dwcla TALK ようこそ新しい知の世界へ

教員が語る同志社女子大学の学び

写真

「遊び」
×
「非認知能力」

生活や遊びのなかで
生きる力を育むこどもたち。
保育者はそんなこどもたちを
サポートする専門家です。

現代こども学科

真宮 美奈子教授

保育の「実践知」をサイエンスとして集積していくことが研究の目的です。

失敗を恐れず、あきらめずに物事に取り組み、友だちと力を合わせて工夫をする。分からないことを聞いたり、調べたりして、身につけた知識を活用する。
これらは生きるために必要な力であり、学力テストなどでは数値化されない非認知能力です。近年、幼児期に非認知能力を育むことは、人生の基盤になると世界の幼児教育のトレンドになっています。
私は「こどもの遊び」をテーマに保育の現場で研究を重ねているのですが、こどもが遊びに夢中になる中で非認知能力が総合的に育まれていくことがわかります。

現在は本学の竹井 史先生と共に、土を用いたこどもたちの遊びの様子や保育者の関わり方を研究しています。2021年8月は地域の保育所に毎日のように通い、こどもたちと竹井先生開発の土粘土(クレイ)を使った遊びの様子を観察しました。

通常の土粘土は乾くと石のように固まりますが、竹井先生開発の土粘土は乾燥して固まっても簡単に崩すことができ、砕くと粉々になるという特性があります。こどもたちはトロトロの土粘土に大喜びし、硬さや温度の違いに気づいた翌日は、その特性を生かした遊びを発見します。例えば、乾いたクレイを恐竜の卵に見立てて掘り起こし、友だちと全身を使って卵を探す遊びをします。砕いたクレイはアリのエサ、大きなものはゾウのエサにしようとする見立て遊びも始まり、五感が磨かれ、その子なりの気づきが育まれます。

保育所や幼稚園には必ず砂場はありますが、こどもの遊びに適切な砂の質については、まだまだ研究の余地があります。本学の笠間 浩幸先生は、砂の質を分析し、適切な砂場の環境整備に力を入れられており、エビデンスを積み重ね、よりよい砂場を多くの園に広めていきたいと考えています。

写真

現在の研究は、地域の保育所の協力と本学の教員の連携あっての研究です。今後は土粘土の調合や遊び道具の設置を行い、どのように環境を整えればより豊かな遊びが広がり、深まっていくのか、こどもの様子を観察し、保育者にインタビューを重ねていこうと考えています。

このように、保育の「実践知」をサイエンスとして集積していくことが私の研究の目的です。保育の現場には年齢・個性・状況の異なるこどもたちがいて、複雑なことが同時に起きており、均一なデータの蓄積が非常に困難なため、理論化する難しさがあります。保育者はこどもにとっての最善の援助を場面、場面で考え実践しており、それが保育の奥深さでもあります。だからこそ、保育の質を高める「実践知」の積み上げや専門性の研究を深めたいと考えています。

幼児教育や保育は、小学校入学に向けた予備的早期教育だと誤解されがちですが、そうではありません。こども自身が興味のあることを見つけて、面白さに気づき、試行錯誤や探求をする、困ったときには周囲に助けを求める、などの経験を総合的に積み重ねていくことを通して非認知能力を養う重要な時間なのです。

写真
写真

Read More

授業・ゼミ・実習を通じて保育者の専門性がわかり、
学生は大きく成長します。

こどもひとり一人を尊重し、支援する大切さに学生自身が気づくよう、ワークショップ型の授業を積極的に取り入れています。
例えば、保育現場の実際の映像を見ながら、保育者の援助やこどもの育ちなど、学生各々が気付いたことを議論し、共有します。遊びでも生活場面でも、こどもが考え、自ら選択できるように関わる、こどもを尊重するという保育の根本の理解を目指します。

