「異文化教育」
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「留学」
充実した海外留学のために
必要なスキルのニーズを分析。
その成果をカリキュラムに生かしています。
国際教養学科
沖 キャサリン准教授
教材執筆から教育実践まで、幼児英語教育を研究してきました。
学生時代、アメリカの大学で文化人類学を専攻していた私は、ルース・ベネディクトが日本の文化について記した『菊と刀』を読み、居ても立ってもいられなくなりました。
「日本に行かなくては」と。その当時、KIMONOやFUTON、わずか5つほどの単語しか知りませんでしたが、1999年に留学生として初来日を果たしました。
アメリカに戻った後は、大学で文化人類学の研究を進めていましたが、日本にもう一度行きたいという気持ちが高まり、大学卒業後にALT(外国語指導助手)として再来日しました。その後、滋賀県の高校で英語教育を担いました。
しかし、英語を「教える」ことに対して、私は何か特別なトレーニングを受けたわけではありませんでした。生徒たちからのフィードバックを通して、少しずつ教師として成長できたように感じています。これこそが”Teaching is Learning”です。
しかし、もし事前に英語教育についてトレーニングを受けていれば、もっと質の高い授業ができるはずだと考えた私は、日本滞在中に、イギリスのヨーク大学院の幼児英語教育を専攻しました。通信教育での受講となりましたが、長期休暇期間中には現地で大学院で教授の指導を受けました。大学院在学中に幼児英語教材の出版社からオファーがあり、日本のみならず、ベトナムとインドネシアにも英語教師のトレーナーとして訪問し、成果を上げることができました。
子どもをバイリンガルに育てることだけが幼児英語教育の目的ではないと私は考えています。英語をきっかけとして、世界には多様な文化があることを知り、異文化への興味・関心を育んでいくことが本来の目的です。相手に興味を持つことはコミュニケーション能力を伸ばす第一歩となり、コミュニケーション能力が身につくことで、自信と意欲が芽生えます。それこそが真の異文化教育の意義だと捉えています。
本学の国際教養学科では、学科生全員が1年間英語圏の大学へ留学します。留学に必要な英語力を身につける基礎教育科目を担当したことがきっかけで、英語のアカデミックスキルの研究も始め、学生が留学中に必要なスキルの「ニーズ分析」をテーマにしています。
留学後の学生には、インタビューとアンケートを行い、留学生活に不可欠なスキルのニーズを収集・分析しています。その中で、留学中に困難に感じたこととして、現地の学生とのディスカッションを挙げる学生が多いことがわかりました。そこで、ディスカッションや議論を進めて行く上でのテクニックなども学べるようにするなど、1年次と2年次のカリキュラムの見直しを図り、教育へのフィードバックも行っています。
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留学先での経験など、個々の視点で社会課題を捉えて追究するゼミです。
「幼児英語教育」と「異文化教育」をテーマに掲げる私のゼミでは、キャンパスのある京田辺市と連携し、京田辺市内の幼稚園で異文化学習プログラムを実施しています。事前のリサーチを基に「なぜ子どもたちに英語教育が必要か」を話し合い、学生自身の経験を交えながらディスカッションし、プログラム内容を検討しています。
当日は、園児10名とゼミ生3名がひとつのグループに分かれて活動しました。ゼミ生が英語で絵本を読み、子どもたちはその言葉を使って塗り絵をし、自分たちの絵本を作りました。子ども達は理解して、自ら積極的に英語で動物や色を選んで、塗り絵を楽しみました。
プログラム後のディスカッションでは、先生役となった学生の間で非常に活発な意見が飛び交いました。次回に向けた課題解決策として、どの英語表現なら子どもが理解しやすく、使いやすいかを子どもの目線に立って考えることが大事だと結論が出ました。これは、幼少期の教育には欠かせないことで、”Decenter”といいます。プログラム前の授業で私も学生たちに伝えていたのですが、実際に教えてみたことで、その大切さに気がついたようです。まさに”Teaching is Learning”です。
卒業論文については、幼児英語教育・異文化教育にとどまらず、それぞれの関心事をもとに、まずは文献調査をします。そこで新しく得た知識を基に、さらにテーマを絞り込みます。私もどの社会学的アプローチをすることで良い結論に結びつくのか等のアドバイスをしながら、学生たちは卒業論文を完成させます。
ゼミ活動を通して幼児英語教育に関心を持ち、小学校の英語教育を追究する学生や、留学先で感じた世界と日本の違いに着目する学生もいます。いずれもグローバルな視点で社会や世界の課題を見つめたテーマです。
ゼミで重視しているのは、学生同士のディスカッションでありアイデアの組み合わせです。ディスカッションやプレゼンは英語で行いますが、大切なのは、理論的に考え仲間の意見や提案を得て考えを深めていくことです。
国際教養学科では英語で卒業論文を執筆するため、アカデミックな思考とライティングスキルが必要です。私は細かく締め切りを設定し、学生が着実にプロセスを踏んで取り組めるようサポートします。途中不安もあるようですが、最終的に全員がよい論文を執筆しています。
ゼミ生が卒業論文を仕上げることができるのは、全員が基礎から徹底的に英語運用能力を積み上げているからでもあります。1年次の演習科目でアカデミックスキルを身につけた後、海外留学中は現地学生と授業を受けて研究にも取り組むため、相当な力を身につけます。こうした学びの集大成として卒業論文を完成させることによって、大きな達成感と成功体験を得ることができます。
とくに1年間の海外留学は、彼女たちにとって重要な経験となっていることがゼミ活動や卒業論文を通してよく伝わってきます。「留学で何が変わったか」をディスカッションすると、より能動的になった、チャレンジ精神が磨かれたといった声が多く、アカデミックスキルのみならず、ソフトスキルの向上を実感していることがよくわかります。それが自己肯定感につながり、就職活動はもちろんのこと、卒業後のキャリアにも生かされているようです。
