「教員」
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「つながり」
学生ファーストを徹底し
教師としてのキャリア形成を
見すえて学生を支援しています。
教職課程センター
大黒 孝文特任教授
自分で未来を選びとれるよう、経験豊富な専任教員が授業を担当。
全学部の教職課程履修者、特に教職を第一志望とする学生を支援しているのが私の所属している「教職課程センター」です。中学校で理科教師を務めていた私を含む4人の専任教員が、教育現場での経験を生かし、授業やゼミを通して学生の成長を支援しています。
学部を横断して教職志望の学生をサポートする仕組みを持っている大学は他にもありますが、同志社女子大学の教職課程センターの特色は、教員が授業に専念できる環境にあることです。一般的には事務手続きや外部との調整といった事務作業も教員が兼務することが多いのですが、学生に知識や技術をしっかりと身につけてもらうために、教員は学生の支援に専念できる環境になっています。
教職課程センターの教員は、1年次から授業を受け持ちます。私が担当する教職論の授業では、学生に対して「教師を目指すか否か、自分の意志で選びなさい」と伝えています。そして意志決定の助けとなるようなデータや実際の教育現場について話をすると同時に、私たち教職課程センターの教員が執筆した書籍『教職アプローチ』を授業で使用しています。
『教職アプローチ』は、当センターで培った実績・ノウハウを元に、教員採用試験についてはもちろん、受験準備、そして教師となった後のことも知ることができるような冊子として作成しました。教員採用試験の変更などに併せて適宜改訂をし、第8版を重ねています。本学の卒業生である現職教員のみなさんへのインタビューや寄稿文も掲載し、女性として教師としてどう生きるか、といった将来のキャリア形成のヒントとなる内容も盛り込んでいます。
140年以上の歴史を持つ本学では、多くの卒業生が教育現場で活躍し、キャリアを築いてこられました。それら多数のロールモデルの存在が学生を支えており、私たち教職課程センターの教員は、卒業生と在学生をつなぐ役割も果たしています。
私が学生に伝えているのは、教員採用試験を受けるときも一人じゃない、仲間がいるよ、ということ。同じ都道府県の採用試験を受ける人はライバルではありますが、来春は同じ職場に立つ仲間です。そうした未来視点で教員採用試験を受けよう、と。実際に本学では、同じ都道府県の教員採用試験を受ける学生がチームを作り、模擬授業や場面指導(※)の練習を重ねています。
場面指導とは:児童生徒への対応の具体的な場面を提示し、面接担当者を児童生徒や保護者に見立てて指導を行うこと
総合大学である本学では、多様な学科の学生が教職課程センターに集まり、それがよい刺激になっています。例えば勉強会では、小学校教員を目指す現代こども学科の学生は、今日達成すべき課題について黒板に「めあて」と書きますが、中学・高校の英語教員を目指す英語英文学科の学生は「Todays’ goal」と書きます。すると「めあて」よりも言葉が明確であることに、現代こども学科の学生は気づきます。
また、模擬授業では児童役をする学生の横に座り、目線をそろえて話しかける現代こども学科の学生の姿を見て、他学科の学生は、自分が上から目線で授業をしていたことに気づきます。学び合い、教え合うことが自然に生まれ、全員が伸びていきます。
教育現場をめぐるさまざまな報道があるなかで、教職を目指すことに不安を抱く学生も見かけるようになっています。しかし、それは漠然とした不安です。事実はどうか、現場にはどんな課題があるのか、授業で実際のデータを示し、課題への向き合い方を共に考えることを大切にしています。
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人がつながり、学び合う「協同学習」が研究テーマです。
私の研究テーマは「協同学習」です。こども同士や教師とこども、さらに教科書やモノが結びつき、思いや考え方をつなげて学習集団をつくりあげていくことです。
この研究を始めたのは、中学校の理科教師を務めていたときです。「理科は思考する教科ではなく、内容を覚えて成績を上げる教科」と捉える生徒が多かったため、私は理科の面白さを伝えることに懸命でした。しかし、あるとき気がついたのです。私が話を続けるほど、生徒たちは教わることに慣れてしまい、自分で考えなくなることに。そこで出会ったのが協同学習であり、当時のスローガンが「教師は教壇から降りよ」でした。
そして協同学習によるひとつの成果に出合いました。理科の実験中に、勉強の苦手な生徒が「私は実験の意味がよくわからない。あなたが本当に理解しているなら、私をわからせてみてよ」と、勉強が得意な生徒をけしかけたのです。
