で引き出す“自分らしさ”とは何か?」「即興が得意な人とそうでない人の違いは?」といった幅広い問い立て、研究へと結びつけていきます。

    ※記事作成時の情報。2021年度以降入学生のカリキュラムでは、ゼミ活動を3年次より実施する予定です。

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  • Lab CAN 2学生を主役にする実技授業で、
    療法の根幹にある姿勢を学ぶ。

    北脇ゼミの特徴は、多彩な実技の授業。写真を見て、そこから想起する感情を即興で演奏したり、鼻歌を順番に歌ってみんなでメロディーをつくったり、音楽を聴いて自由に絵を描いたり。北脇先生がその日のゼミの雰囲気や、学生たちの表情を見ながら決定した内容で実技に取り組みます。自分たちの状態に合わせた実技の授業で学生が学ぶのは、「主役はセラピーを受ける方である」という音楽療法の鉄則。準備した演奏活動やプログラムを一方的に行うのではなく、対象者と関わり、対話を重ねるなかで、相手のその「瞬間」のニーズに適した音楽の用い方を柔軟かつ的確に導き出す大切さを、自ら体験し、学んでいくのです。

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  • Lab CAN 3 「音楽体験における表現に失敗はない」。
    肯定が重なり、自信を育てる。

    対象者を主役にする姿勢と同じように、北脇先生が実技を通して徹底して伝えるのは「音楽体験における表現に失敗はない」ということ。即興演奏で思うようにならなかったり、すぐに演奏ができなかったとしても、一音出すだけで意味がある。先生は学生たちの演奏や考えを全て肯定的に関心を持って受け止めることで、音楽に参加することや、自分の考えを表現することの素晴らしさを示します。こういった授業を繰り返すうちに学生たちの中には自信が育ち、演奏や発言を通じて自分を表現することへの苦手意識が消えていくのだそうです。培った姿勢は、実際の現場でも、安心できる環境で、音楽体験を通して自分自身ありのままに表現する、また表現して良いという対象者の気持ちを支える際に役立ちます。

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  • Lab CAN 4 ディスカッションを通じて、
    自身で深く考える姿勢を。

    北脇ゼミでは、音楽療法とは何か、自分らしさとは何か、といった問いを学生同士でディスカッションする授業も定期的に行われます。画一的な答えを導き出すのではなく、学生一人ひとりが自身に問い、そして考え悩みながらも答えを模索していくプロセスを体験することが、ディスカッションの目的。自分の内面や考えにしっかりと向き合うことで見出した音楽療法の核となる考えは、卒業研究テーマ設定にも役立っていきます。学生たちは導き出した研究の種を北脇先生と育てながら、先行研究レビューやアンケート、インタビューなど、さまざまな手法を用いて研究に挑戦。同時に音楽療法士の資格取得をめざして、筆記と実技、面接対策を進めます。

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Voice - Seminar Student Interview - ゼミ生インタビュー

  • VOICE 01 VOICE 01

    音楽を自由に捉え、自分なりの療法のかたちを見出したい。

    実家の病院で行われていた音楽療法に参加したことをきっかけに、音楽療法士をめざすようになりました。音楽療法に関する授業は発見の連続で、元々持っていた音楽への固定観念を取り払って、自由に音楽を捉えることができるようになったと感じています。特に心に残っているのが、音楽を聴いて絵を描くという授業。この授業から絵の中に無意識的に現れる「自分らしさ」に興味が湧くようになり、研究テーマにできないか検討中です。将来は実家の病院で音楽療法士として働く予定。現在は実施できていない個人セッションを盛り込むなど、私らしい療法のかたちを探究していくことが目標です。

  • VOICE 02 VOICE 02

    自分と向き合う時間が増えたことで、前向きなマインドが育った。

    入学時は、音楽教師をめざしていた私。しかし1年次の授業で、実際の音楽療法のさまざまな現場の様子を動画で観たことで、音楽療法に対する興味が高まりました。先生は、私たちによく「自分ともっと向き合って」と声を掛けてくださいます。人に心を開いてもらうためには、まず自分という人間をさらけだす必要があり、そのためには自身を理解することが不可欠だからです。そういった指導を繰り返し受けるうちに、自分が今何を感じ、どうすれば良い方向へ向かえるかを考える時間が増え、自分自身の心を前向きにケアできるようになったと感じています。

  • VOICE 03 VOICE 03

    音楽療法を通じて、ありのままの自分に自信を持てるように。

    北脇先生の授業を受け、ありのままの自分を受け入れられるようになったことは、私の人生の大きな一歩となりました。家族や友人など、相手によって色々な「自分」を使い分け、良く見せようとする瞬間は誰にでもあること。しかし音楽療法では対象者の方それぞれの「らしさ」を大切にします。かっこ悪くても、不器用でも「らしさ」を受け入れる。この姿勢を知ったことで、自分を飾り立てる必要はないんだと分かり、肩の力を抜いて過ごせるようになりました。音楽療法士としての知識や技術だけでなく、こういった人生の糧になる力も得られる点が、ミュージックセラピー研究の魅力だと思います。

Album ゼミの日常風景を、のぞいてみよう!

Calendar スケジュール

4年次生

  • 4月
    ゼミ配属。卒業論文のテーマ検討を開始
  • 5〜6月
    研究方法や先行研究を調査。アウトラインの作成
  • 7月
    進捗発表
  • 8月
    調査・研究を進める
  • 9月
    ゼミ合宿
  • 10〜11月
    文献調査、分析結果等に基づき、
    卒業論文を執筆
  • 12月
    卒業論文の発表・提出
  • 3月
    卒業