dwcla TALK ようこそ新しい知の世界へ

教員が語る同志社女子大学の学び

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「文化装置」
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「消費」

背景にある理論を知り
独自の視点で文化を
読み解いていきます。

メディア創造学科

関口 英里教授

テーマパークはじめ消費空間を多様な側面から分析。

日本には多くのテーマパークがありますが、もともとテーマパークはアメリカから入ってきた、ひとつの「文化装置」です。文化史の側面から見ると、アメリカのリゾートやアミューズメントから発展したもので、最初はかなり粗野なものでした。
そんなテーマパークの前身である遊園地に娘と遊びに行ったのがウォルト・ディズニーです。環境が良いとは言えず、大人はただ座って見ているだけという点に疑問を感じ、大人も子どもも一緒に楽しめる空間をと考え、大変な苦労を重ねてディズニーランドを創り上げました。

一方、アメリカとは異なるアミューズメントの歴史を刻んできた日本に、東京ディズニーランド®が開園したのは1983年です。比較文化の側面から見ると、日本の文化に合うようにアレンジされ、さまざまな工夫がなされました。当初は「異文化」だったテーマパークが今や日本のひとつの文化となり、高い集客力を背景に経済学の観点からも注目を集めています。

文化研究を専門とする私は、経済学や社会学など、さまざまな角度から現象を含めた「場」やイベント、商業空間を研究の対象としています。そのひとつの柱がテーマパークであり、テーマパークの文化史や比較文化、日本の現代の消費のあり方を分析、検証しています。例えば、アメリカから日本に入ってくる際にどのように翻訳され、日本の文化として発展していったのか。時代や価値観の変容とともにトピックも変化するため、多様な現象を取り扱っています。論文発表のほかに、執筆した著書の中では「文化の仕掛け、文化装置を読み解く」研究だと説明をしています。

テーマパークのほかに、百貨店、万博、オリンピックなども研究対象としています。しかし、新型コロナウイルスの影響で、これら文化装置の在り方が揺らいでおり、社会情勢の変化に大きな影響を受けるのが文化であることを、研究者の私自身が改めて感じています。ウィズコロナの時代における文化装置の読み解き方も、今後の重要なテーマだと考えています。

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オリジナルの発想で追究すると、社会と自分が見えてくる。

ゼミのテーマは「文化を読み解く」です。身近にある有形無形の対象について、その裏側にある仕掛けや、文化の奥深さを独自の視点で追究していくゼミです。ヒット商品ひとつとっても、なんとなく流行ったのではなく、その背景には必ずマーケティングの理論や分析方法があり、それを知ったうえで、仕掛ける技術やクリエイティブな能力を磨いてほしいと考えています。
例えばテーマパークについても、表には見えていない理論や分析の知識を持って訪れると、新しい発見や視点を得ることができ、テーマパークそのものが3Dの教科書になります。

好きな対象や関心のあるものについて、あえて一歩引いて客観的に見たときに何が見えてくるのか。ゼミでは、好奇心・探求心を発揮し、オリジナリティのある発想で自律的に研究を進め、卒業論文として完成させることを目標としています。そのために私は添削をしないし、答えも出しません。が、学生が考え抜くためのヒントはたくさん提供するようにしています。

感度が高いメディア創造学科の学生らしく、卒業論文は「旬」なテーマが多いのですが、どんなテーマであっても、それを通して「現代社会の何を見るか」にまで踏み込むことを重視しています。
例えば、あるヘアケア商品のブランド戦略をテーマに掲げた学生は、ジェンダーのあり方や東洋の女性に対するイメージの変化など、広告研究にとどまることなく、女性の意識や女性像の変遷にまで迫りました。独自の視点でものごとを追究していくことは、今まで気づかなかった自分の一面を知ることであり、自分探しにもつながります。卒業研究を通して内省を深め、人としても成長してもらいたいと考えています。

毎年、ゼミ活動として2年次生がブライダルのプロデュースに取り組んでいます。和婚が減少するなか、京都のブライダル関連会社とコラボレーションし、伝統産業や和の調度品について時代にフィットする形で魅力を引き出し、消費促進を目指すプロジェクトです。
2019年度は和ろうそくを使ったウエディングの演出に取り組みました。まず学生は工房に通い、職人さんから和ろうそくのよさや西洋のキャンドルとの違いを学習。そのうえで炎の明るさや素材を活かした新しいウエディングの演出を考えました。最終的には1つの演出プランとしてブライダル会社から販売していただくため、価格設定やマーケティング、デジタルコンテンツを活用した広報も学生が企画し、動画撮影やパンフレットの制作までを担いました。
伝統産業を盛り上げるというテーマのもと、これまで彫金や扇子、さまざまな職人の方とコラボレーションをさせていただきました。伝統文化が息づく京都ならではのプロジェクトです。

