
アリア嵯峨嵐山
音楽療法士
音楽文化専攻 卒業
利用者さんを主役にする音楽療法で、
心と体に前向きな変化を起こしたい。
高齢者施設に就職し、音楽療法士としてケアに奔走する卒業生にインタビュー。認知や体の状態が人によって異なる利用者さんたちに、音楽療法士としてどう向き合うか、なにができるのか。日々のケアを行う中で見えてきた、音楽療法の魅力ややりがいに迫ります。
「音楽療法士」という職業を知り、
進路への迷いがなくなった。
高校生の頃、なかなか進学先を決められず迷っていた時期がありました。そんな時にたまたま見つけたのが、音楽療法士という職業。幼い頃からピアノを続けてきたこともあって、音楽は大好きだったので、これなら私も興味を持ってめざすことができそうだ感じました。同志社女子大学を選んだのは、日本音楽療法学会認定音楽療法士の受験資格と、全国音楽療法士養成協議会認定音楽療法士(1種)を取得できるカリキュラムがあったから。せっかくなら高い専門性をもった療法士になりたいと思って、進学を決めました。
先輩も同志社女子大学の卒業生。
つながりに感謝し、療法士として成長中。
会社には先輩の療法士が2名いるのですが、そのどちらもが同女の卒業生。卒業してからも大学から続く縁に助けられているなと感じています。音楽療法はレクリエーションとは違うこと、利用者さんの状態に合わせて臨機応変に対応しないといけないこと。先輩方からは、こういった現場で働く療法士として必要な心構えをたくさん教えていただきました。最近は療法を任せてもらえるようになって、週に一度先輩の指導を受けながらも、一対一で行う個別セッションや、数十人規模で行う集団療法などに一人で取り組んでいます。
利用者さんの状態や体調に合わせ、
アドリブで療法を組み立てる。
音楽療法はレクリエーションとは違い、音楽で利用者さんの心や体に良い変化を起こしていくケアの形。そのため、こちらが決めた計画に則って療法を行うことはありません。大切なのは、ライブ感とアドリブ力。利用者さんを主役にするため「今日は何をしましょうか?」という問いかけから療法をスタートさせて、一緒にプログラムを作り上げています。音楽をみんなで演奏したり、リズムに合わせて体を動かしたり、昔の曲を聴いて当時のことを思い出したり。さまざまな療法を行う中で、普段あまりお話にならない方が歌ってくれたり、「ここにいると安心する」と声をかけてくださると、療法士としてなにかしらの前進を生み出せていると感じ、「よし、もっと頑張ろう」という気持ちになりますね。
音楽療法士としてのスキルだけでなく、
人とのかかわり方そのものを学んだ4年間。
もともと私はかなりの人見知りで、人とかかわることが苦手でした。そんな私を変えてくれたのが、音楽学科の先生方。「何よりも人に寄り添うことが大切。技術は後からついてくる」という先生の言葉に、音楽療法への向き合い方が変わったように思います。とはいえ、いきなり人前で話したり演奏したりすることが得意になったわけではなくて、そういった部分は実習とボランティアに参加することで徐々に克服してきました。音楽学科は先生との距離が本当に近くて、ボランティア先などもたくさん紹介してくださいますし、悩むことがあれば面談などを丁寧に行ってくださいます。学生に細やかに向き合い、心を変えるような学びを与えてくれる先生方がいたからこそ、音楽療法士としての今の私があるのかなと思っています。
知識と経験をもっと身につけて、
幅広い視点で利用者に寄り添いたい。
高齢者施設とひとくちにいっても、利用者さんの体の状態や、抱えている病気、心のあり方はさまざまです。人が変われば、音楽に抱いている印象や、求められる療法の形はガラリと変わります。今後は一人でも多くの利用者さんと深く向き合って、知識と経験を積むことで、音楽療法士として提供できるケアの引き出しを増やしていくことが目標。色々な人とかかわる中で、「この人はいまこんな音楽を求めているのかな」「この音楽なら、この人を元気づけられるかもしれない」という提案の幅を広げ、誰に対しても安らぎや前進を提供できる音楽療法士をめざしていきたいです。