dwcla TALK ようこそ新しい知の世界へ

教員が語る同志社女子大学の学び

写真

「空間」
×
「児童」
×
「発達」

健やかな子どもの育ちに
寄与する空間づくりを
目指した研究です。

人間生活学科

塚田 由佳里准教授

建築計画と都市計画に「発達」の視点を加えた独自の研究です。

共働き家庭の増加や、地域での遊び場が減ることに起因し、子どもたちが放課後を安全に、いきいきと過ごせる居場所づくりが社会課題になっています。
2000年以降、行政主導で学校の中での居場所づくりが普及しましたが、学校内の管理された状況は子どもにとって窮屈で、地域社会での経験が得にくい側面もあります。地域の中でのびのびと育つ仕組みや空間を作れないか。私は児童期の子どもたちの放課後の居場所づくりを中心に研究をしています。
「建築計画」と「都市計画」の学問分野に、私自身の小学校や特別支援学校での教員経験を生かした「発達」「教育」の軸を加えた独自の視点で、「子どもと住環境」をテーマとしています。

日本の保育所は世界的に見ても高水準の施設基準を保っていますが、児童の放課後施設は未だそこまで至っていません。私は主に学童保育所、児童館、公園を対象として、フィールドワークを中心に、子どもがどう施設を使っているのかを観察し、指導員や管理者の方にインタビューやアンケートを行ってきました。データを蓄積・分析し、施設の設置における最低条件を法的な基準まで引き上げるための提言に結び付けようとしています。また、これら知見を現場に役立ててもらうなど、子どもの居場所づくりに取り組む保護者の方とも一緒に活動を続けています。

「子どもと住環境」を研究テーマに選んだのは、シンプルに「子どもが好き」だからです。生活科学を学んでいた大学時代の指導教員が、子育て中の女性教員だったことや、都市部に住む子どもたちの生活が、私が育った富山のそれとは違っていたことも関心を持ったきっかけです。子どもの育ちに影響を及ぼす環境は、大人の責任で整備しなければならない、という思いは変わりません。

また、フィンランドの大学で2年間研究生活を送ったことから、「フィンランドの暮らしと住環境」も研究テーマのひとつであり、北欧の社会システムや子育て家族が利用する住空間を対象に研究をしています。さらに、これからの時代の住まいの形を考えるため、共働き家族の住まいやシェアハウスなどについてもフィールドワークを中心に研究を進めています。

写真
写真

Read More

新しい生活空間の提案を目指し、思考力や発信力を磨くゼミです。

住まいや地域施設の提案・提言を目指す私のゼミ「住居計画研究室」では、卒業設計と卒業論文の2つのスタイルがあります。設計作品を制作する場合は、建築の広範囲な知識やスキルが必要なため、事前に学生には最低限受講しておくべき科目について説明をします。1年次、2年次でそれら科目を受講していない場合は、設計作品ではなく、もう一方の卒業論文の作成に取り組むことになります。

ゼミの3年次生には、多様な課題に取り組んでもらいます。「方丈庵2020」がそのひとつで、シンプルなミニマニストの住まいとして知られる鴨長明の方丈庵をベースに、学生が立地や家族構成などを設定し、空間を考えていきます。コンピュータによる設計支援ツールは使わず、手描きでデザインを起こします。コロナ禍をはじめ社会状況や生活スタイルの変化が続くなか、新しい暮らしを構築する新しい空間の提案を目指していく課題です。
学生のスキル向上に伴い、パースや模型、デザインソフトを用いたプレゼンテーションボードの制作といった課題にも取り組んでいきます。同時に研究データの取扱いなど、卒業設計や卒業論文の制作に向けた基礎的な技術もしっかりと身につけていきます。

私の研究室では、地域に入り、人との交流から学ぶフィールドワークを大切にしています。コロナ禍において実施は難しいのですが、できるだけ街へ出てフィールドワークを行いたいと考えています。まずはキャンパスに近い京都・鴨川の河川敷などに出かけてフィールドワークの作法を学び、それが身についてきた段階で、各種施設での実施を検討しています。 私自身が北欧でフィールドワークを行い、多くの学びを得ました。当たり前として捉えていた日本の良い点や課題も外側から見ることで具体的に考えられる貴重な経験となりました。いつかは住居計画研究室でも国際的なフィールドワークを実現できれば、と思っています。

