日本語日本文学科 高橋 幸平ゼミ Faculty of Culture and Representation/Department of Japanese Language and Literature
明治から令和まで。激動の時代の小説のなかに、
いまの私たちにつながる〈生〉の姿を読む。
ゼミで主に取り扱うのは、明治から令和までの小説。高橋先生が選定した小説を読んで、メンバーはその作品がどのような世界をどのように表現しているかを議論します。さらに、レジュメやパワーポイントを用いてグループ発表や質疑応答を行いながらゼミ活動を展開 。学生たちは小説を通じて、さまざまな時代の人物の生き方や、社会との葛藤・悩み・喜びといった、自分とは異なる〈生〉を追体験し、同時に、読者を惹きつけるレトリックや物語の技巧といった文学研究に関する知識を習得します。小説に限らず、ノベルゲームやアニメ、映画など、言葉を用いたフィクションを広く研究対象として、卒業研究に取り組んでいきます。
Teacher Profile
高橋 幸平 准教授 Associate Professor Takahashi Kohei
大学に入るまでに得意だったのはむしろ理系分野。しかし文学・音楽・美術のような芸術分野にも関心と憧れがあり、大学では文学部へ進学。あるとき新感覚派の作家・横光利一の『機械』を読んで驚きを覚え、近現代のモダニズム文学を研究対象とすることに。現在は作家や作品の研究だけでなく、〈フィクション〉と呼ばれる文化現象と人間・社会との関係について研究を進める。編著に『小説のフィクショナリティ』(2022)がある。
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読書感想文と研究とは何が違う?
そんな疑問が文学研究の第一歩に。2年次にゼミ配属された学生たちは、まず、研究の目的や方法などの予備知識がない状態で、短い小説の分析を行います。そのプロセスで、「文学研究とは何をすることなのか」「どんな方法があるのか」「ただの感想とは何が違うのか」という素朴な疑問が必ずわいてくるのだとか。春学期では文学研究の基礎を学びながら、この疑問を解消していきます。秋学期には芥川龍之介の『雛』や吉屋信子の『ヒヤシンス』など、本格的な小説の分析に挑戦。グループで調査・考察した結果をゼミで発表したり、個人レポートでさらに独自の解釈を発展させたりしながら、少しずつ文学に向き合う専門的な力を養っていくのです。
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何度も読み込み、話し合って
「これだ!」という解釈を見つける。ゼミが進んでくると、短い時間で小説を読み込み、分析し、解釈することが求められるようになってきます。ときには、メンバー全員が納得できる解釈が見つからず、作業が難航することも。そんな時は作品を繰り返し読み直して気になった部分をチェックし、ディスカッションを再開。ひとりで悩んでいるときには見つからなかったアイディアが、誰かと話すことでぱっとひらめくことも多いのだそうです。作品解釈が説得力を持つように、議論と並行して、主張を裏付ける文献も調査します。その際に学生たちが大切にしているのが、高橋先生の「自分の意見に合う文献だけでなく、反対意見の文献も大事にすること」といったアドバイス。これを実践することで、自分たちの無意識の思い込みに気づかされたり、逆に自説のオリジナリティや論証の強化につながったりするのだと言います。
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小説を読む楽しみ。解釈を聞く楽しみ。
作品の意味を二重に味わい、視点を磨く。3年次には、レジュメだけではなくプレゼンやポスターでの発表にも挑戦。限られた時間のなかで、作品の分析・意見の擦り合わせ・資料や原稿の作成といった多くの工程をこなすには、グループ内での役割分担が必要不可欠です。それぞれの得意分野を生かすだけでなく、スキルアップのためにあえて苦手な役割に挑戦する学生も。このようにして、文学研究の力はもちろん、人前で自分の考えをわかりやすく表現する力を身につけていきます。時間をかけて練られた発表を聴いて、聴き手が目から鱗の作品解釈を楽しむことができるのもこのゼミの魅力。登場人物の言動やレトリックの意味がわかったとき、難解だった作品が霧の晴れたように〈名作〉として理解できるのです。
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原稿作成を繰り返し、伝えたいことを文章化する力が成長。
原稿作成の工程に多く携わるなかで、聞いている人に分かりやすく、かつ、みんなの意見を上手く組み込んだ文章を作ることの難しさを痛感しました。行き詰まったときは、共に取り組んでいる人や高橋先生に相談。アドバイスを参考に繰り返し経験を積み、伝えたいことを整理して文章化する能力が身につきました。高橋先生は、発表後の質疑応答や意見交換にも参加してくださるので、私たちも触発されてもっと主体的に発言しようという気持ちになれます。今後は、自分が触れてこなかったパワーポイントやレジュメなどの資料作成にも積極的に挑戦しながら、卒論に着手していきたいです。
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目標は、作品の価値を引き出す「自分だけの表現」を養うこと。
自分の考えを人に伝えるのがあまり得意ではなかった私。でも、お互いの意見を尊重し合い、作品の解釈を通じて各々の人生観や価値観を共有できる環境のおかげで、次第に臆せず発言できるようになりました。成長を感じる一方で、自分のイメージを思うように言語化できずもどかしくなることも。そんなとき思い出すのは、言葉に「作品を構築している文字という媒体」以上の意味を見いだして、そのものに宿る力の魅力に触れよう、という高橋先生の言葉。私も卒論に向けて、もっと語彙やアイディアの引き出しを増やし、作品の価値を最大限に引き出せるような「自分だけの表現」を養っていきたいです。
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新しい解釈に出会うたび、文学研究の楽しさを再認識。
あまり読書をするタイプではなかったのですが、1年次生のときに受けた高橋先生の授業をきっかけに文学研究の楽しさに目覚め、このゼミを志望しました。話し合いのなかで新しい解釈が生まれたり、仲間の発表で自分が読み飛ばしていた1行の奥深さに気づいたりする瞬間が、とても楽しいです。また先生から「見せる文字」と「読ませる文字」のフォントの違いや、資料づくりのコツを教えていただき、レジュメやパワーポイントなどの資料作成にも詳しくなれました。このスキルを生かしながら、内容の濃さはもちろん、「この表現いいな」と思ってもらえるような卒論の完成をめざします。
2年次生
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- 4月〜3月
- 簡単な小説について分析・調査・発表、文学研究の基礎を学修する
3年次生
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- 4月〜3月
- 簡単な小説について分析・調査・発表、文学研究の基礎を学修する
4年次生
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- 4月〜6月
- 卒論執筆に向けた個人指導
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- 7月
- 第1回卒論中間発表
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- 9月
- ゼミ合宿、第2回卒論中間発表
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- 12月
- 卒論提出
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- 3月
- 論文集の作成、卒業
- 学芸学部 音楽学科 Department of Music
- 学芸学部 メディア創造学科 Department of Media
- 学芸学部 国際教養学科 Department of International Studies
- 現代社会学部 社会システム学科 Department of Social System Studies
- 現代社会学部 現代こども学科 Department of Childhood Studies
- 薬学部 医療薬学科 Department of Clinical Pharmacy
- 看護学部 看護学科 Department of Nursing
- 表象文化学部 英語英文学科 Department of English
- 表象文化学部 日本語日本文学科 Department of Japanese Language and Literature
- 生活科学部 人間生活学科 Department of Human Life Studies
- 生活科学部 食物栄養科学科 Department of Food Studies Human and Nutrition