パンダキッズ元町
児童発達支援
音楽療法士/保育士
音楽文化専攻 卒業
こどもたちの変化を原動力に、
音楽療法の可能性を模索。
音楽療法士兼保育士として、支援が必要なこどもたちの指導にあたる卒業生にインタビュー。音楽をどう活かせば、こどもたちが成長する力を引き出せるのか。日々試行錯誤を重ねながら、保育と療育に奮闘する日々に迫ります。
高校1年生のときに知った、
「音楽療法士」という職業に憧れて。
幼い頃から児童合唱団や吹奏楽部に所属し、音楽に親しんできた私。一方で、人とかかわることが好きだったため、音楽を突き詰める演奏家をめざそうとは思っていませんでした。そんなときに知ったのが、「音楽療法士」という職業。大好きな音楽を通じて、人と交流もできる、まさに自分のやりたいことにぴったりだと思いました。ただ当時の私はピアノが弾けず、大学で音楽を学ぶにはスキル不足であることが発覚。そんな私のために部活の顧問の先生が見つけてくれたのが、同女の音楽学科 音楽文化専攻でした。半ば諦めていた夢を追いかけられることがうれしく、絶対この学科に進学しよう、と心に決めたことを覚えています。
授業を通じて知ったのは、
音楽を奏でることで、
人との関係性を築く大切さ。
太鼓の振動を体で感じさせることで、耳の聞こえないこどもに音楽療法を行っている映像を見たり、履修者全員がそれぞれ異なる方法でタンバリンを鳴らすことに挑戦したり。大学では、さまざまな映像資料や体験的な授業を通じて、音楽との新しい向き合い方を学びました。その結果気づいたのは、音楽療法は “指導”ではないんだということ。その場にいる全員が「ここではどんな音を奏でてもいいんだ」「音楽とどう向き合ってもいいんだ」と思える関係性を築くこと、人と人との間を音楽で満たしていくことこそが、療法につながるんだと知りました。このような「関係性を第一に考える姿勢」は、音楽療法士兼保育士として働く今でも、大切な軸となっています。
保育士資格も取得していたことが、
就職を決める後押しに。
音楽療法士の就職先は、日本ではまだまだ少なく、高齢者施設などが主な活躍の場となっています。ただ私は昔からこどもが大好きで、「こどもの成長を支える音楽療法士になりたい」という、強い想いを抱いてました。3・4年次に高齢者領域、成人領域、こども領域の施設での実習に参加し、その想いを再確認した私は、在学中に音楽療法士に加えて保育士免許も取得。両方の資格を取れたことが、今の職場に就職を決めるにあたって、大きなアドバンテージになったと感じています。
その子らしい成長をめざして、
継続的にこどもたちと関わる。
私が働くパンダキッズは、支援が必要なこどもたちを預かり、保育や療育を行う事業所です。音楽療法士の資格を持ったスタッフの採用は私が初めてなので、音楽をどのように用いるかは、日々の業務を通じて試行錯誤しています。保育業務を軸にしながらも、音楽を使って体を止める・動かすことを学んだり、歌をつくって1週間の曜日を覚える手助けをしてみたり。音楽療法は通常単発的なものになりがちですが、毎日こどもたちの顔を見ながら、療法的アプローチを続けられるのが今の仕事の魅力。少しずつできることが増えていくこどもたちの姿が、何よりのやりがいです。
アプローチを模索しながら、
音楽療法士の仲間も増やしたい。
日本ではあまり広がっていませんが、本場アメリカなどで行われる音楽療法は、全体をリードする人・音楽を奏でる人で役割を分け、複数人の療法士によって行われます。そういった先進国のノウハウも参考にしながら、こどもたちとつながる音楽の在り方を探求することが、私のミッションだと思っています。最近は、ひとつの事業所に音楽療法士の有資格者を複数人配置する方法を模索中。思いついたアイディアを積極的に提案していくことで、こどもたちへの音楽療法をより充実させていくことはもちろん、音楽療法士の活躍の場を増やし、音楽療法に対する認知そのものも、広げていきたいです。