こうした学びや実習を経て、学生のこどもや保育に対する捉え方が変わっていきます。「こどもは、お世話をして守る存在だと思い込んでいたけれど、そうではなかった。」と驚き、こどもの育ちを支援する専門家が保育者だと気づきます。同時に多くの学生は「自分にできるのか」と不安になりますが、「保育の奥深さがわかってきたから不安になる。それはあなたの専門性が深まった証ですよ」とエールを送ります。

ゼミでは、保育実習に向けた多様な活動を行っており、2021年度の春学期は3年次生を中心に「パネルシアター」を実施しました。Pペーパー(不織布)を使って児童文化教材を作り、それをパネルに貼り付けながら学生が演技をし、ゼミ生同士で互いにアドバイスをする実践的な活動です。

写真

絵本の読み聞かせにも取り組みます。最初はほとんどの学生が読むことに精一杯でスピードも速いのですが、絵本はこどもと保育者が物語の世界を共有して楽しむもの。こどもの頭の中で登場人物が動くようなスピードで読む大切さを繰り返し伝えています。

保育現場では文章を書く機会が多いことから、保育日誌を書く練習もします。保育の映像を見て日々の保育を記録するのですが、こどもを肯定的にとらえる考え方は理解できても、適切に文章で表現するのは難易度が高いことに学生が気づきます。例えば「〜させる」ではなく、「~できるようにする」といったこども主体の表現を使うなど、専門的な関わり方を言葉にする力を養います。

人間の成長において乳幼児期が重要だからこそ、保育の質を高めていくことが必要であり、そのためには、自分なりの保育観を持ち、自分の意見を伝える能力が不可欠です。自分の考えを適切に表現し、柔軟に行動できる社会人になってほしいと思っています。

写真

Read More

同志社大学「赤ちゃん学研究センター」での
インターンシップが始まります。

日々の授業では、私の解説や仲間の発表、自分の気づきを丁寧にメモし、前向きに授業やゼミ活動に取り組むなど、熱心な学生の姿に感心します。
学生が企画・運営して地域のこどもたちとの交流の場をつくる学科プロジェクト「こどパ」も熱気に満ちています。1年次生から3年次生まで約100人のスタッフが活発に意見交換をする姿には、こどものために何かをしたい、学びたい、という意欲があふれています。「こどパ」以外にも学年を超えた企画があり、学生同士で育ち合う風土が形成されているのも現代こども学科の良さだと思います。

この学科で特徴的なのは、現代社会学部の学科である点です。世界の貧困問題や家族支援など社会学的視点に立った授業科目が多彩で、各々専門性を持った教員から教育に限らず、現代社会について幅広く学べます。多様な考え方に触れて自分の思考を深めていく経験は、社会のあらゆる場で生かせると思います。

学びの場は学内だけではありません。本学科では、地域や企業と連携し、キャンパス以外の場でさまざまな学びにも挑戦できます。多様な価値観に触れ、学外の人と関わることで、自分の良さ・強みに気づき自信を得ることにも繋がります。それは社会に出たときに、大切な拠り所にもなるでしょう。
インターンシップ先も、企業をはじめ自分の専門性に合わせて選ぶことができます。2022年度からは同志社大学の赤ちゃん学研究センターでのインターンシップが始まり、最先端の研究に触れながら保育を深めることができます。学生のやる気や想いを教職員全員が応援し、サポートする意識が共有されているので、のびのびとやりたいことに挑戦できる環境が整えられています。

写真

Read More

受験生のみなさんへ

「こどもが好き」をきっかけとして、保育の面白さや保育者の専門性について一緒に学びましょう。「こども」をキーワードとした現代こども学科での学びは、こどもについての豊かな理解と同時に、こどもの視点に基づいて、これからの社会の在り方を考える大切な学びの場になると思います。 

写真

真宮 美奈子教授

現代社会学部 現代こども学科 [ 研究テーマ ] 遊びを通した子どもの学びと保育者の援助

研究者データベース