dwcla TALK ようこそ新しい知の世界へ

教員が語る同志社女子大学の学び

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「ユニバーサルデザイン」
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「共感力」

当事者・関係者との
コラボレーションを重ねて
共生社会の実現に貢献していきます。

人間生活学科

土井 幸輝教授

障がいの有無を問わず利用できる共用品などの開発や評価研究を行っています。

大学で材料について学んだ私は、その知識を生かして大学院から現在に至るまで、ユニバーサルデザインの視点をもった製品やサービスの開発・評価研究を行ってきました。障がいの有無に関わらず、高齢者から子どもまで、どんな人にも利用しやすい共用品や、障がい者が使用する支援機器・福祉用具などを研究対象としています。

例えば、視覚障がいの有無に関わらず、同じ印刷物を共有できるようにするため、普通文字の上に点字を印刷した印刷物を作成しました。
これには、紫外線を照射すると固まる無色透明なインクを使ったスクリーン印刷技術を用いています。公共施設の案内図やカレンダー等で共用品として用いられていますが、この印刷物をさらに普及させるために、開発と改良に注力しています。なお、私が本学に着任した際に今出川キャンパス楽真館3階トイレ前に設置されている触知案内図を見つけたときには驚き、多様な学生が学ぶ本学の懐の深さと先進性を感じました。

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また、シャンプーのボトルの側面やポンプの天面には、ギザギザの刻みが設けられています。これを「触覚識別マーク」といいます。しかし、使う頻度の高いボディソープには触覚識別マークがついていないので分かりにくい、という声が多くよせられました。そこで私は、公益財団法人共用品推進機構と社会福祉法人日本点字図書館と協力して、ボディソープの触覚識別マーク(凸状のライン)を新たに考案することにしました。
その過程では、メーカー、当事者と話し合いをしながら、触覚識別マークの評価用サンプルを作成しました。そして、メーカー、当事者のご協力の下で評価実験を行い、使用する記号を1つに絞り込むことができました。こうしてできあがった記号は、現在では複数のメーカーで採用されています。

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ほかにも、軽くて折れにくい白杖の研究開発へ要望が寄せられ、高機能繊維プラスチックを使った新しい白杖の実用化にも取り組みました。視覚障がい者は白杖で触ることによって情報を得ますが、白杖は折れてしまったり、重量があって腕への負担が大きかったりする等の課題がありました。そこで材料から白杖の軽量化・強度向上を実現し、民間企業と協力して要望に応えました。時々本学の今出川キャンパスの近くで、その白杖を利用してくださっている方をお見掛けすることもあり、うれしく思っています。

モノに限らず、デジタル面においても、デジタル教材等で操作ミスが少なくなるよう、タッチパネルの操作性の評価も行なっています。これからは小学校をはじめとしてデジタル教材の活用がさらに活発化すると思います。ICT技術においても、障がいの有無に関係なく、誰もがストレスなく使いやすくなるように研究に取り組んでいます。

ユニバーサルデザインの研究は、利用者とその関係者のコラボレーションが不可欠です。大学での試作や実験・調査等の基礎研究、産官学の連携による実用化研究に円滑に取り組む必要があります。
私の「ユニバーサルデザイン研究室」でも、当事者・関係者とのコラボレーションと、学生たちが日々の生活の中での気づいたことを大切にしています。本学の学生たちの「共感力」から発された気づきには、私も驚かされることがたくさんあります。本学の学生とともに、共生社会の実現に貢献していきたいと考えています。

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多様な人々のくらしを支える研究成果の発信を目指すゼミです。

人は日常生活の中で、障がい者への情報の保障や生活支援の更なる充実は欠かせません。そこで「ユニバーサルデザイン研究室」では、障がい者の生活の利便性向上や学習環境の構築、高齢者のくらしやすさの向上、さらに福祉のみならず教育や医療分野でも必要とされているテーマを研究していきたいと考えています。

