
演奏専攻 卒業
「音楽を続けたい」その想いを胸に、
勝ち取った演奏家としての仕事。
「音楽を仕事にする」という夢をつかみとり、消防音楽隊として演奏活動に勤しむ卒業生にインタビュー。演奏技術はもちろん、同女で学んだ仲間と協働する大切さや、演奏イベントを成功に導くための責任感が、今の仕事にどう生きているのか、語っていただきました。
クラリネットの音色に魅了され、
音楽家の道へ進むことを決意。
中学校・高校と吹奏楽部でクラリネットを担当していました。木管楽器ならではのやわらかな音色、あたたかみのある低音から粒の立った高音まで演奏できる表現力の広さ。そんなクラリネットの魅力に夢中になり、ずっと演奏を続けたいと思って同女に進学しました。音楽を仕事にするのは簡単なことではありません。教員になるか演奏家になるか、進路に迷った時期もありましたが、大学でお世話になった先生からの提案に背中を押され、消防音楽隊に入ることを決意しました。
消防音楽隊として地域を訪れ、
多くの人を音楽で笑顔に。
消防音楽隊の主な業務は、地域の防災教室や保育園・小学校などでの演奏活動。地域の方々に笑顔を届けられるような演奏を行うため、個人練習や合奏練習も日々欠かさず行なっています。コロナ禍ということもあり、イベント開催数は減ってしまっていますが、演奏会に出るとやっぱり元気をもらえますね。子どもたちが演奏を聞いて笑顔になってくれたり、懐かしい歌謡曲に合わせてお年寄りが手拍子をしてくれたり。そんな姿を見るたびに、演奏家になって良かったな、と心からやりがいを感じられます。
大学で培った責任感を生かし、
演奏に向けた準備業務にも奮闘中。
演奏会に向けた準備や打ち合わせも担当業務のひとつです。当日のスケジュールや会場規模などを、演奏を依頼してくださった団体の方に確認し、演奏会の計画書を作成しています。毎年演奏を依頼してくださる団体さんとは比較的スムーズに話が進みますが、時には初めての依頼に戸惑っている方も。そういった場合はこちらから類似のイベントを挙げて、流れをご説明するようにしています。こういった渉外業務にあたって役立っているのが、大学でインスペクターを担当した経験。インスペクターとは、定期演奏会などを開催する際に、学生と大学側の間に入り、調整係として立ち回る役職です。双方の認識にずれがないか丁寧に確認しながら、責任を持って動くことで得られた力を、今の仕事に直接生かすことができています。
仲間と一緒に演奏会を作り上げ、
音楽の力をより一層実感できた。
大学時代に受けた授業の中でも、特に心に残っているのが「音楽によるアウトリーチ」。アウトリーチを理論的に学んだ上で、授業を履修していた演奏専攻・音楽文化専攻の学生が一丸となってコンサートを自分たちで作り上げる、という授業内容でした。0から何かを生み出す難しさやおもしろさを実感できたと同時に、コンサートの枠組みから当日の演奏まで、自分たちだけでやり切るという貴重な経験ができました。思い入れがあるぶん、当日演奏が終わった瞬間の達成感も大きく、お客さんが笑顔で拍手してくれている姿を見て泣きそうになったことを覚えています。この時の経験が、今も演奏家としてお客さんを笑顔にしたいと思う原動力になっているのかもしれません。
人数や楽器に限りがあるなかでも、
より良い演奏を模索していきたい。
現在、名古屋市消防音楽隊に所属する演奏家は26人。大規模な編成ではないので、演奏できる曲は限られているのですが、個々の実力とチームワークを磨くことで、より良い演奏ができると信じて、技術を高め合っています。今後は近隣の自衛隊との合同演奏会などにも積極的に取り組むことが目標。コロナ禍が収束に向かい、演奏会などがこれまで通りに行えるようになった暁には、大編成での迫力あるパフォーマンスを披露して、音楽の持つ力の素晴らしさ、楽しさを色々な人に届けていきたいですね。