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素晴らしいロールモデル教員がたくさんいる大学です。
最近 “Representation matters”という表現をよく耳にします。「自分と同じような人を見ることで、自分が同じような役割を担うことをよりよく想像できるようになる」という意味です。
同志社女子大学には、本学を代表する素晴らしい女性教員がたくさんいらっしゃいます。学生たちのとても良いロールモデルとなっているのではないでしょうか。国際教養学科で言えば、2023年から女性教員の割合が男性教員の2倍になります。
ホームカミングデーで卒業生に会ったとき、「社会に出て、色んな人と出会って、改めて国際教養学科の先生方への尊敬の気持ちが強くなりました。わたしも先生方のように、これからも社会で活躍していきたいと思っています。」と目を輝かせて語ってくれました。また、「女子大で過ごした学生生活で、様々な問題を乗り越えてきた経験をもとに、自立したひとりの女性として、自信を持って誰とでも仕事ができるようになりました。」という声もいただきました。
男女を問わず、研究のみならず、さらには地域や国境を越えたアウトリーチ活動に精力的に取り組んでいる先生がたくさんいらっしゃるのが本学です。リベラル・アーツを教育理念のひとつに掲げる大学だと実感します。そうした教員から学生はさまざまな分野の理論や基礎を学び、実際に体験して試行錯誤を重ねることができます。
私自身も先生方の論文を読み、活動を知ることを楽しみにしており、学生に混じって受講したいと思うことがよくあります。
国際教養学科には、私のようなネイティブスピーカーだけでなく、第二言語として英語を学びながら高い英語運用能力を持ったコロンビアやドイツ出身の先生など、さまざまな文化背景を持つ教員がいます。グローバル教育の実践において最良の環境です。多様なバックグラウンドを持つ人たちと1つのテーブルにつき、じっくりと話を聞いて相手の立場を理解し、意見を交わす。グローバルな視点で物事が考えられる、それができるのが本学の国際教養学科だと思います。
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受験生のみなさんへ
人間が作り上げた社会には未解決の問題がたくさんあります。未来がどうなるのかは誰も予見できませんが、人は学び成長し、さまざまな視点から物事を捉えて未来に向けた最善の決断を下すことができるはずです。そう信じて私は行動し続けていきたいと考えています。“Always rising to a new challenge”を掲げる本学で、みなさんと一緒に挑戦できればうれしいです。
沖 キャサリン准教授
学芸学部 国際教養学科 [ 研究テーマ ] English for Academic Purposes, Teaching English to Young Learners
卒業論文テーマ例
- How to Motivate Junior High School and High School Students for English Learning in Japan
- A Comparison of Education on LGBT between Japan and Canada
- Improving ADHD Student Education in Japan through Better Special Support Education
- The Relationships between Instagram and Friendship among Freshmen College Students During COVID-19
- The Benefits of Drama Education in Japanese School Curriculums
- The Images of English in Japan Today
- Japanese Female College Students’ Attitudes towards Career-track Employment in Japan
- The Causes and Support for Homeless Women in Japan
- The Problems with and Ethics of Japan’s Technical Intern Training System
- Social Change and the Development of Summer Camps in Japan, from Meiji to Today
- Motivations of Youth Volunteerism in Mega-events and Local Communities
- Self-Esteem, Parental Expectations, and Japanese Female College Students
- The Motivation of International Volunteers in Japan Overseas Cooperation Volunteers and Peace Corps
- Silence in Face-to-face and Synchronous E-learning Classrooms
- The Relationship between Creating Stability for International Students and Rural Revitalization
- The Gap in Charitable Giving between Japan and the US
- A Comparative Study on English Education in Japan and Korea
- The Friction between Japanese Yutori and Pre-yutori Generations in Workplaces
- Gender Stereotypes in Japanese Prime-time TV and YouTube Commercials
- Filipina's Informal Education in Japan