研究室には、建築やインテリアに関心を持つ学生が多く、家具ショップでアルバイトをしている学生やハウスメーカーへの就職を希望している学生もいます。大学入学前から「住居」に関心を持っていた学生もいますが、人間生活学科で「すまい」「よそおい」「つながり」を幅広く学ぶうちに「住居」への興味を深め、将来の目標を見つけた学生もいます。もちろん、建築やインテリア以外の分野を目指す学生もいます。
住居計画研究室は、課題を見つけだし、解決策を柔軟に考え、創造力を発揮して具体的に提案することを目指すゼミであり、そのための思考力や発信力を養ってほしいと考えています。そして、同志社女子大学の教育理念のひとつ「キリスト主義」につながる、弱者に寄り添える人間性、弱い人の立場に立って考えられる知性を身につけ、社会に羽ばたいてほしいと思います。

写真
写真

Read More

町家に象徴される、伝統と新しさに満ちた京都が学びの場。

フィールドワークを重視する住居計画研究室にとって、同志社女子大学の立地の良さは大きな強みです。京都は伝統文化のみならず、先進性や国際性、多文化共生など、どんなテーマも柔軟に受け入れる懐の深い街です。町家を活用したレストランやカフェといった新しい空間や、古い住まいをリノベーションした住宅、それらを学生でシェアして暮らすこともできます。可能性に満ちあふれた街であり、これほどフィールドワークに適した場所はないでしょう。京都で学生時代を過ごすということは、得難い経験になると思います。

何より、建築を研究する私から見ても、本学のキャンパスを構成する建物はどれも美しく、学生が健やかに過ごせる環境が整っています。

写真
写真

Read More

受験生のみなさんへ

人間生活学科は、衣と住さらに、心理・福祉なども学べる希少な学科です。自分の学びたいことが見つかり、可能性や能力を伸ばすことができる学科だと思います。ぜひ、みなさん目標や夢を同志社女子大学で実現させてください。それができる学びの環境が整っています。

写真

塚田 由佳里准教授

生活科学部 人間生活学科 [ 研究テーマ ] 住環境計画、放課後の居場所

Lab Mag. ゼミの学びを知るWeb Magazine

研究者データベース

dwcla TALK

卒業論文テーマ例

  • 両親への態度・行動がファン態度・ファン行動におよぼす影響 -移動スーパーとくし丸を事例として-
  • 心理的well-beingがSNSにおける居場所感覚におよぼす影響-女子大学生の場合-
  • 日常生活における自己意識傾向および同性同輩との身体部位比較が化粧リスク懸念に与える影響
  • ホースセラピーの現状と心理学的役割の考察-現場観察を中心に-
  • 日常生活における孤独感がペットに対する態度におよぼす影響
  • 超常現象観が宗教意識および宗教的行為におよぼす影響-女子大学生の場合-
  • ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに関する現場研究-日常空間から虚構空間へ-
  • 対人ストレスコーピングが大学における居場所感覚の形成におよぼす影響-女子大学生の場合-
  • 飲み会場面における異性への接近に関する社会心理学的研究-ビアゴーグル効果の検討-
  • Cloninger の気質と性格の7次元モデルの検証-女子大学生を対象として-
  • 日常的劣等感が化粧リスク懸念および化粧後感情におよぼす影響
  • 限定商品に対する購買意欲に関する社会心理学的研究-知的好奇心と内発的-外発的動機づけとの関連-
  • 評価懸念と親密さリスク知覚が自己開示におよぼす影響
  • 交際期間の長さが友だちの性格特徴認知におよぼす影響
  • 笑いやユーモアが友だちとのつきあい方におよぼす影響-自己隠蔽傾向も含めて-
  • 女子大学生における親準備性傾向が将来の虐待行使可能性におよぼす影響
  • ひらかたパークに関する社会心理学的研究-アトラクションと背景音楽との関連を中心として-
  • 自分自身と友だちの性格特徴の認知が友だちに対する対人魅力におよぼす影響
  • 日常的な空想傾向が悪夢の苦痛度および夢体験に伴う感情におよぼす影響