ゼミの中では、視覚障がい者や支援者・教育関係者からの要望を踏まえ、すでに実用化されている、あるいは研究開発中の日常生活用具・支援機器を試用したり、それらの優れている点や改善が必要な点を探るために議論を重ねます。当事者や関係者から直接意見を聞く機会を設け、彼らの主体性を尊重した研究推進の大切さを理解していきます。
研究活動のベースとなるのは、製品の使いやすさを実験的に評価する「人間工学」等の人間中心設計に必要な学問領域の知識です。
例えば、視覚障がい者のための触る絵本を試験的に作成し、触覚を用いて効率的に情報が得られるようにするため実験を行うことで、触覚を用いて適切な情報提示法を明らかにする取り組みから研究手法をスモールステップで学んでいきます。

ゼミ活動では、身近なユニバーサルデザインについて学生それぞれが調査をし、発表する取り組みも行っています。
学生は人間生活学科ならではの多様な人々のくらしを支えるために取り組むべきテーマを見出すセンス、そしてそのテーマの取組に対して分かりやすく伝え、共感を生むプレゼン力の高さを発揮してくれています。こうしたスキルは民間企業の方々からも高く評価されています。
最も大切にしているのは、当事者の気持ちにいかに寄り添った研究活動を推進できるかです。当事者とのコミュニケーションと、学生一人ひとりの気づきや改善に向けたアイデアを軸に、多様な人々のくらしを支えられる研究成果を発信していきたいと考えています。

今後さらに国際化・少子高齢化が進む社会においては、企業がサービスや製品を生み出すために、ユニバーサルデザインの視点が欠かせません。学生一人ひとりが本研究室で、多様な人々のくらしを支えるためのテーマ設定のセンスと取組を分かりやすく伝え、共感を生むプレゼン力を磨き、その力を社会で発揮してくれると期待しています。

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日本の視覚障がい・聴覚障がい教育の発祥の地、京都で研究ができる喜び。

視覚と聴覚の重複障がい者で世界的に知られるヘレン・ケラー(1880~1968)氏は本学へ三度来校され、今出川キャンパスの「栄光館」で講演をされました。第二次世界大戦の前と後を含む厳しい時代に、目の不自由な方をはじめ多くの方々を励ますべくヘレン・ケラー氏が声を届けてくださったのが同志社女子大学です。

そして京都は、日本の視覚障がい・聴覚障がい教育の発祥の地としても知られています。京都にある本学で、共生社会の実現を目指して当該領域の学びや研究活動ができるのは、とても恵まれていると思います。

本学の教育理念のひとつである「リベラル・アーツ」は、多様な分野の学問を修めて広い視野を養う学びであり、共生社会の礎となる知識・感性を磨くことができます。社会では、ひとつの方法だけで問題が解決することはほとんどありません。本学で教員や仲間と議論を重ね、他者の課題やアイデアに触れながら専門知識を得て考えていくことで、多様な解決方法を探索する力が身につきます。そんな本学の学生には、自分たちで伸びていく力や主体性があり、それが同志社女子大学の強みだと感じています。

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受験生のみなさんへ

何のために学ぶのか。それは自分だけでなく、周りの人も尊重しながら楽しく生活していくためではないかと思います。「生活」に関わる幅広い分野を学び、身に付けた知識を基盤として専門的な学びを深めることができるのが人間生活学科です。専門性と感性を養いながら、周りの人と楽しくくらす、実生活に生きる実践力を身につけていきましょう。

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土井 幸輝教授

生活科学部 人間生活学科 [ 研究分野 ] 共用品の開発・評価に関する研究

研究者データベース

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卒業論文テーマ例

  • 非ホジキンリンパ腫患者に対するR-CHOP療法施行患者向け服薬指導シートの評価
  • ESHAP±R療法における服薬指導シートの有害事象予測精度の評価
  • 急性骨髄性白血病に対するシタラビンとイダルビシン寛解導入療法における
  • 服薬指導シートの臨床的有用性の評価
  • 副作用報告データベースを用いたベンダムスチン関連皮膚障害発現までの好発時期
  • 有害事象自発報告データベース(JADER)を用いたポナチニブによる心毒性の好発時期の評価
  • 医薬品副作用データベースを用いたポマリドミドによる肺障害の評価
  • 医療データベースを用いたニボルマブによる心臓関連の有害事象の評価
  • 有害事象自発報告データベース(JADER)を用いたエベロリムス誘発有害事象の網羅的解析
  • 副作用報告データベースを用いたベバシズマブによる肺毒性の評価
  • ファーマコビジランスデータベースを用いたトラスツズマブによる肺有害事象の評価