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教員が語る同志社女子大学の学び

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「演劇」
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「英詩」

英米の詩を朗読し
分析することで
真の英語に近づいていく。

英語英文学科

辻 英子准教授

自分の声や体を使い、3次元でシェイクスピアを知る面白さ。

英国の劇作家ウィリアム・シェイクスピアは今から400年以上前、観客を楽しませるために数々の作品を書きました。それらは劇場に集まる多様な階層の人々を前にして演じるために書かれた芝居の台本です。それゆえシェイクスピア劇を真の意味で理解するためには、書斎でただ黙読するのではなく、声に出して読み、できれば実際に上演することが重要だと言われています。
同志社女子大学 英語英文学科では、シェイクスピア劇を原語上演する試みを70年前から続けています。現在も「Shakespeare Production」として、3・4年次生の多くの学生が履修している科目です。

本学の卒業生である私も、4年次生のときに劇に参加しました。下級生の頃は「シェイクスピアなんて、難しくてとっつきにくい」という印象を持っていましたが、3年次生で作品を講読し、4年次生で上演に参加したことで、シェイクスピアへのイメージが根本から覆されました。
高尚なイメージの強い「シェイクスピア」ですが、実は、俗っぽいジョークやおやじギャグまで盛り込まれています。王様からホームレスまで登場人物もさまざまで、キャラクターに沿ったセリフが書かれていることも演じることでわかりました。紙の上の2次元の情報ではなく、自分の声や身体を使い、3次元としてシェイクスピア劇を理解できたような感覚でした。

この経験をきっかけに大学院へ進み、現在までシェイクスピアの演劇論、劇作法をテーマに研究を続けています。400年前の劇を21世紀の観客に理解してもらうには、どんな点を現代的に演出すればよいのか、400年間の上演の歴史資料を解読しながら論文を執筆しています。

「Shakespeare Production」の授業も担当しています。学生は舞台上で台詞を語ることで、当時の観客がどのように作品を見ていたかも想像できるようで、いきいきと演じています。堅苦しい古典ではなく、楽しく親しみやすい作品だったんだと目から鱗が落ちるような感覚なのでしょう。私と同じ経験をしてくれているのを見るのは、とてもうれしいです。

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2018年『冬物語』(The Winter's Tale)

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1965年 『ロミオとジュリエット』(Romeo and Juliet)

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英米詩の朗読訓練は、正しい発音の修得につながります。

シェイクスピア劇の魅力は、何といっても台詞の素晴らしさにあると思います。詩人でもあったシェイクスピアの台詞の多くは独特のリズムを持った詩の形式で書かれています。

現在の私のゼミでは、シェイクスピアをはじめとした英米詩の研究をテーマとしています。16世紀から現代に至るまで、様々な詩を取り上げて朗読し、分析を行っています。音やリズムの工夫、とりわけ詩の形式と内容がどのように関わっているかに注目し、同時に詩を読むときの音声表現研究も行っています。

例えば、シェイクスピアのソネットや18世紀後半から19世紀初めにかけてのロマン主義時代を代表するウィリアム・ワーズワースの詩をよく取り上げます。同じくロマン派のジョン・キーツやヴィクトリア朝時代のアルフレッド・テニスンの詩も非常に美しくロマンチックで学生に人気です。20世紀初期のアメリカ詩人ロバート・フロストの作品に惹かれるという学生も多いです。

ゼミでの朗読は、4〜5人のグループで1つの詩を読む場合と、個人で朗読する場合の2種類があります。事前にYou Tubeなどでネイティブの朗読を聴きながら、何度も練習をしてもらいます。単語の正しい発音はもちろんのこと、息の強さを意識し、母音・子音を正しく響かせて自然な英語のリズムで朗読する。回数を重ねるたびに発音が上達し、自信を持って英語を音読でき話せるようになります。英語の教員を目指す学生はもちろんのこと、ネイティブらしい英語を身につけたいと思う人にとって、詩の朗読は楽しみながら継続できる訓練方法だと思います。

グループで朗読するにはタイミングや声の大きさ、トーンを合わせる必要があり、ゼミ生のチームワークのよさにはいつも感心します。英語英文学科ではグループワークを行う授業が多いため、学生は自然にチーム形成のスキルを身につけているのでしょう。そのスキルは卒業後も発揮されているようで、「同志社女子大学の卒業生が社内のチームビルディングに力を発揮してくれています」というお褒めの言葉を企業の方からいただくことも多いです。

卒業論文は主に詩の分析に取り組みます。例えば、沈んだ気分を伝えるために、喉の奥から絞り出すような音が使われているとか、心弾む様子が軽やかなリズムから読み取れるなど、詩の内容・テーマと形式の関係性を探究していきます。逆に重く暗いテーマでもあえて軽快なリズムで書かれているような、形式と内容が一見ミスマッチな詩もあり、なぜ詩人はそうした形式をとったのかを自分なりに分析していきます。英詩を研究することにより、英語運用能力のみならずその背後にある英語圏の人々のものの考え方、感じ方への理解も深まっていきます。

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教員・学生に代々受け継がれてきた、面倒見のよさが同女らしさ。

本学科の学びの特長は、少人数教育だと思います。1年次生から約20人のクラスを作り、教員はアドバイザーという形で高校の担任のようにきめ細かく、ときに厳しく指導をしますが、そのことで居心地のよさを感じている学生が多いようです。

面倒見のよさは教員だけでなく、先輩と後輩の関係においても発揮されています。私自身も下級生のころは先輩のみなさんにとてもお世話になり、充実した学生生活を過ごすことができました。卒業する先輩に感謝の気持ちをお伝えしたら「あなたが先輩になったときに、後輩たちに同じように対応してあげてください」と言われたことが今も忘れられません。そうした気持ちが代々、同志社女子大学の学生に受け継がれているのだと思います。

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受験生のみなさんへ

英語の本当の達人になるには、話す練習だけではなく、文法をおろそかにせず、読む、書くの地道な努力が必要です。slow and steadyたゆまぬ努力を続けることが大事です。本気で英語を勉強したい人、コツコツと努力できる人を私たちはきちんと評価し、サポートします。一緒に学びましょう。

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辻 英子准教授

表象文化学部 英語英文学科 [ 研究テーマ ] シェイクスピアの作劇術

Lab Mag. ゼミの学びを知るWeb Magazine

研究者データベース

卒業論文一覧

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卒業論文テーマ例

  • 「森と語り手から見る死生観―Robert Frostの2篇の詩の比較考察―」
  • 「Shakespeareのソネット集におけるジェンダーと美の価値観」
  • 「Alfred Tennyson とRobert Browningの詩における女性の描かれ方」
  • 「Christina RossettiとEmily Dickinsonの詩に見られる恋愛観と死生観」
  • 「2つの‘The Daffodils’―William WordsworthとRobert Herrickの水仙への想い―」
  • 「ディズニー映画の歌詞から見る女性の自立化」
  • 「KeatsとShelleyの作品に見られる人生観」
  • 「Langston Hughesと黒人文化」
  • 「Christina RossettiとEmily Brontë、Emily Dickinsonの詩に見られる宗教観」
  • 「Shakespeareのソネットに見られるレトリック」
  • 「John Keatsの作品に描かれる“美”について」