するとその生徒が、工夫をして懸命に教え始めました。そして突然、けしかけた生徒が泣き出し、私に言ったのです。「先生、私、理科は覚えることと思ってたけど、初めて理科がわかった」と。今も忘れられない瞬間です。生徒の思いがつながり、ともに学び、教師も学ぶ、協同学習そのものです。
そうした実践に照らし合わせて研究を進めていきました。それぞれの教師の実践を体系化してまとめ、研究会で発表するという研究部長も経験し、研究内容を書籍として発刊しました。
また研究成果は、教師としての実践的指導力養成を目指してマンガを伝達ツールとしたケース教材とし、教職論のアクティブラーニングの授業でも活用しています。全部で5つのシリーズを作成し、相互交流関係を作るためのツールとして役に立っています。
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こどもとの関わりから課題を発見し、解決を目指して卒論に取り組みます。
私のゼミは、9割の学生が小学校教員志望です。そのため卒業論文では、教育実習や学校ボランティアなどを通じてこどもと関わるなかで、個々人が最も気になるテーマを取り上げます。テーマの実態に迫り、課題を深掘りして解決を目指します。
文献調査だけでなく、卒業生からのリアルな情報も得て卒業論文に取り組む学生もいます。例えば、 教育現場におけるICT教育がテーマなら、実際にどういうアプリケーションが使われ、どんなことを実践しているかを卒業生の協力を得てアンケートを集め、リアルな情報として活用しています。
ゼミでも、学生と卒業生とのつながりが生きています。以前、ゼミで卒業生の卒業論文一覧を見ていたときに、一人のゼミ生が小学校時代の担任教師の名前を見つけました。
彼女にとっては、忘れられない先生だったようです。そしてゼミ生は、かつての担任教師が働いている都道府県で教員になりたいという目標を持ち、その目標を見事に達成しました。
こうした心揺さぶられる瞬間に遭遇できるのが、教員という職業です。私はこれまで45年の教員生活を送ってきましたが、ところどころで出合う忘れられない瞬間が、45年走り続ける原動力になっています。
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大学全体で学生を支える姿勢が貫かれています。
教職課程センターでは、授業に専念する私たち教員と、事務手続きを全面的に担ってくれる職員のチームで学生を支援しており、同志社女子大学がいかに徹底した学生ファーストの大学であるかがよくわかります。
そして、同志社女子大学では、学生一人ひとりの人生、将来のキャリアを考えた教育を実践しています。教職課程センターの教員も、教員採用試験合格をゴールにすることなく、学生が教壇に立ち、その後キャリアアップしていく未来を見すえた教育を展開しています。
そうした教育を受けているからでしょうか。将来の目標に向かって、学生同士がつながり、知識の共有や悩みの相談をしながら、力強く活動しています。
社会人になって大切なのは、一人ですべてを抱え込まないことだと考えています。わからないこと、悩んだときは周囲に相談し、頼ればいい。本学では、在学中には仲間と支え合い、卒業後も教職員や卒業生とのつながりから、人に頼ることのできるしなやかさを身につけられます。同時に、自分自身が後輩や仲間を支える人にもなれます。つながりのリレーが脈々と続いています。
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受験生のみなさんへ
卒業生や在学生、教職員による交流イベント「ホームカミングデー」では、毎年、ゼミの卒業生である現役の小学校教員が集まってきてくれます。情報交換をしたり、励まし合ったり、在学生にアドバイスをしてくれたり。同志社女子大学には、人とのつながりという大きな財産があります。みなさんも同志社女子大学で夢をかなえてください。
卒業論文テーマ例
- 小学校理科の授業づくり~ものの燃え方と空気~
- 協同学習を取り入れた小学校理科の授業づくり
- 地域に根差した教材開発—京野菜を用いて—
- 小学校理科の実験・教材研究~食物を用いた試薬作り~
- Learning Together ~協同学習を取り入れた理科の授業作り~
- 協同学習を取り入れた授業づくり Learning Together人との関わりの中で学ぶ
- ミュージアムと学校研究~体験学習の意義~
- 小学校理科エネルギー領域~放射能・放射線についての授業開発~
- 教師の資質能力(Pedagogical Content Knowledge)研究~公立学校の授業実践から学ぶ
- 理科教育における動物園との連携
- 公立学校の授業実践から学ぶPCK研究 ~教師の資質能力について
- 小学校理科の教材開発~ボタニカルアートを用いた植物観察~
- 安全で効果的な実験指導に向けたマニュアル作成~電気の利用
- Learning Together~協同学習を取り入れた授業づくり~
- 滋賀県の環境を活かした小学校理科の授業づくり