企業とのプロジェクトですから私が何度もダメ出しをするので、学生は大変です。その分達成感もあるようで、「社会人になって、あのときの経験が生きています」と話してくれる卒業生も数多いです。プロジェクトに取り組むことで自分の得意分野に気づき、それをきっかけに将来のキャリアを模索していく学生もいます。

ゼミは勉強するだけの場ではなく、人間的な成長を促す場でもあります。自律的に考え、責任をもって行動する、そんな当たり前のクオリティを上げてほしいと思っています。そのためには地道な日々の活動が重要であり、人間関係では縦のつながりを大事にしています。ゼミ活動を通して先輩が後輩をサポートし、後輩は先輩から学ぶ。ゼミという組織の動かし方やコミュニケーション力を磨くことによって、社会で幅広く活躍するための基礎を身につけていきます。

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学生一人ひとりが主役になれる舞台があります。

同志社女子大学をひとことで表現すると、人間力が育つステージがある大学だと思います。学生の数だけステージがあり、それぞれの舞台で誰もが主役になれる。社会に貢献したい、世界で活躍したい、そんな目標に向けて挑戦できる環境や支える人材がそろっていて、挑戦する人を応援する気風もあります。自分の舞台で、自分の物語を紡ぐことができると思います。

ゼミではいつも「オリジナリティを大事に」と学生に伝えていますが、単に人と違えばよいのではなく、自分らしい切り口やスタイルをもつということです。すぐに身につくものではないので、懐の深い本学で多くを学び、多様な経験をしてほしいと考えています。
実際、オリジナリティを生かしてクリエイティブなフィールドで活躍している卒業生や、自分のスタイルを強みに一般企業で能力を発揮している人も多数います。彼女たちが口をそろえて言う「同女でよかった」という言葉がすべてだと思います。

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受験生のみなさんへ

メディア創造学科では幅広いメディアに関わり、自分のオリジナリティを構築できると思います。その学びや経験から「自分自身がメディアである」ことを認識し、社会の中で有形無形のメッセージを橋渡しする重要な役割を果たす存在になりえます。可能性を信じて活躍してください。期待しています。

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関口 英里教授

学芸学部 メディア創造学科 [ 研究テーマ ] 都市メディアと消費文化の仕掛け

研究者データベース

卒業論文一覧

dwcla TALK

卒業論文テーマ例

  • 「二重キャラクター化」が与える影響
    —『プリンセスキャット』から読み解く継続的な人気の秘密—
  • YouTuberがプチプラコスメに与える価値
    —中高生の購入意欲から読み解く—
  • 距離感がもたらす「TSUBAKI」の広告戦略
    —女性をめぐる文化的アイデンティティの分析—
  • SNS上の自己表現に「映え」が及ぼす影響
    —インスタグラムの通常投稿とストーリーズの関係性から読み解く—
  • 意外性が社会にもたらす効果
    —ヴィジュアル系バンドの特性の分析から—
  • ゾンビ映画が描く恐怖の根源
    —アメリカにおける人種問題から生まれた「ゾンビルール」—
  • 「これがいい」と思わせる「無印良品」
    —スキンケア商品に対する消費者行動からの考察—
  • ディズニープリンセス映画における父娘関係
    —結婚というハッピーエンドの観点から—
  • 「アイドル製造法」がもたらす問題点
    —アイドルグループ「Fairies」のプロデュース方法からの考察—
  • 「赤いハイヒール」
    —アニメーション映画における表象および子供に及ぼす影響—
  • 三ツ矢サイダーの販売戦略
    —「健康」というキーワードからの読解—
  • 食品におけるカラーマーケティング
    —青色パッケージから見るコンセプトを重要視した逆転の発想—
  • マイケル・ジャクソンをめぐる「子供性」
    —ディズニーランドへの憧れ—
  • CMキャラクターによる広告効果
    —ソフトバンク「白戸家」に対する認識の変化を通して考察する—
  • ウェディングドレスから読み解く女性の結婚観
    —ディズニープリンセスが与える影響—
  • 人工知能と女将の共益関係
    —おもてなしと効率化—
  • AKB48の成功に見る営業戦略
    —日本企業との類似点から解く—
  • 日本社会における衣服による個性の表現方法
    —制服化するリクルートスーツの社会的意義からの考察—
  • 地域で愛されるCMソングについての考察
    —関西圏のキダ・タローの作品から読み解く—
  • ファッションビル広告から見る女性像の変遷 —尾形真理子のルミネ作品からの考察—