
栄養管理部
管理栄養士専攻 卒業
同志社女子大学大学院
生活科学研究科
食物栄養科学専攻修士過程 修了
臨床に立ち、研究で問い直す。
そこから描く、栄養管理の新しいかたち。
大学病院で栄養管理に携わりながら、研究にも取り組む卒業生。臨床の現場で患者一人ひとりに向き合い、その経験を研究へとつなげ、さらに新たな支援の形を模索しています。研究と臨床を行き来するなかで見えてきた、栄養指導の可能性とこれからの展望にせまります。
「食」から始まった興味が、
命に向き合う仕事へと変わっていく。
管理栄養士という進路を意識したのは、高校2年生の頃。明確なきっかけがあったわけではなく、「資格を生かして働きたい」という想いのなかで、身近だった“食”の分野に興味を持ったことが始まりでした。しかし、大学に入ってからその印象は大きく変わります。特に心を動かされたのが、臨地実習先の病院で働く管理栄養士の姿でした。命と向き合う現場で、医師や看護師と連携しながら患者を支え、さらに退院後の生活まで見据えてかかわっている。その姿に、この仕事の役割の大きさと奥行きを感じました。加えて、現場の業務と並行して、学会発表や論文執筆など研究にも取り組んでいる姿も印象に残っています。目の前の患者だけでなく、栄養分野そのものの発展にも携わっていく。その在り方に惹かれ、「自分もこの道で専門性を高めていきたい」と思うようになりました。
臨床と研究、その両方に向き合う
大学院という選択。
大学卒業後、すぐに就職する道もありましたが、選んだのは大学院進学でした。「本当にこの道でいいのか」を考える時間を持ちたかったからです。大学院では、1年間病院でインターンを行いながら、研究に取り組みました。診察に同席して患者さんの話を聞き、NST(栄養サポートチーム)のカンファレンスに参加しながら、日々変化する病態に対して栄養をどう組み立てていくのかを現場で学んでいきました。修士論文では、妊娠糖尿病の患者さんを対象にした遠隔栄養指導をテーマに、糖尿病内科の医師と連携して研究を実施。患者さんへのアンケートをもとにデータを収集・分析し、論文としてまとめていきました。
そうした経験を通して、臨床と研究が切り離されたものではなく、互いに連動していることを実感。さまざまな現場や働き方に触れるなかで、自分は「臨床の現場に立ちながら、研究を通してその知見を広げていく」ことに価値を感じているのだと気づきました。国家資格を取ることがゴールではなく、その先でどう私の強みを発揮していくのかを考えた過程が、今の大学病院という進路選択につながっています。
その人にとっての「食べる」を、
一緒に考え続けていく。
現在は、呼吸器内科や皮膚科の入院患者さんの栄養管理を担当しています。新しく入院された方のもとへ伺い、これまでの食事や生活背景、体調の変化などを丁寧にお聞きしながら、必要に応じてその日のうちに食事内容を検討します。なかには、治療の影響で食事が取りづらい方や、病態によって栄養管理が必要な方も。口から食べることが難しい場合には、経腸栄養や点滴による栄養管理を行うこともあり、血液データや症状をもとに必要な栄養素を組み立てていきます。また、医師や看護師と日々情報を共有しながら、患者さんの状態に合わせて調整していくことも大切な役割です。さらに、退院後の生活を見据えた栄養指導や、入院前からのサポートにかかわることもあり、仕事内容は多岐にわたります。
正しさだけでは届かない。
だからこそ、人に寄り添う。
食事が難しくなり、胃に直接栄養を入れる方法(胃ろうなど)を選ばれた患者さんを担当したときのこと。今後の生活への不安や戸惑いを抱えながらも、仕事の都合で栄養投与の回数に制限があり、必要な栄養量を満たせない状況でした。何度かお話を重ねるなかで、ご本人も「このままでは足りない」と気づきながらも、どうすればいいのかわからない状態であることを打ち明けてくださいました。そこで、生活リズムに無理のない形で栄養を確保できる方法を一緒に検討。この経験を通して実感したのは、専門的な知識を伝えるだけでは十分ではないということ。その人の生活や状況に合わせて、無理なく続けられる形で提案すること。そして、受け止めてもらえる言葉で伝えることの大切さです。 “正しさ”だけが、栄養指導じゃない。その人の暮らしに寄り添うことの本当の意味を、痛感した出来事でした。
自宅にいながら指導を受けられる、
新しい栄養管理をめざして。
今後は、病院のなかだけで完結しない、遠隔での栄養支援にも取り組んでいきたいと考えています。例えば、通院が難しい状況でも、自宅にいながら相談できることで、生活環境や家族とのかかわりも含めて、より実態に近い支援が可能になります。大学院で取り組んだ遠隔栄養指導の研究を、大学病院の研究環境で応用・発展させながら、栄養指導の可能性を病院の外へも広げていきたいです。まだ模索の途中ですが、研究と臨床の両方にかかわりながら、目の前の一人と向き合い、その人に合った栄養管理のあり方を見出していければと考えています。