- 教師教育におけるマンガ教材の開発と評価:マンガを活用したナラティブアプローチ
- 小学校における防災教育~理科教育と関連付けた防災教育~
- 小学校における新任教師に指導する学習指導案作成の手引き
- 小学校における理科指導の実態と改善
- 紙しばいを用いた理科実験の事前安全指導
- 協同学習 Learning together~小集団での対人技能~
- 現場の教師から学ぶ~児童の理科実験の問題点と改善策~
- 教師におけるマンガケースメソッド教材~実験操作技能における効果と課題
- 小学校理科の授業づくり~電磁石の働きについての研究~
- 単元「電気の利用」についての研究 ~新人教師のための指導案~
- 全国学力・学習状況調査から見た理科授業の創造
- 体験的実験から学ぶ絵本を用いた理科実験
- 現場の教師から学ぶ~児童の理科実験の問題点と改善策~
- 東南アジアの環境問題と支援の在り方に関して
- 誰もが好きになる理科を目指して:ジェンダーの視点からの改善
- 子ども同士の話し合い活動を取り入れた指導~相互作用に着目して
- 小学校における外国語活動の充実をめざして
- インクルーシブ教育を推進するために~協同学習を通して~
- 自分を見つめ将来を見つめる:現代こども学科就職活動の実態と対策
- 食物アレルギー~現状と課題~
- 授業づくりのための協同学習チェックシート
- 協同学習の理論と方法~マンガテストを通して~
- 気体検知管操作の知識獲得を高める マンガ反転授業教材
- 反転授業教材のシステム評価と授業効果 ~マンガを使った協同学習
- 若手教員におけるPCK育成現職教員と学生からの聴き取りを通して
- PCK(Pedagogical Contents Knowledge)研究 教員の資質能力について
- 小学校理科における実験・教材開発A物質エネルギー分野水よう液
- 理科におけるキャリア教育の授業実践~エジソンの追実験を通して
- こどもたちの問題解決能力を 育てるための授業開発~植物の不思議
- 食物アレルギーの現状 ~食物アレルギーの人の外食実態~
- 自然災害と防災教育についての実験開発
- 小学校理科の実験・教材研究~魚の解剖実験~
- ユニバーサルデザインを取り入れた理科教育の開発
- アクティブラーニングの実践的指導における基礎研究
- 小学校理科の実験・教材開発~食物や植物を用いた指示薬づくり~
- ミュージアムにおける体験的な学習活動
- 協同学習を取り入れた授業づくり~みんなで学び合うために~
- インクルーシブ教育の実践~全ての子どもたちが輝く学級づくり~
- 協同学習のマンガケースメソッド学習~教員志望大学生を対象にした評価~
- プロジェクト・ワイルドを取り入れた理科教育:野外活動の実践を通して
- 奈良県の環境問題を活かした小学校理科の授業づくり:自然との共生
- 食育と現代の食生活
- 新学習指導要領を踏まえた理科の実験開発
- 協同学習のためのマンガケースメソッド教材 AL型指導案との比較研究
- 幼児教育における教育環境:幼児の主体性を育む環境と援助の在り方
- 子どもの自己肯定感が高まるかかわり
- 理科授業におけるアーギュメントスキルの育成について
- 小学校過程におけるプログラミング教育:LEGOEducation WeDo2.0を使用して
- 小学生を対象にした探究学習の実践事例研究
- 子どもの疑問から興味を引き出す絵本制作と活用
- 体験学習と「生きる力」~プロジェクト・アドベンチャーを手がかりにして
- 学習活動で活かせる子どもの自然体験活動:身近な植物に着目して
- 主体的・対話的で深い学びを実現する教師の工夫
- タブレット端末を使用した授業活用:名古屋市立八田小学校の実
- 学習障害を持つ児童に対する指導 絵本の開発
- Web教材(反転授業教材)とインクルーシブ教育
- 自己肯定感を高めるWeb教材の開発 理科の学習材を用いて
- 児童間のつながりに着目した疑似的相互作用を生み出すWeb教材開発
- 児童の主体的活動を生かした防災教育
- 理科教育におけるアーギュメントスキルの育成について
- 学校教育におけるICT活用とその効果
- 小学校におけるプログラミング教育―スクラッチを使用して―
- 任天堂「あつまれどうぶつの森」を活用した体験活動の実践について
- 子どもの自己肯定感と親子の関わり~アサーションに着目して~
- インクルーシブ教育の実現―授業のユニバーサルデザインから考える―
- 愛着障害と愛着の再形成
- 学校教育におけるアシスティブ・テクノロジーの可能性と課題〜プログラミング教育の活用について〜
- ICTを活用した授業実践について~プログラミングの実験授業を通して~ 学校教育での水泳学習の必要性について
- ワーキングメモリーの低い児童への支援
- 学習に対して苦手意識を持つ児童への学習指導〜ICT活用に着目して〜
- 自己肯定感を高める方法
- 子どもたちの幸福感を追求するために~自己肯定感に着目して~