演奏専攻 卒業
音楽を通じて自分にできることを、
どこまでも自由に、広げていきたい。
好きだから、続ける。その一心で音楽の道を歩み、現在はバイオリニストとして活動する卒業生にインタビュー。大学の4年間、卒業後のフランス留学、そして演奏家/指導者として奮闘する日々を通じ、広がり続けている音楽への想いを語っていただきました。
音楽に包まれながら学んだ、
人と共に演奏する楽しさ。
バイオリンを続けつつ、音楽以外にも視野を広げたい。そう思って、総合大学である同女の音楽学科を選びました。入学して感じたのは、音楽に包まれる生活への驚きと喜び。高校では普通科に所属していたこともあり、一人で音楽と向き合うことが当たり前だった私にとって、音楽に情熱を注ぐ仲間と過ごす毎日はとても新鮮で、「もっと頑張ろう」と奮い立ったのを覚えています。印象深いのは、オーケストラの授業。呼吸への意識が大切な管楽器や、鍵盤を叩いて奏でるピアノなど、音との向き合い方がバイオリンとは異なる楽器との重奏を経験できたことは、演奏家になった今でも役立っています。
フランス留学がくれたのは、
「音楽は自由だ」という気づき。
「音楽を続けたい」と思いながらも進路が決まっていなかった私を、演奏家の道に導いてくれたのは、恩師である山本裕樹教授でした。演奏家をめざすなら、とヨーロッパへの留学をすすめていただき、卒業後はフランスの音楽院に進学。フランス語が分からない状態で渡航したため、言葉の壁はありましたが、音楽を通じて周囲の人と通じ合うことができ、改めて音楽の素晴らしさを感じました。留学中に最も感銘を受けたのは、周囲の学生たちが「楽しむ」ことを大切に、自由にのびのびと演奏している姿です。「音楽はもっと自由でいいんだ」。そんな気づきを得たことで、演奏家をめざす気持ちはさらに強くなっていきました。
生徒だった頃の気持ちを忘れず、
こどもたちと向き合って。
帰国した後は、以前通っていた音楽教室からお声をかけていただき、こどもたちへの演奏指導に携わるようになりました。指導者として私が大切にしているのは、「自分が生徒だった頃の気持ち」です。私自身も、真面目にこつこつ練習をするのが苦手な生徒だったからこそ分かるのですが、できていないことばかり指摘されると、音楽そのものが楽しめなくなっていきます。生徒にはそれぞれ個性があって、スキルも、めざしている場所も、音楽に向ける想いも異なる。そのことを忘れないように、一人ひとりに目線を合わせ、一緒に音楽を楽しむ姿勢で指導にあたっています。
「私だから」という音を奏で、
聞く人の心を動かしたい。
フリーランスの演奏家としても、さまざまなコンサートに参加し、経験を重ねています。主に出演しているのは、オーケストラ、カルテットなどのアンサンブル。演奏家として活動を始めたばかりの頃は、とにかく場数を踏むことに必死でしたが、最近は「私」という人間を表現する演奏ができるようになってきたな、と感じています。コンサートで演奏を終えた瞬間、ステージに鳴り響く拍手に包まれ、お客様から向けられた笑顔を見ることができるのが、演奏家としてのなによりの喜び。これからも、「私だから奏でられる音楽」を追求し、私だけの音楽で、多くの人に感動を届けていきたいです。
音楽で幸せを届けていくことが、
演奏家である自分の使命。
音楽を通じ、一人でも多くの方に幸せを届けたい。そんな想いを大切に、高齢者施設などでの演奏会にも出演しています。クラシックやバイオリンに馴染みのないお客さんのために、こういった演奏会では日本の歌謡曲やポップスを中心に披露。演奏会が終わると、たくさんの「感動した」「ありがとう」という言葉をいただきます。その度に私が感じるのは、音楽を通じて人とつながる素晴らしさ、演奏家という職業のかけがえのなさ。音楽を仕事にできている意義や喜びを原動力に、演奏家として成長し続けていくことが、私の何よりの目標です。