「アイディアの多産」
×
「行動」
×
「勇気」
どんな人が成功するか。
プロデューサータイプの
資質・行動特性の研究から
見えてきます。
メディア創造学科
川田 隆雄教授
アイディアを実現した人のデータを収集・分析。共通点を探り出します。
私の研究分野は大きく3つあり、1つがプロデュース学、2つ目が社会構成主義、3つめがアジアのエンターテインメントです。
現在はプロデュース学を中心に据え、自分の思いついたアイディアを実現して成功した人を「プロデューサータイプ(プロデューサー型人材)」と定義し、共通する行動パターンや資質を研究しています。
「プロデューサータイプ」の例としては、アップルの共同創業者の1人スティーブ・ジョブズや、電気自動車メーカー、テスラのCEOイーロン・マスクなどが挙げられます。
彼らのような「プロデューサータイプ」の研究は、アメリカでは進んでいますが、日本ではあまり積極的には行われていない状況です。
私は、日本の教育や人材育成のためには、アイディアを生み出し、具現化する能力を持ったプロデューサータイプの研究をすることが重要になると考え、研究対象として焦点を当てるようになりました。
研究の手法としては、まず、プロデューサータイプの人にインタビューを行ってデータを収集します。次に、コンピテンシーと呼ばれる優れた成果を生み出す人に共通して見られる能力・行動特性を分析・評価します。
これまでの日本は、計画を重視するマネジメント手法がとられてきました。たとえば、PDCAサイクルです(「Plan」「Do」「Check」「Action」)。一方、最近では実はPDCAに変わって逆の思想OODAループが世界で注目されています。OODAループはObserve(観察)Orient(状況判断)Decide(決断)Act(行動)という順序で、考えるより先に行動しながら戦略を模索する手法に変わってきており、変化の激しい時代においては、未完成でも動き始めるプロデューサータイプの人材が求められています。
アジアのエンターテインメント研究も手がける私は、K-POPはじめアジア各国のエンターテインメント産業の研究もしていますが、日本と比較すると、OODAループをベースにしたプロデューサー型人材が豊富であることを実感します。
プロデューサーを養成する環境についても研究を行っていますが、わかってきたのは家庭環境の重要性です。自由放任な環境で育ったほうが自分の思いつきを実現できるのは明らかで、規制された環境ではプロデューサーとして育っていきません。家庭環境は変えられないため、学校や社会で補う必要があると考えています。
日本にも才能豊かなプロデューサータイプがたくさんいますが、その能力を十分に生かしきれていない面があると思います。OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかでも、日本は新規事業を起こす人の割合が非常に低い状態です。プロデューサー型人材を育成させなければ新しい商品やサービスが生まれてきません。同時に、プロデューサー型人材を支援する体制が社会に欠かせず、今後もプロデュース学の研究を深めていきたいと考えています。
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経営者などへインタビューを行い、共通の資質を掘り下げていくゼミです。
私のゼミの3年次生は、チームごとに関心のあるプロデューサーを探し出してインタビューを行い、データの収集・分析に取り組みます。その結果をゼミで発表するのですが、海外留学中の学生は留学先でのインタビュー結果をオンラインで発表するなど、ゼミ活動はグローバルです。
学生自ら上場企業の社長をはじめ、さまざまな方にアポイントメントをとるのですが、丁寧に企画意図を説明することで快く協力してくださる方が多く、知人のプロデューサーを紹介してくださる方、学生に意見を求めてくれる方も多くいらっしゃいます。このように、インタビューは学びの多いフィールドワークになっており、学生は前向きに取り組んでいます。
各チームのインタビューを共有すると年間25人ほどのデータを得られ、インタビュー対象者のコンピテンシーが明らかになります。そのほか数値化されない経験やエピソードも積み上げられ、プロデューサーに対する学生の関心はさらに高まり、卒業論文へとつながっていきます。
卒業論文はプロデューサー型人材の共通の資質から自分でテーマを選択し、深めていきます。文献を調べると自分の考察を深めることができないため、基本的に参考文献による研究は不可としています。先行研究と比較する研究がしたければ、大学院に進んでほしいと伝えています。
まったく正反対の資質がテーマにあがるときは、ゼミ生それぞれに反駁できるようにと指導しています。自分の考察に自信と責任をもって卒業論文に取り組んでほしいからです。ディベートでは摩擦が生まれることもありますが、自分の考えを伝え、相手の意見を聞いて理があると考えられる力が身につき、その経験は社会でおおいに生きてきます。
プロデューサータイプの人は、人生を謳歌しています。だれも成し得なかった事業を実現する醍醐味、自己決定して生きる楽しさを満喫しています。
願わくば、川田ゼミからプロデューサーが育ってほしい。あるいはプロデューサーが育つ環境を熟知した卒業生が次世代のプロデューサーを育成する、そんな未来に期待しています。
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新しいモノを創造する環境がすべてそろっている学科です。
ゼミ生が企業の経営者やプロデューサーにインタビューの依頼をする際、同志社女子大学の学生であることを伝えると信頼してご協力いただけます。また、韓国をはじめ海外企業にインタビューする際も140年以上の歴史を持つ大学である点に信頼を得て、インタビューが実現します。本学のブランド力を学生自身が感じていると思います。
学生を見ていると、研究や課外活動に一生懸命に取り組む、意欲的な女性が多いと感じます。落ち着いてものごとを考えられる京都で学び、大阪をはじめとしてユニークなプロデューサーを多数輩出している関西で研究できる点も恵まれています。
そんな本学のメディア創造学科は、創造にフォーカスして、未来を変える人をつくる学科です。新しいモノやコトを創造するというのは、未来を変えていくということです。
教員がその点を最も重視して指導をし、自由に創造するための設備も完備しています。140年超の揺るぎない歴史を基盤に、未来を創造する最適な学びの環境だと思います。
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受験生のみなさんへ
「自分のやりたいことを、やってみなはれ」。私が新入生にいつも伝えている言葉です。私自身が自分のやりたいことを追究してきました。時には、ワガママだと言われることもありますが、必ずしもいい子にならなくていいと思います。自分のやりたいことを徹底してやってみてください。メディア創造学科は、そんなあなたを全力で応援します。
卒業論文テーマ例
- プロデューサーの失敗を恐れない精神力
- プロデューサーの頼る力
- プロデューサー型人材を生み出す家庭環境
- 起業家の学生時代の実態から学ぶ勉強の在り方
- 自分を信じることがなぜプロデュースに役立つのか
- プロデューサー型人材でない人間がプロデュースを成功させる方法
- 考えるより先に行動することがもたらすメリット
- 挫折経験を強く記憶する性質を持つ人間がプロデューサーとして成功するには
- 海外経験がもたらすプロデューサー型人材育成への影響
- プロデューサーの組織不適応性